2章 召喚編 4話 勇者召喚③
しばらくは、琴音視点で動きます。
ヒンヤリとした空気が頬で感じる・・。
目が覚めると、部屋の天井が高いところにある。
「はじめて見る天井だ・・わ」
「おねぇちゃん・・にぃにの本の影響受けすぎだよ・・・・」
「・・・・」
妹の美音に突っ込まれながら、上半身を起こし周囲を見渡すと信じられない光景が目に入った。
ドレスを着た少女や銀色の鎧を着た人やローブを纏った人、そして一人だけ偉そうに椅子に座っているオジサン・・。
すると、鎧を着た人が一人だけ私達の前に出て、兜を脱ぐ。
「ようこそ、勇者の皆様! 私は、スパイル王国騎士団団長のハイド=ラストスと言います」
いきなり、騎士団長と名乗る男が現れた。しかも、私達のことを勇者と呼んでくることが理解出来ず誰も返事をしていない。
「あの・・勇者の皆様・・突然のことで混乱されているとは思いますが、このままお話しを聞いてください」
騎士団長の背後から、純白のドレスを纏った少女が恐る恐る出てくる。
「ここは、スパイル王国の王城です。勇者召喚の儀を行い、皆様が召喚されました・・」
「ちょっと待ってくれ!」
少し離れた場所から、沖田くんが声を荒げる。
「どうして、俺たちなんだ? 元の場所へ帰してくれ!・・早く!」
純白のドレス纏った少女は、たじろいながら答える。
「それは・・できません。・・今は」
「今は出来ないって・・なんでだよ・・そっちが呼んだんだろ?」
「・・落ち着いてください。 伝承によると魔王を倒せば、帰還の道が開かれるようです」
「魔王を・・・・倒す・・俺たちが?」
「はい・・・。あっ紹介が遅れてしまいました、スパイル王国第1王女ミリアと申します」
「・・王女様・・・・ですか・・」
沖田くんは、少女が王女様と顔が知るとだんだん声が小さくなり大人しくなっていく。
「はい。よろしくお願いしますね」
第1王女様・・その微笑みは反則級ですよ。
男子生徒ほとんどが惚れてしまったようです。
その後は、数年前からスパイル王国がある大陸が魔王の脅威に脅かされ始めたため、王族のみが知る伝承に従い勇者召喚をした。
当然ながら、召喚者達全員の生活は王族が全て保証する見返りに、戦闘訓練などをして将来的に魔王討伐を王国騎士団と協力して達成してほしいと、ミリア第1王女が言った。
いきなり生活を保障するから、魔王討伐を協力してくれだなんて、無茶苦茶だ。美音と手を繋ぎ黙り込んでいるとサッカー部員の男子生徒達が突然騒ぎ出している。
その男子生徒の中心人物は、サッカー部部長の沖田くんだった。
「お・・王女様、おれたちに任せてくだい!」
「「「えっ・・ウソ・・」」」
沖田くんが勝手に了承してしまった。おかげで周囲の人達が歓声を上げてくる。しばらく、部屋が騒がしくなっていた頃に、椅子に座っていたオジサンが立ち上がると、一気に静かになった。
「召喚されし者達よ・・私、はこの国の国王でスパイル=マーカーだ。魔王討伐宜しく頼むぞ!」
国王が踵を返し、この部屋を出て行く。それに続き水色とピンク色のドレスを纏った少女達も出て行く。
「それでは、皆様のステータスを確認しますのでこちらの方へ集まってください」
ミリア王女に呼ばれ、男子生徒達が集まって行く。それにつられて、私達も後ろからついて行くことにした。
ミリア王女の前にみんな集まると、そのまま座らされステータス表示の出し方を習い、それぞれが見せ合いっこをして盛り上がっていた。
「それでは、皆さんのステータスを見せてください。今後の訓練の方針を決めたいと思います」
「まずは、俺からだ」
沖田くんが一番乗りでミリア王女の前に立つ。
「ステータス!」
ステータス
名 ユウタ=オキタ
種族 人族 17才
職業 ???
HP 800/800
MP 300/300
魔法 光属性
スキル 剣術Lv? 体術Lv?
称号 勇者
「ユウタ様が勇者様なのですね。ご活躍を期待しています」
「はい。任せてくれ、ミリア王女様」
ミリア王女が、次々と男子生徒達のステータスを確認して行く。みんな王国騎士団よりステータス値を凌駕していると驚き喜んでいた。次にわたしの順番になりステータスを表示した。
ステータス
名 コトネ=シイナ
職業 ???
HP 600/600
MP 500/500
魔法 火属性
スキル 剣術Lv? 鑑定Lv?
称号 剣聖
「コトネ様が、剣聖の称号持ちだったとは・・とても羨ましいです」
「いえ・・戦ったことなんて皆無ですし・・」
そそくさと、この場を離れてると、次は美音の番だ。
ステータス
名 ミオ=シイナ
職業 ???
HP 600/600
MP 500/500
魔法 聖属性
スキル 浄化Lv? 鑑定Lv?
称号 聖女
「ミオ様は、コトネ様と似たようなステータスなのですね・・・・」
「おねぇちゃんとは、双子だから当然かなー」
美音が私とステータスが似てることで喜び、私の元へ帰ってくる。それから、残りのみんなのステータスを確認したミリア王女は、騎士団長の元へ移動し会話を交わした。
「それでは皆さん、本日はここまでとします。お一人づつ部屋を準備していますので、今からメイドに案内させます」
ミリア王女がメイド達を呼び出し、メイドが一人づつ付き添い、それぞれの部屋へ案内してくれた。
メイドに部屋まで案内され中に入ると、ベッドと机がある程度の質素な部屋だった。案内してくれたメイドは、私の専属メイドになるようで、名はリリアと名乗りそのまま部屋を出て行った。
コンコン
ガチャッ
「おねぇちゃん?」
部屋のドアが開き美音が覗いてくる。
「美音・・入っておいで」
美音が笑顔で入ってきて、ベッドに腰掛ける。
「おねぇちゃん・・変な世界に来ちゃったね・・」
「そうだね・・どうしよっか?」
「なんか・・にぃにが持ってる本みたいだね」
ちょっと楽しそうな表情に変わる美音がいる。
「美音・・なんか楽しそうじゃない?」
「だって・・練習したら魔法出せるって聞いたんだもん」
それから姉妹で話に夢中になっていると部屋のドアがノックされた。
「コトネ様・・夕飯の時間なのでお呼びに参りました」
美音とベッドから立ち上がり、ドアを開けるとメイドのリリアが一歩下がり一礼する。
「ミオ様もいらっしゃいましたか・・それでは、夕食会場へご案内します」
リリアの後について、長い廊下を歩き夕食会場に入ると他の生徒達はもう席に座っていたため急いで空いている席に着くと、タイミングを図ったかのように食事が運ばれてきた。
落ち着いたところで、メイド長のアンさんの合図で食事が始まる。みんな好きなように食事を摂り終えた後は、好きなタイミングで各人の部屋へ戻って行く。
「琴音ちゃん・・」
「あっ真衣先輩に愛菜・・」
真衣先輩に呼ばれて、美音と4人で真衣先輩の部屋に集まり、今後の事を話し合うことにした。
「それじゃ、琴音ちゃんよろしく・・」
「わ・・わたしですか?」
「「「はい」」」
この場を仕切るのがわたしに決まってしまった。これはもう決定事項なのかな・・。あとで美音を弄ろうかしら。
「それでは、今後のことについて考えましょう。まずは、勇者がサッカー部キャプテンの沖田くんでした」
「ビックリだよねー。あの子は苦手かも」
真衣先輩に同意するかのように2人が頷く。当然私も苦手な部類だ。
「次に、私と愛菜が同じ剣聖で美音が聖女で、真衣先輩が魔導士なんですよね」
戦う編成は、まぁまぁマシなパーティーになるだろう。
「明日からの戦闘訓練で、それぞれのスキルを解放を目指し、そのスキルレベルを上げて戦力アップを目指しましょうね」
「「「は〜い」」」
「明日のために、今日は早く休みましょう。解散です」
「「「「おやすみ〜また明日ね〜」」」」
明日から始まる訓練に向けて一抹の不安を抱き自分の部屋のベッドで横になり、ゆっくり意識を手放していく・・。
おにぃ・・あいたいよ・・・・
勇者召喚が終わり、魔王討伐の準備期間として王城での活動が始まる勇者達。今までいた世界とかけ離れた異世界で、全員が無事に生き抜くことができるのだろうか・・・




