1章 はじまり 12話 拘束
いつもの朝を迎えた俺は・・・・
いやいや、迎えたんだよ・・・・
・・・・ホントウニ迎えたノカ?
すいません、全身が拘束されて動けないんです・・
あ゛あ゛あ゛あ゛
どう頑張っても手足を動かせないが顔だけは動かせる状況だ。
ゆっくりと周囲を見渡すと、リサとカラに挟まれ足元にはミオが丸くなって熟睡している。なぜこの状況にと考える・・意識もハッキリしてくると、左右の手には非常に柔らかいモノの感触に包まれていることに気付く。
「こ・・この感触は・・」
「「んっ・・」」
左右の美女から同時に可愛らしい吐息を漏らしモゾモゾと動く隙をついて両腕を抜き自由を手に入れた。スッと上半身を起こし足元で丸くなっているミオを抱きかかえ俺のいた場所に置く。
ベッドから出た俺は、3人を起こさないようゆっくり部屋を出てリビングに脱ぎ散らかしてあった自分の服を着てテーブルに置いてあったコップに水を入れて一気に飲み干す。
「はぁ・・昨日は飲みすぎたか?まったく思い出せない」
空になったコップをテーブルに置いてソファに座り一息をついて。3人が起きて来るまでの時間をゆっくりと過ごすことにした。
ドンッドンッドン!
家の扉をリズムよく叩く音が響いた。ソファから立ち上がり扉を開けると冒険者ギルドマスターのダグラスが立っていた。
「早朝にギルドマスター直々に何の用だ?」
「早朝にすまないが、ギルドまで同行してくれ」
「理由は?」
「先日の冒険者大量殺害についての聴取だ」
俺は頷き、ダグラスと冒険者ギルドへと向かうことになる。そこで念話でミオにギルドへ行く事を伝えようと思ったが返事が返ってこなかったため諦めることにした。
ダグラスと冒険者ギルドに入るが、ギルド職員達が誰もいない。少し気になったが、そのままダグラスの後をついて行きギルドマスター部屋に入る。
部屋に入ると中央にテーブルがあり二つのソファが挟むように置いてある。奥のソファにダグラスが座り手前のソファに俺が座り向き合うことになった。
「こないだの一件でな、襲撃してきた連中の中に貴族の息子が居たようなんだ。その親が息子が帰ってこないことに気付いて、王国騎士団長に詰め寄ったようなのだ」
「それで、俺の情報が出たのか?」
「あぁ、副団長が指揮官で居たただろ?彼女が事の発端を説明したそうなんだが、激昂して副団長の話を一切受け付けることなく、騎士団長や周囲の貴族にその冒険者を連れて来いと言いふらしたんだ」
「少女達に酷い事をしたんだぞ・・息子の非を認めないなんて、貴族様の鑑だな」
ソファで踏ん反り返り、ダグラスに嫌味を言う。するととんでもない事を言ってきた。
「そこでだ・・共にしていた副団長は、お前の正当性を主張したらしいんだが、所詮貴族相手には無力でな。昨夜の王城は異様な空気になっていたんだ。そして、王族からの命令でなんらかの処罰を下すことになった」
「・・・・意味がわからないんだが、もう帰らしてもらう」
俺はソファから立ち上がり扉へ向かおうとしたら、ダグラスに腕を強く掴まれた。
「まだ話は終わっていない」
「俺には関係ない」
殺気立ったダグラスに驚き、動けないでいると。
「聞け!・・Cランク冒険者ハルは、ただいまの時間を持って無期限の拘束とする」
「ふざけんな!・・いいから離しやがれ!!」
抵抗する俺が大声を発したと同時に扉が勢いよく開き、王国騎士が数人突入し力技で組み伏され身動きが取れなくなる。両腕を背中にまわされ拘束具を取り付けられた瞬間、使えないスキルがある事を感じる。
踠き逃げようとするが、多勢に無勢だった。諦め動きを止めた頃に新たに一人近付いてくる足音がして、俺の前で止まった。
顔を見上げると、そこには銀色に輝く鎧を身に纏うアイナと視線が重なる。一瞬、無表情のアイナの表情に感情が入ったように見えたのは気のせいだったのだろうか。アイナは視線を外しダグラスの方へ寄る。
「ギルドマスター。協力感謝する」
アイナの言葉に感情が無い。とても冷酷な口調だった。
「王国の命令とあらば、冒険者ギルドマスターとして当然のことです」
「その冒険者を連行しろ」
アイナの命令で王国騎士達は、俺を強引に立たせ部屋から出す。ギルドを出る扉の前で止められて目隠しをされて視界を完全に奪われ、頭から何かの袋を被せられた。匂いからして麻袋だろう。まるで死刑囚の扱いだ。
再び背中を押されて、強引に歩かされ何かに押し込まれる。上から何かを合わせる音がするには、きっと蓋をしたのだろう。微かに馬の鳴き声が聞こえたのちにガタガタ揺れ始めた。
(馬車の荷台にでも載せられたのだろうな。でも、さっき見たアイナはこないだまでのアイナじゃなかったな)
『こ・・さ・・ま・・・・どこ・・すか・・しゅ・・さま・・』
途切れ途切れだが、ミオの声が頭の中で響く。
『ミオ!・・オレだ聞こえたら返事してくれ・・ミオ』
『・・ました。ご主人さまどこですか?』
途中からだが、ハッキリと聞こえてきた。距離が近づいたのだろう。
『わからない。ギルドで拘束されて何処かにはこなれている』
『わかりました。すぐに見・・ます・・まって・・て・・い』
はっきり聞こえていたミオの声が途切れ途切れになりやがて聞こえなくなった。
『おい。ミオ聞こえるか?・・・・ダメか』
スキルを発動しようとするが、拘束された以降はまともに発動しないことが腹立たしい。たまたま念話スキルだけが繋がったようだが、完全に使えなくなった。
どれくらいの時間だろう。動いていた馬車が止まり外へ出される。ここからは歩かされることなく運ばれ投げ出された。




