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だらり異世界生活記  作者: 国後要
婚姻届けは破れない
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判決死刑

「では、裁判を始める」


「え、裁判なのですか?」


「弁護人はお静かに」


「私が弁護人ですか!?」


 処女厨の弁護人なんて、国選弁護士でもやりたがらないよ。


「検事側、待機完了していますね?」


「もちろんです、裁判長」


 検事はジル。当事者の一人だしね。


「では、判決を下します。死刑。本日はこれにて閉廷」


「検事側、異議ありません」


「ええええええっ!? 魔女裁判でももうちょっとマシな裁判しますよ!? べ、弁護側には異議があります!」


「じゃあ、あの馬を煮え滾った油の中に放り込んで死ななかったら邪悪な力を使ったとして死刑。死んだら無罪」


「結局死ぬではありませんか!」


「まーな」


 でも、殺しちゃったら呪いが解けない可能性があるんだよなぁ。

 うーん、困った。あの処女厨を何とか出来ればいいんだが。


「でも、実際問題、チミだって男に戻りたいでしょ?」


「そ、それはもちろんですが……だからと言ってコルムを殺すのは……」


「でも殺せば丸く収まるよね?」


「い、いえ、ですが……」


「殺せば丸く収まるよね?」


「あ、あの……」


「丸く収まるよね」


「は、はい……」


 検事側が弁護人を丸め込んだ。


「呪いの方は拷問でもなんでもして解く。それでいいでしょ?」


「はい……ですが、その、私の乗る馬が……」


「しょうがないなぁ、ルミエくんはぁ」


 うーふーふーふーふー、とジルが笑いながらアイテムボックスを開く。

 そして、そこから三つの鳥籠のようなものを取り出した。中には卵。


「てってててーててて~。ユニコーンとドラゴンとペガサスの卵~」


 ユニコーンとペガサスって卵生なのかな……まぁいいや。


「ジルえもん、これはどんな道具なんだい?」


「見て分かれ」


 ごもっとも。


「まぁ、ありがちにこの卵を暖めると、その動物が孵るわけです。さあ、好きな物を選びたまえ!」


「うう……あ、あの、暫く考えさせていただいてもよろしいでしょうか?」


「駄目。今すぐに答えを出しなさい」


 ジルさんったら横暴。


「で、では……ペ、ペガサスで……」


「……ファイナルアンサー?」


「え?」


「本当に、それでいいんですね? ファイナルアンサー?」


 わあ、圧迫交渉始めたよー。

 しかも、なぜミリオネア風?


「本当にそれでいいんですか? Aのユニコーン、Bのドラゴン、Cのペガサス、Dのタカヤ……この四つのうち、どれが正しい答えだと思いますか?」


「おいちょっと待て」


 なぜナチュラルにオレがDに入ってるのか。


「外野は黙ってろ」


 まぁいいや、面白そうだし。


「さて、あなたには二つのライフラインが残っています。スタンバイしている協力者に相談するテレフォン。観客に答えがどれか? というのを投票してもらうオーディエンス。使いますか?」


「そ、それでは……テレフォンを……」


「では、30秒間、協力者のタカヤさんとお電話を」


 え、オレかよ。


「ゆ、勇者様。どれが正解だと思われますか?」


「只今、留守にしております。御用の方はピーという発信音の後にメッセージをどうぞ。ピー」


「勇者様ぁぁぁぁぁ!」


 だって、オレだってどれが答えかわかんねーもん。

 とりあえずDでないことだけは確かだが。

 それはさすがに言わなくても分かるだろう。


「30秒、経ちました。さて……それでは、どれを選びますか?」


「お、オーディエンス! オーディエンスを!」


「分かりました。それでは、みなさんはお手元のボタン……は、無いので、どれが正解か言ってみてください」


 シエルちゃんがC。

 アリシアちゃんがA。

 レンがB。

 秋穂さんが当然のようにD。

 ジルが、越後製菓! と叫ぶ。

 そしてオレは、真実はいつもひとつ! と叫んだ。

 見事に割れたな、オイ。


「さて、全てのライフラインを使い切りました。それでは、答えを聞きましょう」


「こ、答えは……」


「答えは?」


「え……A……」



「ファイナルアンサー?」


「…………や、やはり、少し、考えさせてください……」


「いいでしょう。ですが、時間制限は刻々と迫っています」


 そして、沈黙が流れ始める。

 この重苦しい沈黙、どう例えればいいのか。

 空気が粘度すら持っているかのような重苦しさとでもいうか。

 その中で、ルミエは高速で思考を回し続けているのだろう。

 そして、答えを導き出したのか、ルミエが顔を上げる。


「こ、答えは……Cの、ペガサス!」


「……ファイナルアンサー?」


「ファイナル……ファイナルアンサー……」


「………………」


 先ほどよりも、更に重くなった空気。

 これから後発せられるジルの言葉で、その答えが正しかったか否かが分かるのだ。

 その空気にさらされているだろうルミエの緊張が、肌を通して伝わってくるかのようだ。

 遠く離れていても、ルミエの心臓の鼓動が伝わってくるのではないかとすら思える。

 そして、ついにジルがその口を開く。


「……おめでとう!」


 発せられた言葉の意味を理解した瞬間、ルミエが跳び上がって喜ぶ。


「あ、ありがとうございます! あ、あっていたんですね!」


「いや、そもそも別にどれも間違いじゃないけどね」


 ひでぇ。


「で、では、私の苦悩は一体……」


「よく考えて決めろって言いたかっただけ。D選んでもよかったんじゃない?」


「勇者様に乗れと!?」


「男の人に乗るなんてルミエさんったら大胆」


「日輪の力を借りて今必殺の!」


「サン・アタ~~~ック!」


 さて、ボケはこの辺りにしてと。


「Dを選んでたらタカヤはどうしたん?」


「肩車」


「うわぁ……凄くアホみたいナリィ……」


 シュールすぎるわ。まぁ、ユニコーンより早く走る自信はあるが。

 ちなみに秋穂さんは? と思って視線を送ると……。


「バター犬、ご存じですか? もちろんやった事は無いのですが、孝也さんが犬役でそう言うプレイも……」


「もういい」


 この人はもうだめだ。

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