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だらり異世界生活記  作者: 国後要
婚姻届けは破れない
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がはは、グッドだー

 さて、そこでいったん話は一段落したのだが……気まずい。

 話すことが何もない。

 

「……そうだ、改めて自己紹介をしようじゃないか」


「え? あ、ああ、確かに……それは必要かもしれない……」


 そう言うわけで、改めて自己紹介タイム。

 どうしてバイトのシフト同じになった人に対するような事しなきゃならないんだ。


「態度も改め……私はルミエ。家名はありません。遊歴中の騎士だったのですが、エイミヤ家に忠誠を誓った身となりました」


「そうかそうか。それはよかったな。おめでとう」


 要するに、自称騎士だったのが、正真正銘の騎士になったわけだからな。

 自宅警備員が、本物の警備員になったのと同じだ。


「で、オレの名前は……」


「いえ、タカヤ殿の事はさすがに見知っていますが……」


「オレの名前はチャトラパティ・シヴァージー。シャーハジー・ボーンスレーの息子だ。ムガル帝国に抵抗した英雄と言われている」


「ええっ!? なんですかそれ!?」


「あちきの名はシャジャール・アッ=ドゥッル。サーリフの夫人にして、マムルーク朝初代君主。この名はアラビア語で真珠の木を意味し、夫から与えらた名であり、本来の名はルガルバンダ。ウルク第1王朝の最初の王メスキアッガシェルより受け継いだ貴き血筋を、父たるエンメルカルより受け継ぎし王なり」


「ちょっ、えっ、お、お嬢様は女性では……?」


「じゃあ、オレはハンス・ウルリッヒ・ルーデル。主に牛乳を飲みつつ、戦車とか戦艦とか吹っ飛ばし、年下の嫁さんを貰って、長生きしてやった」


「なら拙者は可児吉長。通称は才蔵。天文23年美濃国可児郡に生まれ、宝蔵院流槍術の開祖たる覚禅房胤栄に槍術を学んだりした」


「ならオレはコンラ。親父に会いに行ったら決闘申し込まれた末にブッ殺された」


「だったら拙者はマナナーン・マクリール。色んな魔法の品を持ってる」


 もうキリが無いのでこの辺りでやめとこう。


「で、本当の事を言うと、オレの名前はジョニー・デップ。ミュージシャンだが、映画俳優としても活躍してる」


「ウソをつくな。全く、これだからタカヤんは。あたいはマリリン・モンロー。世界最高の美女で」


「ウソをつくな」


 本当にキリが無いのでこの辺りでやめとこう。


「まぁ、知ってるだろうが、オレは孝也。一文字孝也だ。コードネームはコンバット一文字。好物は焼きビーフン」


「上から来るぞ、気をつけろ」


「せっかくだからオレはこの赤の扉を選ぶぜ」


 で、オレの自己紹介は終わったので、次はジル。


「拙僧はジル・ジャメシュ・エイミヤ。ちなみにスペルは、Gil・Gamesh・Eimiya」


 どっからともなく取り出した紙にスペルを書き綴るジル。


「なんで家名だけローマ字読み?」


「家名はラテン語なんじゃね?」


「適当だなぁ……」


「で、アテクシはこの頃はやりの女の子で流派東方不敗を編み出し、血濡れのギガンテスを操り、歌で戦争を終わらせた科学忍者である」


「混ぜ過ぎにもほどがある」


 なにがなんだかさっぱりわかんねーじゃねーか。


「じゃあ、ホントは小生は春風と共にやってくるピンク色の悪魔で、配管工をしつつ、源氏を倒すために地獄から蘇り、野菜を拾いながら雪山の頂上を目指すエスキモー」


「だから混ぜ過ぎなんだよオメーは」


 お前は一体何者なんだよ、ホントに。

 ……いや、何者かさっぱり分かんないし、この自己紹介もあながち間違ってないかも……。


「まぁいいや」


「いいんですか!?」


「ああ、オレはよくない事でも、まぁいいや、で流すのが特技だから。OK、まあいいや」


「流石だな、某たち」


「せやろ」


「せやな」


 とまぁ、無事に自己紹介は終了。

 今度はこっそりとこっちを伺ってた皆を手招き。


「イカれたメンバーを紹介するぜ! 火星人のタカヤ!」


「広東人や新成人よりはマシだろ!」


「以上だ」


「終わってもいねえよ! そもそもオレは自己紹介しただろ!」


「じゃ、改めて。自己紹介をどうぞ」


「は、はぁ……」


 という訳で、ようやくまともな自己紹介に移る。


「秋月蓮だ。理屈上、孝也の第一夫人になる」


「アリシア・リンカーネイトです。えっと、タカヤの二人目のお嫁さんです」


「シエルです! タカヤさんの三人目のお嫁さんです!」


「高原秋穂です。タカヤさんの内縁の妻をしております」


 不思議だな、みんなの自己紹介をしてもらっただけなのに、ルミエに汚物を見るような目で見られてるぞ?


「え、英雄色を好むとは言いますが……その、いくらなんでも、若すぎるのでは……?」


「違う、誤解だってばよ。オレはまだ何も疚しいことはしてないってばよ!」


「それが彼の最後の言葉だった。タカヤの両腕に冷たい鉄の輪が嵌められた。外界との連絡を断ち切る契約の印だ」


「ジルさん……オレ、どうして……10歳の子とばっかり結婚してるのかな……?」


「シラネ」


「チクショウ、というか、今考えたらお前だってオレの妾じゃねえか」


「わらわはまだ婚姻結んでないでござるよ。理屈上は客分でござる」


「どうしたら結婚になるの?」


「とうっ、して、がはは、グッドだー、ってなって、皇帝液ならぬ勇者液発射したら結婚」


「なるほど」


 よく分かったが、分かってしまった自分が悲しい。

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