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だらり異世界生活記  作者: 国後要
郵便配達編
28/128

あの世は病院ではない

 ベッドの上には、人がみつしりと詰まつてゐた。

 

 そんな気分だ。

 

「……どうしてみんないるんだ」

 

 目が覚めたら、オレの上にアリシアちゃんが乗っていた。

 もちろん、胸の上でべたーと寝ているだけだ。

 とりあえず横に転がそうとしたらそっちにはレンが。

 ならとりあえずオレがベッドを降りようとしたら、なぜか足にシエルちゃんがしがみついていた。

 

 わけがわからないよ。

 

「おーい、誰でもいいから起きてくれー」


 ……返事が無い。クッソー、どうしたらいいんだ。

 こうなったらヒマだから……レンで遊ぶか。

 

「えー、まずはほっぺを撫でようと思います。柔らかいですね。マシュマロのような触り心地です。これは売れる! レンちゃんのほっぺマウスパッド、定価3800ゴル。ああ、マウスねーや」

 

 オレは一体何をやってるんだ?

 まぁいいや、ヒマだし続けるか。

 

「唇はピンク色で可愛いですね。キスをしたらさぞかし柔らかい事でしょう。このロリコンめ。初恋はレモン味とか言いますが、その辺りはどうなんでしょう。私はキスをしたことが無いので知りません。リア充爆ぜ割れろ」

 

 さすがに唇触ったら犯罪臭いのでやらない。

 

「寝顔はあどけない雰囲気がしてたいへん可愛らしいです。いつもこんな風に笑っていれば可愛いのに、しかめっ面やら、生真面目な顔を作っているので、すこしお堅い雰囲気がありますね。ですが、そんな雰囲気もクールでかわいいと思われます」


 これは本当だ。もうちょい笑顔が多ければいいのになー、とは思うが。

 

「髪の毛はよく手入れされているのか、つやつやとしています。この髪の撫で心地はたいへんよろしいです。黒髪のストレートというのも清楚な雰囲気が感じられて大変よろしいです。お嫁さんにするならこんな子ですね」

 

 はて、オレは一体誰に向けて言ってるんだろう。

 ……たぶん、オレの知らない誰かだな。それが誰か分からんけど。

 

「では次は手の方に行きましょう。手は剣ダコが出来ていて少々硬いですが、女の子らしい柔らかさも兼ね備えています。手相は生命線が長く、長寿な一生を送ることが分かります。クッキリとした運命線は幸せな人生を手に入れる事を表しています。感情線は豊かでこまやかな気遣いが出来る性格を示していますね。これは素晴らしい手です」


 占いスキルの無駄遣い。しかし本当にいい手相だな。

 オレの手相も似たようなもんだけど。

 

「では次は体です。ふむふむ、よく筋肉がついたしなやかな体つきです。スレンダーで健康的な体型に成長する事が伺えますね。なかなか私の好みの体型です。ぜひともこのまま成長してくださることを望みます。胸の方は体相応に膨らむでしょう。お尻も安産型だと思われます。触って確かめる事は犯罪なので出来ませんが」


 うん、さすがにそれはヤバイ。

 寝ているからってやったらよけい犯罪臭い。

 

「脚はカモシカのように締まった足です。瞬発力に優れたすらっとした足ですね。左足が少々大きく見えるのは、左腰に刀を佩いていて重心が寄っているためでしょう」

 

 本当にちょっとだけだけどね、大きいのは。

 

「えーと、後は……えーと……ああ、そうだ。着ているのは襦袢ですね。年齢不相応な色気を発揮しています。ところでこの寝間着は一体どこから調達したのでしょうか」

 

 どっかで買ってきたのか?

 それとも自分で作ったのか?

 

「あー……えーと……後は……飽きた。終わり。あー……ヒマだ。誰か起きねーかな。次はアリシアちゃんの批評でもやるか?」


「……起きてるぞ」

 

「へあっ!?」

 

 すぐ隣から声が。

 そこには目を開いているレンの姿があった。

 

「お、おお、起きたのか。……いつから起きてた?」


「……お前が頬を触った辺りから」


 ……最初からじゃねーか。


「……レン、オレは腹を割る。介錯を頼む」


「ま、待て! 落ち着け! 早まるな!」

 

「ええい! オレはいろんな意味で生きていけない! どっかに居る両親へ、先立つ不孝をお許しください! あの世に来る時はジャンプ買ってきてください! あと、ゲーム機を持ってきてください! 充電器も!」

 

 よし、言い残した事は無い。

 さあ、腹を割るぞ!

 腹を割る時はまず、身を清めます。

 今回は省こうと思います。

 

 では、さっそく腹を掻っ捌きます。

 

 今回はこちらの短刀を使おうと思います。

 本来は盾の分類に含まれる短刀なのですが、刃もあるのでこちらで十分です!

 では、行きます!

 

「チェストォーッ!」

 

「落ち着けぇぇぇぇっ!」

 

 頭に凄い衝撃。あと、腹に激痛。

 

「腹を割るのはやめろ! なぜ切腹しようなどと思ったのかは知らんが……ああ! なぜもう腹を割ってる!?」


「お前が頭にドロップキックしたせいで刺さったんだよ! やるつもりなかったのに根本までざっくり行ったじゃねーか!」

 

「ば、馬鹿者! 死んだりしたら許さんぞ! 私を嫁にしたいと言ったのはウソか!」


「今は関係ねえよ! ああもう!」

 

 短刀を引っこ抜いて放り投げると、アイテムボックスから適当なポーションを取り出して傷口にぶっかける。

 

「染みるぅぅぅぅっ! くぅぅ……けど、これが効くんだ……!」


 傷口にかけると治りが早いんだけど、めっちゃ痛いんだよな……。

 そう思っていると、オレが握っているビンを見てレンが呟く。


「……爆薬と書いてあるぞ」

 

「えっ!? マジだ!?」

 

 ポーションはポーションでも、エクスプロードポーションを使ったらしい。

 ははは、こんなもん効くわけねーだろ!

 

 今度は正しくヒールポーションを取り出して傷口にぶっかける。

 今度も滅茶苦茶染みる。けど、今度こそちゃんと傷が治っていく。

 

「ぬぉぉぉ……効いたぁ……」

 

「……大丈夫か?」


「だ、大丈夫……」

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