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だらり異世界生活記  作者: 国後要
郵便配達編
30/128

白ヤギさんたら読まずに食べた

 オレは女神が去って行ったのを見送ると、ため息をついて手元の手紙を見た。

 正神殿に届けろ、かー……一応女神の手紙なんだし、届けなきゃいかんのかー……。

 あー、めんどくせー……なんでめんどくせー事ばっか頼むんだよ。しかも台所壊してくし。

 

 お祈りとかぜってーしてやんねー。むしろ魔王に祈り捧げてやんよ。

 そう思いつつ、オレの部屋へと戻る。はぁ、やれやれ……。

 

 

 

 

 自分の部屋へと戻ると、オレは静かに扉を開ける。

 そして、刀を手に構えていたレンに自分が武器を持っていない事を示す。

 

「無事だったようだな。で、何があった?」


「ああ、なんか自称女神が出て来て、この手紙を正神殿に届けろとかほざいた」

 

「は? 孝也、疲れてるんじゃないのか?」


「疲れで手紙が物質化するか」

 

 色々と疲れてるのは確かだがな。

 しかし、さっきのあれは夢と幻ではない。

 でなきゃ台所はまた滅んだりしていない。

 

「まぁ、仕方ないから届けるけどさ。で……お前らなんでオレの部屋に居たの?」

 

 そう言うと、全員が目を逸らす。

 

「シエルちゃん、なんでかな? 教えてくれるかな?」


「だ、だってぇ……タカヤさんが妖怪の話で私を怖がらせるから、怖くて眠れなかったんですよぉ!」

 

 ああ、そう言うことか……。

 

「アリシアちゃんは?」


「えっと、あのね……実は、私もこわくて……」

 

 ああ、平気そうな顔してたけど、やせ我慢だったのか。

 

「で、レン、お前はなんでだ?」


 コイツに限って怖いとかはないだろう。

 子供の頃から妖怪が居るような場所で暮らしてたんだし。

 それで怖いとか言い出すのは無いだろう。


「私も怖かったのだ。あーこわいこわい」

 

「怖いのはまんじゅうか? それとも渋いお茶か?」


「今はどちらかというとまんじゅうだな」

 

「……で、なんでオレの部屋に居たんだ?」


「うむ、なんというか、その、あれだ……その、なんだ、うん、あれだ」


「主語を言え、主語を」


「……まぁ、私とて人肌が恋しくなる事もあるということだ」


「なんだ、甘えんぼだな」


 うりうり、と額を指先で突いてやると、顔を背けられた。

 

「まぁ、夜這いだのなんだのしなけりゃいいけどな……」


 ぽすぽす、とレンの頭を軽く叩いてそれで終わり。

 


 

 

 

 台所はまたもや滅んだ。

 台所は犠牲になったのだ。女神降臨の犠牲にな……。

 そう言うわけで、朝メシは作れず、またもや朝ごはんはトモエさんところのお世話になる事に。

 

 正直もう、我が家で朝食をとる事は永遠に無いのかもしれないとすら思えて来た。

 だって三日連続で台所滅んでるし。

 三度ある事はもう永遠にあると思った方がいいだろう。

 

「タカヤくん家の台所って呪われてるんじゃない?」


「今度お祓いとかした方がいいんすかね。それとも悪魔祓い?」


「エクソシストと神主さんとお坊さん纏めて呼べば?」


「退魔パワーのごった煮とな」

 

 三つの力が合わさって変なこと起こったりしたら嫌だな。

 そんな事を思いつつ、今朝は昨日とは別にサンドイッチセットを頬張りつつ、オレは疑問を口に出す。

 

「なんか高価な素材で台所作った方いいんですかね。神珍鉄とか」


「オリハルコンとか?」


「世界最強の台所ですな」

 

「むしろそんな材料あるの?」


「材料はありますね」


 一応アイテムボックスの中にごっそりと入っている。

 神珍鉄は無いけど、オリハルコンはインゴットでごろごろと転がってる。

 ぶっちゃけありがたみが無いレベルで。

 

「けど、それ台所に加工してくれる人が居ないと思うよ」


「でっすよねー」


 オリハルコンはこの世界でも貴重な金属だし、加工が難しい。

 そう言うわけで、台所に加工しろなんて言う注文を受け付けてくれる職人は居ないだろう。

 台所魔改造計画は水泡と帰したのだ。

 

 

 

 

 

 台所魔改造計画が水泡と帰した後、朝食を食べ終えてオレ達は家に。

 これからの事について話し合うためだ。

 とは言っても、話すべきことは一つ。

 女神(自称)の手紙を正神殿に届ける事についてだ。

 

 正神殿とは女神アリシュテアを奉る神殿の総本山。

 ここから遥か遠く離れた霊山の頂上に存在し、そこでは女神アリシュテアの信者が常に祈りを捧げ続けている。

 

 そこに対して手紙を届けろと言うのは分かるが、一体どんだけ遠いかをあの女神は分かっていたのか。

 いや、絶対分かってなかったんだろうな。

 分かってたらこんな無理難題を頼んだりしないだろう。

 

「……もうこれ破り捨てちゃおっかな」

 

 闇に葬り去ってもオレ達しか存在知らなかったら、そのまま闇に消えるだろう。

 

「それはさすがにまずいと思うよ……アリシュテア様が怒っちゃうかも……」

 

「白ヤギさんが食べたって言えば信じそうだし大丈夫じゃね」


「もう一度渡されたらどうするの?」


「今度は黒ヤギさんが食べたって言うわ。以下ループ」

 

「また捨てるんだ……」

 

 めんどくせえんだもん。

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