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だらり異世界生活記  作者: 国後要
郵便配達編
29/128

パンはパンでも食べられないルパンルパーン

 その後、騒いだせいで起きてしまったシエルちゃんに、血濡れの短刀を見られて色々と問い詰められたりしたが、問題なく収まった。

 

 その大騒ぎの中でも、全く起きなかったアリシアちゃんは本当に大丈夫なんだろうか。

 寝てる間に地震とかあったらぺっちゃんこになるんじゃねーか……?

 この辺りに地震があるかは知らないけど。

 

「はあー……適当に朝メシにしようか」

 

「そーですね……朝ごはんは、ジャムを買ってきてあるので、トーストにベーコンエッグで食べましょう」

 

「いいね」

 

 その時、階下で凄まじい轟音が響き渡った。

 

「シエルちゃん、ここにいて! レンはシエルちゃんとアリシアちゃんを頼む!」


「分かった!」

 

 レンに二人を頼むと、オレはアイテムボックスから適当な剣を手に階下へと駆け出す。

 階段を飛び降り、リビングに繋がる扉を蹴破ると、瓦礫の崩れる音のする台所を見やる。

 全壊した台所。もうもうと立ち込める土煙の中に小さな人影が見える。

 

「……誰だ?」

 

 いったい何者か、そう声をかけ、オレは改めて手の中の剣を握り、前方へとピンク色の剣を構える。

 ……これハエ叩きじゃねえか!

 クソッ、なんで剣出ろって思ってハエ叩きが出てくるんだよ!

 ええいっ、こうなったら名刀ハエ叩きの切れ味を教えてやる!

 真の剣士は得物を選ばないんだ!

 

「あいたたたぁ……もー、なんでこうなっちゃうのかなぁ?」

 

 ……女? しかも、子供か。

 暗殺者ってわけではないだろうが、怪しい事には変わりない。

 

「誰だ。武器を捨てて両手を上げて出て来い」


「えー? あ、タカヤくんだー」

 

 オレを知ってる?

 そう思っていると、土煙が晴れて行き……。

 

「女神様……?」


「えっへん、その通りなのだー。女神アリシュテアなのだー。どうどう? びっくりしたー?」


 女神アリシュテア。

 この世界を支配していた魔王に封印されていた女神。

 ほんの数か月前に解放された時に、魔王によって殺された全ての者を蘇生させ、仲違いしていた国を和解させた、頭悪そうな女神。

 それからは姿を消したが、これまでと同じく民を見守り続けているとか言われてたけど……。

 

「なんか……ちっちゃくなってね?」

 

「そうなのだー。大盤振る舞いで力を使っちゃったら、ちっちゃくなっちゃったのだー。あたしのないすばでーが台無しなのだー」


 すっげー頭悪そうな喋り方。

 

「んー? そんなにじろじろ見てどうしたのだー? あ、わかったのだー。孝也くんったら、あたしの魅力にめろめろなのだー。でもでもだめなのだー。あたしは女神様だから、その想いには答えてあげられないのだー」

 

「…………女神様、パンはパンでも食べられないパンはなーんだ?」


「むむ、禅問答なのだー。むー……わかったのだ! 食べられないパンなのだー!」

 

 先ほどの表現に間違いがあったことをお詫びいたします。

 頭悪そうな、ではなく、間違いなく頭の悪い、でした。

 大変申し訳ありませんでした。

 以降、このような事が無いよう努めさせていただきます。

 以上、ニュースキャスターの一文字でした。

 

「ふふん、正解なのだー? あたしは天才なのだー。ほかに問題を出してもいっぱつで答えてあげるのだー」

 

「……伸びれば伸びるほど、地面に近づくものなーんだ」


「えーと、えーと、納豆!」


 髪の毛だよ。

 

「……空にはなんて虫がいる?」


「いろんなの!」


 ハエだよ。

 

「……来るのに居なくなる動物なーんだ」

 

「えーと、チーター!」

 

 サルだよ。去る、ってな。

 

「女神様。あなたに、あなたは愚か者で賞を授与します」


「わーい、やったのだー。で、どういう賞状なのだー?」


「永遠に頭を使わないでください、ってことです。使っても意味ないので」

 

「よくわからないけどわかったのだー」

 

 ああ、これはもうだめかも知らんね。

 この世界の女神様がこれとか終わってるわ。

 でも、君主はバカな方が臣下が頑張るって言うし、これでいいのかも。

 

「えー……で、女神様。なんでうちに来たんですか」

 

「あ、そうなのだー。孝也くんにお願いがあって来たのだー」

 

「なんすか」


「あたしは信仰心を得ると力になるのだー。だから、毎日ちゃんとお祈りしてほしいのだー」

 

「あーはいはい。今日も恵みをありがとーございますアリなんとか様ー」

 

 そう言っておざなりに祈ると、ちょっとだけ女神様の身長が伸びた。

 えー……今ので効果あるんだ……。

 

「おー、ぎゅんっ、と来たのだー。ありがとうなのだー。それから、これを神殿に届けてほしいのだー」

 

 そういって手渡されたのは一通の手紙だった。

 見たことない封蝋だな。女神様の封蝋か?

 

「あたしのおてがみなのだー。ちゃんと正神殿に届けてほしいのだー」


「えっ」

 

 正神殿って言うと、こっから千キロは離れてるんだけど……。

 

「じゃあ、お願いするのだー。さよならー」


「ちょっ、自分で届けろぉーっ!」


「えー、めんどくさいからやってほしいのだー」

 

 そう言うと、クソ女神は破壊された天井を抜けて空へと昇って行く。

 それに向けて瓦礫を投げつけまくるのだが、全く効いてない!

 

「クッソー! この駄女神! アホー!」


 出来るのは悪口を言うくらいだった。小学生かオレは……。

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