10章 王都奇襲編 2話 前触れの無い侵略①
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「みんな、朝食が終わったら王都へ行くから支度してね」
元気の良い返事が食堂に響き、いつも通り食べ終わった子から支度をするため部屋に戻って行く姿を見送っていると、ラニアが食後の紅茶をくれながら教えてくれる。
「馬車の支度をしてお待ちしています」
「よろしくね、ラニア」
ラニアは一礼してから先に食堂を出て行き、1人ポツンと残されてしまう。
「・・俺も準備するかな」
たいした支度が無い俺だけど、3階の寝室へと移動し着替えてから外へ出ると門扉前で馬車の準備を終わらせていたラニアが待っていた。
「待たせたね」
「いえ、そんなことはありません。あとは、シェルさんとアルシアさんだけです」
「2人は、置いて行くかな・・」
そう言っていると、玄関ドアが開き2人が出てくる。
「ハルよ、待たせたな・・」
「シェル・・2人に気付かないで、危うく置いて行くとこだったよ」
そんな冗談を言うと、荷台に乗っていたミオとミリナが笑いつられて俺も笑っていると、アルシアが小さな声で抗議し、彼女の背中を軽く叩きながら冗談だと伝え荷台に乗せて出発した。
王都へと続く街道をのんびりと走り抜けて数時間で王都南門が見えて来た。
「それじゃ、いつも通りラニア頼むね」
「はい。お任せを」
御者のラニアを残し俺達は、隠密スキルで姿を消して門兵の検査をやり過ごし王都に入ることができ、馬車を預かり所に預け裏路地でラニアと合流し自然な感じで大通りへと出て商店が並ぶ通りに辿り着く。
「昼の12の鐘が鳴った頃に中央の噴水広場で待ち合わせで」
そう伝えると、買い出し組のラニアとアイナとリンと別れ、アルシアとシェルは買いたい物があるようで別行動となり今は俺とミオとミリナになった。
「3人になったね・・とりあえず、何しようか?」
後ろを振り向いて2人を見ると、視線はどこかへ釘付けとなっている事に気づきその先に視線を向けてみると屋台が立ち並んでいた。
(あ〜アレに夢中なのか・・アイテムボックスにまだあるけど、買って食べるのもアリかな)
「久しぶりに買って食べる?」
その言葉に反応するように2人の尻尾が激しく揺れてバシバシと俺の足に当たっているけど気持ちいい。
「行こう」
両手を差し出すと、左手をミオが握り右手をミリナが握り急かすように引っ張り先を急ごうとする。
「「 ご主人さま、早く行きますよ!!はやくはやく!!」」
「・・はいはい」
流れる人の流れを2人は器用に避けて歩き進み、途中で道を譲るため立ち止まることなく目的の屋台にの前に辿り着くと、良い感じに焼き上がっている肉串があった。
「いらっしゃい!兄ちゃん、小腹にどうだい?」
「どうも・・とりあえず、焼き上がった肉串を全部ください」
「・・・・全部?」
「はい。とりあえず、できてるやつ全部ください」
「お・・おぅ。兄ちゃん、銀貨1枚だ」
銀貨1を手渡し、屋台の店主は手際良く肉串を4枚の袋に入れて手渡しそれをミオとミリナに2袋ずつ渡すと、嬉しそうに広場の端にあるベンチへと向かい座ると食べる事なくずっと俺を見ている。
「また買いに来るんで先に支払っておきますね」
金貨1枚を屋台の置けそうな場所に置いて、2つ離れた屋台で売っている果実水を3つ購入し待っている2人の場所へと向かう。
「お待たせ、食べて良いよ」
ちょうど2人が1人分のスペースを開けているから、そこへ座り夢中で食べているミオとミリナの足元に果実水が入った瓶を置いて、黒色と茶色のネコミミを撫でながら行き交う人の流れを眺める。
「「 ごちそうさまでした〜 」」
家の飯の時と違って、肉串を食べる2人は必ず口の周りがタレで汚れてしまうのを見て、いつもわざとじゃないかと思うけど聞かない事にしている。
「まぁ〜た、口の周りがベタベタだな〜」
「「 ニシシシ〜 」」
綺麗に拭いてくれと言わんばかりの笑顔で2人が俺の方へ顔を向け、されるがままに口を吹かれている。
「食べ終わったから武器屋に行くよ?」
「「 はい 」」
2人は足元にあった果実水を一気に飲み干し、空き瓶を俺に渡してから立ち上がり満足した表情の2人は再び俺の手を握り体を寄せてくる。
適当に通りを歩き、たまたま見つけた武器屋に入ろうとした時に11の鐘が鳴るのを聞いて待ち合わせまでの時間を思い出しながら店へと入る。
店内には数人の冒険者の格好をした客がいて、扉に付けられていた鈴が鳴った時に店に入る俺達を見たけど、すぐに陳列された商品へと視線を戻していく。
特に害意を感じなかったため、俺は気に留める事なくそのまま気になる物が置いてないか陳列されている商品へと視線を動かしているとスッと2人が握っていた手を離し離れていくのを感じたけど、気にせず俺は店の奥へと進んで行った。
ちょうど短剣が並んであるところに来たところで、2人が戻って来たところで彼女達が持つ短剣の具合を聞く。
「2人の短剣は、刃こぼれとかしてない?」
「ご主人さま、わたしのは全然大丈夫ですよ」
ミオは、マジックポーチから2つの短剣を取り出し俺に見せてくれる。その短剣を受け取り鞘から抜いて確認すると、手に入れた時から劣化していない事に驚き、久しぶりに魔力を流してみた。
シュィィィン
ほんの僅かに鳴り響く音を聞きながら姿を変えていく短剣の光り輝く刀身を見つめていると、見知らぬ女が俺の横で2つの短剣に見惚れていた。
「うわっ・・どちら様で?」
「・・・・あぁ、元に戻った」
「あの・・」
「・・はぅ」
赤髪を肩まで伸ばし、白のタンクトップに黒い短パンの女性が挙動不審になり後退りながら俯く。
「ご・・ごめんなしゃい・・つい・・」
「あぁ・・別に良いですけど・・」
赤髪の女性がゆっくりと顔を上げて俺を見つめる瞳も紅く綺麗な色をしていて、思わず言ってしまった。
「綺麗な瞳ですね・・」
その言葉に驚いたようで、目を見開きアワアワしながら店の奥へと消えて行ってしまう。
「・・あの人、誰なんだろう」
そう呟きながら、短剣を鞘に収めてミオに返し短剣がマジックポーチへと収納された時に外から轟音が聞こえたと同時に2つの不穏な気配を感じた俺と、ミオとミリナの尻尾が最大限に膨らみ警戒し俺の前に立ち、店内にいた他の冒険者は尻餅をつき全身を震わせている状態だった・・・・。




