表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チーポンの大冒険(仮)  作者: 橘 竜の介
2/2

その2

「ただいま」


 オイラをスーツのポケットに隠し入れた旦那さんが帰ると、


「パパ、おかえりなさい!」


 元気な声で少女が玄関まで出迎えてくれた。


「詩織。今日は、お土産があるぞー」 


「やったー! で、お土産って何? 何?」


 詩織と呼ばれた少女は、お土産があると思ってパパさんの持つ鞄をひったくると、急いで中身を物色し始めた。


「鞄にお土産は入ってないよ。お土産は、これ。―-はい!」


 パパさんは、徐にポケットからハンカチに包まれたオイラを出し、詩織ちゃんに差し出した。


「あっ! 猫だ! ママー、パパが猫を拾ってきたー!」


 詩織ちゃんは、オイラを受け取ると、キッチンにいるママさんのとこへ見せに行った。


「ママー、ほら子猫!」


 喜びながら見せると、ママさんはオイラを一瞥して、


「詩織。うちは、動物は飼えませんよ」


 と、無常な一言……。


「えー! いいじゃない、飼おうよ! こんなに可愛いんだよ!」

 

 ママさんは、抗議する詩織ちゃんを無視して、


「あなた、おかえりなさい。――で、どうするの、これ? うちの社宅は、ペット禁止なのは知ってるでしょう?」


 後からやってきたパパさんに、ママさんはオイラを指差しながら非難の視線を向けた。


「まぁ、いいじゃないか。ペット禁止なんて規則、有ってないようなものだろ? この社宅でも結構な数の家が犬や猫を飼ってるじゃないか」


「うちはうち、よそはよそです。最低限の規則ぐらいは守りましょうよ、あなた」


 ママさんは、頑固にオイラを飼うことを拒否する。


 困った顔をしたパパさんは、詩織ちゃんに言った。


「詩織~、その子猫をママが飼っちゃダメって言うんだよ……。子猫、どこかに捨ててこないといけない。そうしたら死んじゃうかも……」


 パパさんが、『死んじゃうかも』と言ったとき、オイラは訳も分からずドキリとした。


 当然、詩織ちゃんも驚いて、


「ママ、酷い! 猫ちゃんを殺さないでー!」


 詩織ちゃんが大声で泣き出したので、ママさんはもの凄く慌て出した。


「あなた! 私一人を悪者扱いにするって酷いじゃない! ――わかりました! 詩織、その猫を飼ってもいいけど、あなたがちゃんと世話をするんですよ!」


 詩織ちゃんを見ると、いま泣いたカラスがもう笑っていた。パパさんもママさんに見えないように親指を立てて『グッ!』とやっていた。


「じゃあ、まず、この子に名前をつけないとね。パパ、いい名前ある?」


「この子の名前はもう決まってるんだ。名前は、チーポン。この子猫を拾った場所にあったお店の名前だよ」


 パパさんの言うお店は、オイラが入ってた段ボールが置いてあった商店の名前じゃなく、その2階にある雀荘の立て看板に書かれていた名前だ。そのことを、パパさんは全く気づいてないみたい……。


「チーポン……チーポン……。うん! いい名前! よろしくね、チーポン!」


 満面の笑みでオイラを見つめる詩織ちゃん。だけど、雀荘の名前なんだよ……。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ