表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
だらり異世界生活記  作者: 国後要
またもやおしかけ女房編
17/128

おたまじゃくしが読めるわけないだろ、いい加減にしろ

「さて、部屋割りが決まったのはいいが、実を言うと家具が一切ない」

 

「ええー!? じゃあどうするんですか!?」

 

「今から作る」

 

「え? 作る? えっと、ベッドとかですよ?」

 

「うん、作る」

 

 そう言いつつ、オレはアイテムボックスに手を突っ込んでお目当てのものを探す。

 大抵すぐに見つかるんだけど、何が何処にあるかよくわからんようになるのだ。

 みんなはどうやって中身の把握してるんだろ。

 おっと、あったあった。

 

「さてさて、取り出したるはピアノ」


「おっきいですねー……」

 

「うん、中々シュールな絵だよね、これ」

 

 片手でグランドピアノ持ち上げてる姿ってスゲエシュールじゃね?

 そう思いつつ、その場にグランドピアノを降ろす。

 二階の階段を上ったすぐの場所はホール状になってるので、ピアノを置くくらいは楽々出来るのだ。

 

「タカヤってピアノ弾けるの?」


「弾けるよー。弾けるようになったのはここ一年だけどね」


 どうやら楽器の演奏はスキル扱いになってるようで、どんな難しい曲でも難なくこなせるのだ。

 正直使い道は無いけど、かくし芸くらいにはなる。

 でも、この場ではそれが重要なわけだ。


「へー……そうなんだ。私は三年前からピアノの練習してるんだ。今度聞かせてあげるね」


「楽しみにしとくよー」

 

 椅子も取り出して、ピアノの前に座る。

 さて、んじゃ、やりますか……。

 

「みんなはどんな家具がいい?」


「えと、私はベッドだけでいいです。でも、ピアノなんか何に使うんですか?」


「私はベッドと机が欲しいかな。あと、座り心地のいい椅子も……。お勉強しないといけないから」


「私は出来れば布団がいい。あとは特にいらん。寝れればいい」


「オーケーオーケー。デザインはこっちで適当にやるけど許してね。さて、んじゃ、まずは亡き王女のためのパヴァーヌ」

 

 そう言うと、オレはピアノを弾き始める。

 亡き王女のためのパヴァーヌは何処か物悲しい優雅で繊細な曲だ。よく知らんけど。

 オレの指がその旋律を響かせ始めると、空中に木材が次々と現れる。

 そして、その木材が空中で踊り、一瞬で加工されていく。

 

「わ、わ、わ! すごいです! なんですかこれ!」


「ほう、マジックアイテムだったか。家具を作るためのマジックアイテムか?」

 

「そそ。家具以外作れないけどね」

 

 ゲームのアイテムだからこその滅茶苦茶具合だよね。

 そもそもなんでピアノなのかって言う疑問があるし。

 そう思いつつもピアノを弾き続けると、木材はベッドになり、ベッドにはロココ調のデザインが施されていく。

 おー、すげえ。曖昧なイメージでやってるのに、しっかりそれっぽくなるのな。

 

「次はエリーゼのために。本当はテレーゼって名前らしいけどね」

 

 ベッドに何処からともなくクッションとマットレスが備え付けられ、シーツと枕もセットされて完成。

 ベッドは二つ出来上がったから、次は椅子と机だな。

 学習机でいいだろう。

 

「綺麗な曲……タカヤってピアノも上手だったんだね」


「まぁね」


 ピアノなんて昔は触った事も無かったし、楽譜もおたまじゃくしにしか見えなかったけど、今じゃばっちり分かるんだよな。

 三味線と尺八の楽譜も読めたし。元のオレだったらなんかの暗号だと思ってただろう。

 

「よーしよし、こんな感じでいい? ダメなら別の作るけど」

 

 さておいて、出来上がった机に加工を施しつつ、使用者になるアリシアちゃんに聞く。

 

「うん。デザインもかわいいし、すっごく気に入ったよ!」

 

「それならよし、と」

 

 机と椅子の製作を完了させ、次にカーペットだのなんだのを創り上げていく。

 しかし、これって材料どっから出てるんだろ?

 考えても分かんないけど気になるな。

 

 

 

 そうして、一時間ほどの演奏で大体の家具の製作が完了する。

 これでシエルちゃんとアリシアちゃんの部屋は完璧だ。

 

「ところで、私の使うだろう家具が一切見えないのだが」


 と、レンが。うん、その指摘はもっともだ。

 だって作ってないからな。見えるわけがない。

 

「実を言うとこのピアノはな……」


「このピアノは?」


「洋風の家具しか作れないんだ」

 

 つまり、布団だのなんだのは一切作れない。

 どういう基準で洋風と判断してるのかは分からないけど。

 

「では私はどうすればいいのだ?」


「和風の家具が作れる楽器もあるんだ」

 

 そういってアイテムボックスから、今度は三味線を取り出す。

 三味線の他に、尺八とか横笛とかもある。

 

「なるほど、ではそれで?」


「ああ、そうなるが……三味線だの横笛だの使った曲を知らんのでどうにもならん」

 

 オリジナル曲を作ったりとかは出来ないのだ。

 あくまでも、聞いたことのある曲や楽譜を見た事のある曲を弾けるだけなのだ。

 だから、曲を知らない楽器は演奏が出来ない。

 

「ではどうするのだ!? 私に床で寝ろと言うのか!?」

 

「まぁ、それは後で」

 

 とりあえず、全員総出で家具を部屋に運び込み、部屋の整理を終える。

 そして、とりあえずシエルちゃんとアリシアちゃんは部屋で寝かせる。

 

 さて、次はレンか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ