表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
だらり異世界生活記  作者: 国後要
だらだらまったり編
26/128

どうかKappaと発音して下さい

 夜も近づいて来た時刻、職人さんが直してくれた台所でレンが忙しなく動き回っている。

 そして、オレも同じく台所にて手伝いをしている。

 

「米研ぎは終わったか?」

 

「ああ、終わった。水がキレイになるまでやるんだろ?」


「よし、上出来だ」

 

 米研ぎくらいはいくらなんでも出来る。

 洗剤だって入れたりしない。馬鹿にすんなよ。

 

「では、次は魚の骨を抜いてろ」


「任せろ」

 

 オレのやってる事は主に雑用だが、それでもその分メシが早く出来ると思えばやる価値はある。

 こういうのは合理性だからな。

 

「よし、だいたい抜き終わったぞ」

 

「では、次はそこで茶でも啜っていろ」

 

「任せろ」

 

 手渡された湯呑を受け取って茶を啜る。うん、うまい緑茶だ。

 買ったはいいけど、今まで一回しか淹れたことないんだよな。

 これからは消費されるようだし、無駄にならなかったようだ。

 けどこれって手伝いなのか?

 

「なあ、レン。これって手伝いなのか?」


「ああ、邪魔をしないと言う手伝いだ」


「なるほど。オレはもうお役御免か」


「うむ、これ以上はお前の手に負えん」

 

「そうか、ならオレは大人しく茶を啜ってる」

 

 うん、お茶がうまい。

 でもなんでだろう。少し悲しいんだ。

 

 

 

 邪魔をせずにいると言う何故か悲しい手伝いを終えた頃、食堂のテーブルの上にはレンの作った料理が並んでいた。

 

 ふっくらつやつやとしたごはん。

 白身魚の塩焼き。

 白味噌の油揚げと豆腐の味噌汁。

 ホウレンソウのおひたし。

 ひややっこ。

 きんぴらごぼう。

 

 うん、すごく、和食です。

 

「さて、では頂くとするか」

 

「いただきます。ひゃっほう、ひややっこだ」

 

「みょうがが無かったのが残念だ。季節ではないしな」


「みょうがはイラネ」

 

 あれは何のためにあるんだ? 別にうまくもないし。

 春によく出るから、春が来たなぁ、とは思うんだが。

 

「この白いのはチーズなの?」


「豆腐だ。豆を使った食材だ」


「特に味しねえから醤油かけて食べる」


「この炒め物はなんですか? ……木の根っこ?」


「ごぼうだ。歯応えがあってうまいぞ」


「甘辛くてうまいな。好きな味だ」


「ふへー……東の人って、変わったものを食べるんだね」

 

「タカヤさんにレンさんも、よく細い棒でごはん食べられますね」

 

「むしろこっちの方がやりやすいぞ。慣れればな」

 

「うむ、私はフォークもナイフもうまく使えんしな」

 

 オレはだいぶ慣れたけど、ここらの人には負ける。

 やっぱり箸が一番だよな。そう思いつつ、ご飯を食べ進む。

 しかし、今日はなんだかすごく有意義な一日を過ごした気がする。

 

「明日は何しようかなぁ」

 

 なんか仕事するかな?

 みんな連れて遊びに行くのもいいかもな。

 アリシアちゃんは町に行った事ないって言うし。

 シエルちゃんは遊ぶ余裕なんかなかったみたいだし。

 レンはどうなんだろ。知らんけど、この町は知らんだろう。案内してやるのもいいかもしれない。

 

「ええと、とりあえず、台所は壊さないでくださいね?」


「いや、普通に壊さないよ?」


 オレのことなんだと思ってるんだ?

 

「まぁ、明日のことは明日考えろ。明日のことを言うと鬼が笑うぞ」

 

「レンが笑うのか」

 

「本当に鬼を連れてきてやろうか」

 

「居るのか」


「居るに決まっているだろう。何を言っているんだ」

 

 居るんだ。そして常識なんだ。東の国って凄い。

 

「九尾の狐とか居るの? 長飛丸居る?」


「九尾の狐は昔居たそうだ。長飛丸は知らん。聞いたことも無い」

 

「なんだ、つまらん」

 

 あの槍があったらコレクションしようと思ったのに。

 物騒だし、代償ヤバイしで使う気にはなれないけど。

 

「酒呑童子とかいるの?」


「大昔に居たそうだが、征伐されたそうだ」


「茨木童子は?」


「それもだ」


「覚は?」


「山野に棲んでいるらしいが、見たことは無い。猿に似ているらしいぞ」

 

 なーんだ、人間っぽい見た目じゃないのか。

 

「河童はいんの? 発音はkappa?」


「居るらしいぞ。見たことは無いが。発音と言われても河童は河童だろう」


 東の国すげえ。超いってみてえ。なんか今から三週間後が楽しみになって来た。

 いや、二週間くらいしたら行こう。観光しつつ行こう。

 シエルちゃんへのお土産も時間かけて選びたいし。

 

「あの、さっきからなんとか童子とか、さとりってなんですか?」


「妖怪のことだ」


「妖怪?」

 

「えーと、幽霊……とはちょっと違うか。悪魔ともちょっと違うし」


「説明が難しいな。妖しげな怪異としか言いようがない」


 妖怪ってなんて説明したらいいんだろ。

 妖怪は妖怪としか言いようが……うーん……。

 

「河童をこちら辺りの言い方で言うとなんといえばいいやら……」


「レインコート」


「それは合羽だろう」


「じゃあウォーターインプだな」

 

「インプですかー。水の中にすんでるんですか?」


「ああ、相撲をして負けると殺されるんだ」


「ええ!?」


「具体的に言うと内臓を引っこ抜かれるんだ。ちなみに抜いた内臓は食うらしいぞ」

 

「こ、こわいです! そんなのが居るんですか!?」

 

「いや、孝也の言っている事は全部うそだ。相撲は好むが負けても殺されん。内臓を引っこ抜いたりもせんし、ましてや食ったりもしない」

 

 なんだ、こっちの河童はやらないのか。

 

「鬼って言うのはどんななんですか?」


「オーガとかデーモンとかその辺り」


「うええっ!? そ、そんなのまでたくさんいるんですか!?」


「いや、孝也の言っている事は……概ね間違っていないな」

 

「あ、あってるんですか!?」

 

「だいたいあってる」

 

「じゃ、じゃあ、覚っていうのは……」


「心を読む」


「そ、それだけなんですか?」


「そして人間を食う」


「う、嘘ですよね?」


「本当らしいぞ。運がよくないと食われる」


「た、食べるんですか!?」


「ああ、食うな。食われない事もあるらしいけど、たいがい食われるらしい」


「まぁ、会ったら運が悪かったと思って諦めろ」

 

 日本の妖怪って改めて考えると怖いな。

 

 

 

 そんなこんなで楽しげ(?)に会話をしつつ和やかに夕食は終わり、眠る時間に。

 今日は何の遠慮も無しに一人で寝れるな!

 

「さーて、寝るかー」

 

 ベッドに飛び込んでシーツをひっかぶる。

 明日はなにすっかなー?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ