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だらり異世界生活記  作者: 国後要
婚礼潮流
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市民、あなたは幸福ですか?

 激しく折檻され、ボロクズのようになったオレ。

 それによって、オレは真実に目覚めた。

 そう、世界の真理とは、ここにあったのだ。

 間違いない。オレは今こそ義務を果たすために覚醒したのだ。

 

「だいじょうぶだ……おれはしょうきにもどった!」


 そう、今こそオレは正気に立ち返った。

 これこそがオレの正しい姿なのだ。


「タカヤ、目がうつろだよ?」


「大丈夫です、問題ありません」


「……本当に大丈夫?」


「大丈夫です、問題はありません、コンピューター様」


 ああ、大丈夫だから大丈夫なのです。問題は無いのです。完全無欠に。

 ええ、問題ありません。コンピューター様。私は完璧で幸福な市民です。


「もう……どうして邪魔をするのかしら」


「正妻の座を易々と手に入れられると思ってもらっては困る……!」


「そう、そういうことなの……けど、恋というのは駆け引きなのよ。騙し討ちも上等なの」


「そうはさせない! 孝也は私を正妻に娶ると言っている!」


「はい、コンピューター様。幸福は市民の義務です」


「ち、ちがうよ! タカヤは私と結婚するんだよ! そうだよね、タカヤ!」


「はい、コンピューター様。私こそ完全な一文字孝也です。前任者のようなミスは致しません」


「孝也さん。私こそが正妻に相応しい……そうですよね?」


「はい、コンピューター様。さすがはコンピューター様です。心遣いに感謝します」


「…………孝也?」


「はい、コンピューター様。幸福は義務です」


「タカヤがおかしくなった! お医者さん呼んで! お医者さん!」


「どうしてこんなになるまで放っておいたんだ!」





 クッ……なんだか頭が割れるように痛い……一体何が起きたんだ。

 そう思っていると、みんながオレの事を心配そうに覗き込んでいるのが分かった。

 なんなんだ? って、オレ寝てんのか。


「た、孝也……市民の義務とはなんだ?」


 起き上がると、レンがそんな質問を投げかけて来た。


「……はい、コンピューター様。幸福は市民の義務です」


 どうしてパラノイアネタがレンの口から出てくるんだろう。

 そう思いつつも、そのフリにちゃんとボケで返す。


「くっ、まだおかしくなっているようだ! 今度はもっと強く殴ってみよう!」


 そういって、トンカチを手に取るレン。


「おい! 何するつもりだ!? そんなもんで殴ったら死んじまうだろ!」


 というか、今度は? 既に殴ってるってことか!?

 道理で頭が痛いと思ったら……。


「むっ、正気に戻ったのか!? 孝也! 市民の義務とはなんだ!」


「はい、コンピューター様。幸福は義務です」


 天丼されたのでつい……。


「ちっ、完全には治っていないと言うことか!」


「わーっ! 違う違う! オレは正気だ!」


「市民の義務は?」


「はい、コンピュ……いやいや! これは天丼! 天丼だから!」


 トンカチを振り上げられたので慌てて否定する。


「本当に正気に戻ったんだな?」


「ああ、正気だ。そもそも何があったんだ? お前になんか折檻されたのは覚えてるんだが。オレがマゾに目覚めたらどうしてくれるんだ」


「いや、その辺りは責任取れんぞ」


 それもそうだ。むしろ責任取って結婚するとか、専属の女王様になってあげるとか言われても困る。


「まぁまぁ、とにかく、朝ご飯にしましょう? 孝也さんの正妻の件に関しては、後でじっくりとね」


 え? 正妻? なんのこっちゃ?でも結婚するなら秋穂さんがいいです。

 ちょっと頭がアレなのを除けばとってもいい人だし。

 まぁ、とりあえずメシにしようか。






 そんな感じでメシを食べて、今日は家でだらだら。

 さすがに昨日のアレの後に出かけようとは思えない。

 秋穂さんがあちこちに声かけて物品売り飛ばしてるのも手伝えないしなぁ。


「ねぇねぇ、孝也。この本読んで?」


「……レン、アリシアちゃんみたいな口調はお前には無理があると思うぞ」


「……分かってるが、試してみたくなったんだ」


「……何を?」


「お前は子供好きだと言うから、子供っぽい言動の方が好きかと思っただけだ! ええい! そんなことはどうでもいい! とにかく読め!」


 そういって本を押し付けられる。

 ありゃ、これ共通語じゃないな。ラテン語じゃん。

 言語学スキルがあるから読めるが……。


「えーと、イソップ寓話か。これ、お前に話した事なかったっけ?」


 なんでか知らないけど、この世界にはイソップ寓話がある。

 正確に言うと、どうやら紀元前に端を発する話はこの世界にも存在するらしい。

 なのでエヌマ・エリシュとかヒッタイトの創世記神話とかがある。

 どうしてあるのかは知らないが。


 ただ、余り人に知られてるわけではないので、イソップ寓話なんかを話せると喜ばれる。

 旅の途中じゃ、ヒマな時にイソップ寓話を聞かせたものだった。


「ああ、聞いたことはある。あの外道の書斎を漁って居たら見つけたのだ。同じ話か確かめたい」


「ふうん……でも、お前ってこれ読めなかったか?」


「お、お前が話したのだからお前が読むのが筋だろう!」


 どういう筋だそりゃ。まぁ、いいけどな。さて、んじゃ読み聞かせしてやるとするかね……。

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