8章 王国潜伏編 13話 彼女からの手紙・・②
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「はぁ・・歩くか」
夜道の街道を走り抜け、王都南門が見えた辺りで歩くことのする。時間的に日付が変わった頃だろう。
「さてと、忍び込みますかな・・」
こないだと違い閉門時間中だけど、この時間は夜警の門番の数が少ないから侵入が容易だ。そのまま南門を突破し王都へと侵入に成功する。
「さすがに誰もいないな・・」
この時間にうろついていると、間違いなく詰所へ連行されるため隠密スキルは維持したままだ。大通りを抜けて最短距離で王城門前に辿り着くと、こないだ侵入した時より厳戒態勢だった。
「これが王城の守りだよな・・」
そう呟きながら、門からの正面突破をせずに、王城の外壁を警戒しながら登り無事に城内へ侵入する。そして、警戒が厳重なため、今夜は城壁を登り城内に侵入することを企てる。
「はぁ、前みたいに入れたら楽だったのにな・・」
それから王族がいるだろう王城の上を目指し登って行く。城壁がブロック積みのため意外に登りやすく予想より早いペースだったため途中で休憩した。
「・・・・そろそろかな」
城壁登りを再開し、6個目の窓で侵入しやすい窓を見つけた。
「ここなら入れそうだな」
アイテムボックスから短剣を取り出し、窓枠の隙間に刃先を入れグイッと力を入れる。
ガキッ。
小さな破壊音を数回出し、固定された窓枠が外れる。
「案外脆いんだな・・コレ。家の窓枠強化しないと心配だな」
ゆっくりと窓枠を外しアイテムボックスに収納し、城内に侵入することができた。再びアイテムボックスから窓枠を取り出し秒で外れない程度に適当に取り付ける。
「こんなもんか・・ん?ここはたしか、あのメイドを解放した場所だ」
この廊下の先に赤い重厚な扉があった。あの扉の向こうに王族達の居住区と思い出し歩いて行き立ち止まった俺はドアの前でこの中にいる警備兵の様子を気配探知スキルで探る。
「・・ん?居眠りか?」
ゆっくりドアを開けて覗くと、警備兵2人が机の書類に顔を突っ込み寝ている。
「この時間が一番眠たい時間帯だもんな・・お疲れさん」
そう呟きながら今回は右に曲がり王族の私室へと向かう廊下を歩き、目的の部屋を探す。根拠はないが、ここにいるだろうと思う部屋のドアを探し歩く。
1つ1つ通り過ぎる部屋のドアは全て豪華な造りだ。王族らしい贅沢さが垣間見える。そして、今まで見て来た部屋のドアの豪華さからかけ離れた質素なドアの前で足が止まる。
「・・おいおい、いくら三女でも明らかに差をつけすぎじゃないか?」
そう呟いた後に、音を出さないよう慎重に開けて部屋の中を覗くと、大きなベッドの中に1人分の膨らみがあった。
「このまま起こして叫ばれてもな・・どうしよう」
そう考えながらベッドに近づき、とりあえず彼女の寝顔を拝むことにする。ゆっくり時間をかけて忍び足で進み、久しぶりに見る彼女の寝顔を・・」
薄暗い部屋で僅かに見える彼女の寝顔はいつ見ても綺麗だ。野営で一緒に寝ているときに、いつも彼女の寝顔を見て心が癒されていたんだ。そして、隠密スキルを解除し無策のまま彼女を起こすことを選んだ。
「・・・・おはよ、マリア。朝だよ」
「んっ・・・・」
そっとマリアの頭を撫でていると、ゆっくりまぶたを開けて視線が重なるところで告げる。
「この騎士が、姫様の迎えに参りました」
寝起きで、マリアが悲鳴をあげると思っていたが、俺と認識してくれたようで抱きつきながら小さな声で呟く。
「待ってた・・ハル」
「間に合ったかな?」
「ギリギリよ・・ドキドキさせないで、もう・・」
グイッとマリアに引っ張られた俺は、身を任せそのままベッドに倒れ布団の中へ誘われ入ると、マリアの足が俺を離さないよう絡めてくる。
「んっ・・」
何も言わないマリアが唇を重ねながら、俺の身体の上に乗り重ねていた唇を離し吐息を感じる距離で口を開く。
「ねぇ、あのときのようにシテよ・・」
その言葉を聞いた俺は、マリアの身体を上にしたまま身体を静かに重ねていく。声を出せないマリアは敏感で、シーツがビショビショに濡れるほどの反応をしてくれた。
今は、奇跡的に濡れていない所で身体を重ねたままでいると、マリアが俺を呼んだ理由を告げてくれる。
「あのね、お母様から私を政略結婚に出す話を聞いたの。嫁ぎ先は王国の南の先にあるイシタ公国」
「イシタ公国?それって、昔の勇者が領地を王国から貰って建国した国だよな?」
「そう・・お父様は継承権の低い私をイシタ公爵の第2夫人として・・」
「マリア、俺のところにくるか?平民になっちまうけど」
「うん。私を連れ出して、ハル。公国なんて嫌よ・・ずっとハルの側にいたいの」
「わかった、それなら支度しよう」
俺は立ち上がり乱れた服を直していると、全裸のマリアが布団から出て服を着始めている。その整ったマリアの身体に見惚れてしまい、思わず見つめてしまう。
「もう、恥ずかしいから着替えるところは見ないでよ」
「あっゴメン。つい・・荷物はアイテムボックスに収納するよ」
服を着たマリアが、大きな鞄を4つ俺の前に置く。
「ハル、コレお願いね」
「オッケー。もう準備していたんだね」
俺は素早くマリアの鞄をアイテムボックスに収納する。
「マリア、忘れ物は無いかな?」
「うん。忘れ物のも思い残すこともないわ」
「よし、行こう!」
隠密スキルを発動し部屋を出て歩いて来た廊下を戻り、未だ寝ている警備兵の前を通過して王族居住区を無事に脱出できた。
このまま階段を降りて地上を目指していると、突然マリアに呼び止められる。
「ハル、ちょっと待って」
「どうした?問題があった?」
「違うの・・一緒に連れて行きたい子がいるの」
「・・別に良いけど」
「ありがと。案内するわ。こっちに来て」
途中の階で廊下を歩くマリアの後ろをついて行く。予想外の行動で、仲の良いメイドでも連れて行くのだろうと思っていたときに、マリアがドアの前で止まる。
「たしか、ここの部屋だったと思うの」
「わかった、入ってみよう」
マリアがドアを開けて中に入り、指差す方向に視線を動かすと4つのベッドがあった。
「マリア、連れて行くのは4人?」
「うん。この4人は絶対に連れて行って欲しいから」
俺は、マリアと2人で逃げる事は余裕だったため帰り道の心配はしていなかったが、メイド4人となるとかなり難しくなる。バレた時に全員無傷で連れて行けるか保証がないからだ。
「う〜ん・・」
「大丈夫よ、ハル。彼女達のステータスは低くないから」
「低くない?」
戦闘メイドなら、一般メイドより比較的に楽になる。それならと考え4人を連れ帰ることを了承した。
そして、マリアが移動し4人を起こし回る。一緒に逃げることを事前に決めていたのか、4人は警戒することなく起き上がり速やかに支度を済ませていく。
その状況を離れた場所で1人見ていると、どうやら見たことのある容姿の4人だった・・。
「マジか・・」
俺の溢した言葉に4人の動きが止まり、振り向き反応したのはリサとカラだった。
「うそ・・ハルなの?」
「あぁ、迎えに来たよリサ、カラ・・真衣と愛菜は、2人の側にいてくれたんだね。ありがとう」
真衣と愛菜は頷き支度を続けるが、リサとカラは動揺し手が止まったままだ。そこにマリアが2人を催促し遅れて準備を終わらせる。
「まさかお迎えの騎士様が、ハル先輩だったんですね」
「まぁね。愛菜ちゃん、期待外れだったかな?」
「期待以上の人ですよ、センパイ」
「なら、良かった」
目の前に立つ愛菜の頭を撫でていると、真衣が口を開く。
「愛菜、ハルに近すぎだよ」
「いいじゃないですか。先輩の周りには多勢の女の子がいるんですから」
「・・そうだけどさ・・このぉ浮気者ぉ〜」
真衣が笑みを浮かべながら俺に詰め寄ってくる。逆にその笑みに恐怖を感じ苦笑いしてしまった。
「ハル・・本当にハルなんだね」
リサとカラが俺の側に来て、ペタペタと身体に触れている。なぜか、リサがいっぱい触っているような気がする。
「そうだよ。2人の待遇は琴音から聞いたよ」
「ゴメンね・・本当にごめんねハル」
泣き出す2人を抱き寄せ落ち着かせるていると、マリアが口を開いた。
「そろそろ夜明けの時間が近づいてきます。陽が昇る前に夜警の人間が動き出し始めるので、急ぎましょう」
「そうだな、急ごう」
新たに4人の荷物をアイテムボックスに収納し、隠密スキルを発動させ俺はリサとカラの手を握り、マリアは真衣と愛菜と繋いで気配を消した。
「さぁ、行こう」
俺達は、隠密スキルで姿と気配を消して王城離脱のため走り出した・・。
次回は朝に投稿します。
無事に脱出できるのか・・な?




