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だらり異世界生活記  作者: 国後要
またもやおしかけ女房編
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必殺入眠拳

 さて、シエルちゃんとアリシアちゃんを寝かせたわけだし、後はレンだ。

 さすがに女の子を床で寝かせるわけにはいかないしなー。


「よし、レン」


「なんだ。私は床で寝ればいいのだろう。そうだろう。なに、私は野宿も慣れっこだ。屋根があるだけありがたいさ。ふんっ」


 拗ねてるし。こういう所は年相応に子供っぽいんだな。

 

「さすがに女の子に床で寝ろなんて言うほど鬼畜じゃねえ」


 それに旅してここに来たわけだし、疲れてるだろう。

 なおさら床で寝ろなんて言えない。

 言えたとしたらそいつは本物の鬼畜だ。外道だ。

 

「ではどうしろと? 家具は無いのだろう?」


「今日はオレの部屋で寝ろ。それでいいだろ」


 まぁ、それが一番簡単な解決方法なわけで。


「なん……だと……!?」


「クク……いつからオレが床で寝ろと言うと錯覚していた?」

 

 ていうか、普通はそうするよね。人として、年長者として、何より男として。

 

「それはつまり、婚前交渉を……」


「お前、床で寝ろ」


「すまん、許せ」


「許す」

 

 という訳で、さっそくオレの部屋に。

 オレの部屋はあれこれと物が置いてあるわけでもなく、ベッドと机があるだけのつまらない部屋だ。

 まぁ、寝るだけの部屋だから別に困らないし。

 置くものも特にないしな。剣とかそう言うのはアイテムボックスの中だ。

 

「ベッドの下に春画は無いのか?」


 そう言いつつベッドの下を探るレン。春画とはつまりはエロイ絵のことだ。


「無い」

 

 アイテムボックスの中にあるからな。

 

「では机の引き出しに昔書いた恋文があるのか」


 そういって机の引き出しを全部開け始めるレン。恋文とはつまりはラブレターのことだ。


「無い」

 

 それもアイテムボックスの中だ。

 あて先はアリエルだから、後で焼却処分しよう……。

 さようなら、オレの知ってる美少女アリエル。こんにちは、オレの知らない男の娘アリエル。

 

「なら何処かの隙間に昔の女からの恋文があるのか?」


 そういって壁と机の隙間を見るレン。

 

「それも無い」


 それはアイテムボックスの中にもない。

 鞄の中も、机の中も、探したけれど見つからない。

 それなのにまだまだ探す気か。それより俺と踊り……いやなんでもない。

 

「つまらんな、何もないではないか!」


「なにも無くていいんだよ! さっさと寝ろ!」


 ったく、何を期待してるんだこいつは。

 

「仕方ないな、寝るか。私が奥側でいいな? ないとは思うが夜襲された時の事を考えればその方がいいだろう。お前の方が強いのだし」


「いや、オレは床で寝るけど」


 さすがに子供とは言えど、女の子と同じベッドで、って言うのはまずいだろう。

 だから最初から床で寝るつもりだ。

 客間で寝てもいいけど、客間は冗談抜きで掃除してないから起きたら鼻水で凄い事になりそうだ。

 だから床で寝る。


「何? ならばそれは出来ん。お前がこのベッドで寝ないのならば、私も床で寝るぞ」


「は? なんだそれ。いいから寝ろ」


 レンを抱え上げてベッドにぼーん。

 

「眠らん!」

 

 ベッドのはずみで飛びかかって来た。

 回避すると、べちゃりと地面に落ちるレン。

 華麗に着地すると思ったのに。

 

「……なにやってんだお前」


「あうう……は、鼻が潰れたかと思ったぞ……」


「大丈夫か?」

 

 どうやら鼻が折れてるわけでもないし、鼻血が出てるわけでもない。

 単純にぶつけただけだな。丈夫な奴だ。

 

「くっ、お前が私を受け止めんからだ! あそこは受け止めるべき場面だろう! それでも男か!」


「受け止めてがっぷり四つに組み合うのか」


「うむ、そして私がお前をベッドに投げる」


「オレはお前を窓から突き落とすわけだ」


「やめろ」


 どうして相撲になるんだ。がっぷり四つとか言い出したのオレだけど。


「ったく、とにかく一緒に寝ればいいんだろ」


「む、そうだ。最初からそうしてればよかったのだ。ふふん」


「やれやれ……さっさと寝ろよ」


 さっさとレンをベッドに転がし、オレも同じくベッドに入る。

 あ、レンあったけー。子供の体温って高いなー。

 冬は湯たんぽになりそうだ。一緒に寝たりしないけど。

 

「ところで、お前は婚姻はどの国の方式がいい?」


「どれでもいい。さっさと寝ろ」


 レンが寝たらリビングのソファで寝よう。

 朝になって騒ぎになったりとかはイヤだしな。

 

「ところで、明日の朝食は私が作ってやるぞ。米はあるか?」


「台所の貯蔵庫にある。メシ炊く釜もある。使ったことないけど」


 買ったはいいけど、使い方も炊き方も分かんなかったから諦めた。

 喫茶店に行けば米は食えるしな。

 

「では、明日の朝は楽しみにしていろ」


「分かったから早く寝ろ」


 元気いっぱいだなこいつ……早く寝ろよ。


「明日の朝は尺八で起こそうか?」


「拳で寝かしつけるぞ」

 

「すまん、許せ」

 

「許す」

 

 ったく、この耳年増が。

 

「早く寝ないと本当に拳で寝かしつけるからな」


「分かった分かった。寝る。疲れているしな」

 

 そういってレンが目を閉じる。

 うわ、まつ毛長いな。黙ってれば本当に可愛い子なのに……。

 

「欲情したか?」


「寝ろ」

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