2章 召喚編 3話 勇者召喚②
異世界に住んでいる少年少女達の日常に、突然の異常状態が発生する。この状態を乗り越えられるのだろうか・・。
異世界人 Side
とある住宅の部屋のベッドで学生服のまま布団に包まっている少女がいた・・。
おにぃ・・・・いったい何処に行ったの?日課のように高校の部活から帰っってきて、6年前の夏休みにソロキャンプへ行ったまま行方不明になった、おにぃの部屋に入り布団に潜り込む。
おにぃを感じたくて、いつしか布団に潜り込むようになっていたけど時間が無情に過ぎて行き、おにぃの布団からおにぃの存在感が薄くなっていくことに、心が不安に支配され1人泣いてしまう。
ただただ・・・・
「会いたいよ・・おにぃ・・」
小さく呟くと部屋のドアが開き誰かが入ってくる。
「琴音・・今日も、にぃにの部屋に居たんだ・・」
布団から顔を出すと、クリッとした黒目で、肩まで伸ばした黒髪が綺麗な双子の妹、美音がと目が合う。
「うん・・だって、おにぃの部屋に居ると側に居る気がするんだもん。美音は感じない?」
美音はベッドに腰掛けてから、寂しそうに言った。
「・・もちろん感じるよ。それに私達がプレゼントした、この右手につけたお揃いのミサンガ切れてないしね」
美音は、そう言いながら私が入ってる布団に潜り込んでくると、二人でいると小さい時に真夜中の雷雨が怖くて泣きながら、おにぃの布団に二人潜り込んだことなどの思い出話しに夢中になり日が沈んで部屋が暗くなる頃、リビングに居るお母さんに呼ばれて夕食を食べに二人で部屋を出る。
リビングに入ると、テレビ台に写真立てにおにぃと琴音と美音が笑顔で並んで写る写真が飾られている。この時のおにぃの年齢を越してしまい、私たちは高校2年生になった。
私達は、夕食の時に必ず学校出会った出来事や部活の事を話し、笑う時間を作るよう、姉妹で決めていて、今ではお母さんが笑う時間も増えてた。
私達家族に、家族として普通の時間が流れている。でも、この空間におにぃがいない。ただそれだけなの。
いつもの時間に目覚まし時計が鳴り響き、今日が始まる。支度を済ませて、美音と一緒に登校する。
通学路の途中にあるコンビニから、おにぃと同い年で幼馴染の櫻田真衣先輩が出てきて、私達に気付く。
「おはよ〜琴音ちゃん、美音ちゃん」
真衣先輩は、手を振りながら笑顔で近づいてくる。茶目でストレートロングの黒髪を腰まで伸ばしている。バレー部を夏に引退し、スポーツ推薦枠でで大学に進学するそうだ。
「「真衣先輩、おはようございます。今日は早いですね〜」」
「まあね。たまには体をほぐさないと鈍っちゃうから、朝練に参加するの。一緒に学校へ行こう〜」
「「は〜い」」
ここからは、真衣先輩が加わっって3人で遊学することになった。いろんな話しで盛り上がり、いつの間にか校門前まで来ていた。ここから、体育館に行く真衣先輩と別れるところで・・真衣先輩が振り返る。
「琴音ちゃん、美音ちゃん今日の放課後空いてる?」
「部活前の時間なら空いてますよ」
「美音は、帰宅部だからいつも空いてまーす」
「オッケー!終礼が終わったら、中庭のベンチに集合ね」
「「はいっ」」
真衣先輩と別れて、校舎に入りそれぞれの教室へ入りチャイムが鳴ると授業が始まる。昼休みは美音と屋上で、お弁当を食べて、また午後の授業が始まる。そして、最後のチャイムがなって終礼がなんとなく終わる。
クラスメトにまた明日と告げて教室を出てた私は、中庭を目指して廊下を歩いていると、背後から声をかけられ振り向く。
「おねぇちゃん、まってよ〜」
隣の教室から美音が走って追いかけてくる。
「美音〜廊下は走っちゃダメだよ〜」
「だって〜」
美音が右に並び、二人で廊下を歩き始める。
階段を降りて、中央玄関に近づくと出口に立つ一番会いたくない男子生徒が誰かを探しているようで、私と目が合うと急ぎ足で近付いて来た。
「椎名さん・・。ちょっといいかな?」
「沖田くん・・今はちょっと・・・・」
同学年のさわやか系でサッカー部部長の沖田くんに腕を掴まれて中庭へと連れ出されて行く。他の女子生徒なら赤面するのだろう。でも、私は違う・・。
「ちょ、ちょっと・・おねぇちゃんを離しなさいよ」
美音の言葉で冷静さを取り戻した私は、沖田くんの手を振り払う。
「沖田くん、いきなり掴むなんて強引だよ!」
掴んでいた手が解かれてしまった彼は振り向き、目の前まで詰め寄ってくる。
「椎名さん、それは心外だよ。僕達付き合ってるじゃん」
真剣な顔で言ってくる沖田くんが怖い。
「な・・私達は、そんな関係じゃないでしょ!!」
「おねぇ、行こう・・・・」
私達は、逃げるように中庭へ走って行った。
「おーい!ここだよ〜!おそ〜い!」
ベンチには、真衣先輩が待っていた。
「「すいませーん」」
すると、真衣先輩の視線が私達から外れる。
「・・あれれ?後ろの子は、誰かな?」
振り返ると、沖田くんが追いかけて付いて来ていた。
「ど・・どうして?」
私は、彼の行動が理解できない。
「彼女が行くところについて行くのは当然だろ?」
「「・・・・・・」」
「琴音ちゃんと彼は、恋人関係なのかな?」
「「ぜんっぜん、違いますから!!」」
なぜか美音も否定してくれていた。すると、中庭に併設されている売店から男子生徒の声が聞こえてくる。
「あ〜部長〜ここにいたんすか?そろそろアップを始める時間っすよ!」
売店から、6人くらいの男子生徒が出て来て近付いてくる。どうやら、サッカー部員のようだ。
「ちっ・・。わかった!そろそろ行く。コーンの準備しといてくれ」
「まぁまぁ、たまには一緒に行こうぜ〜!」
男子サッカー部員たちは、沖田くんの側まで寄ってくる。すると、その先の武道場から防具を付けたまま走ってくる女子生徒がいる。嫌な予感がする。
「こぉ〜ら〜、こ〜と〜ね〜!素振りの時間だぁ〜!!」
私が所属する剣道部部長の一条愛菜が奇声を発しながら全力ダッシュで迫ってくる。これは逃げられない。
「真衣先輩・・どうしたら?」
「フフフフ・・大丈夫、心配ないわ・・ほら・・下をみてみて」
真衣先輩が下を指差して微笑んでいる。
「おねぇちゃん、足元が光ってるよ!!」
美音が私の手を握り叫んでいる。周囲にいた生徒達も混乱し騒いでいる。
「な・・何ですかこれ?地面に記号が浮かんで光ってる」
その瞬間、目を瞑る程の眩しい光と全身に伝わる強い衝撃を受けて、意識を手放してしまった・・・・。
私達が、中庭で光に包まれ消失した時間帯に校舎や職員室に居た教師や生徒達は、部分的な意識障害のため事件後、警察からの事情聴取を受けた時に答えられる生存者は1人もいなかった。
学校の敷地内で、行方を眩ました生徒達。直前に何かを知ったような真衣は何者なのだろうか。
そして、琴音達はどこへ・・・・。




