表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
だらり異世界生活記  作者: 国後要
またもやおしかけ女房編
15/128

静まれー! 静まれー! ここにおわす方を……静まれー!

 とりあえず、オレが勝手に裏切られた事についてはさておいて。

 今重要なのは、レンがオレに結婚してくれって頼んで来た事だったはずだ。

 

 でも次にアリエルにあったらどんな顔したらいいんだろ……。

 ああ、過去のオレにアリエルは男だって教えたい……。

 いや、今はそれは置いておこう。あとで考えよう……。

 

「えーと、で、頼めるのがオレしかいなかったってことか?」


「うむ。それに、お前の異名は故郷にも届いている。この国を襲った竜を一撃で仕留めた竜殺し、魔王軍一万を僅か一人で征伐した殺戮の覇者など……」


「おいやめろ、殺戮の覇者って言うのはやめろ」

 

 オレの中二ソウルがぎゅんぎゅん言い出して、黒歴史がオレの心を痛めるんだ。

 

「よくわからんがわかった。とにかく、お前なら偽装結婚の相手としてピッタリだろうと言うことなのだ。頼まれてくれるか?」


「……しゃあないな。本当なら頷かないところなんだけど、まぁ、仲間だからな」


 レンには色々と世話になったし世話もした。

 そのレンが助けてくれというのだから、頷くのが仲間ってもんだろう。

 まぁ、この埋め合わせはいずれしてもらうつもりではあるが。

 

「そ、そうか! 頼まれてくれるか!」

 

 うわ、凄い嬉しそう。

 よっぽど結婚したくなかったんだなぁ……。

 

「ま、まってください! 本妻は私! 私ですよ!? まだ結婚はしてませんけど、本妻は私です! そうですよね、タカヤさん!」


 と、シエルちゃん。


「ええ!? それじゃあ私も! 私が本妻! 私と結婚したら、貴族の仲間入りできるよ! それに一生働かないで暮らせるよ!」


 と、アリシアちゃん。


「む? よくわからんが私も本妻だ。私とお前は気心の知れた仲だし、私はちゃんと夜の生活についても婆やから教育を受けているぞ」

 

 なに謎の競い合いしてんだよ。

 

「あーもう! 静まれ! 静まれー!」


 とりあえず、落ち着かせなきゃ話にならん。

 なので声を張り上げて落ち着かせる事に。


「とりあえず、結婚っていても、偽装結婚だからな? あくまで名目上の結婚なんだぞ?」


「で、でも! そのまま本当に夫婦になったりしたらどうするんですか!? 顔合わせに行くだけとか言ってこの人の家に行って、そのまま拘束されたりしたらどうするんですか!」


「そうだよ! タカヤがこの人のお家に連れていかれて、そのまま帰って来なかったりしたら私達はどうしたらいいの!?」

 

「そ、そんなことは無い! あくまで、あくまでも偽装結婚だぞ! わ、私は孝也に対して恋愛感情など無い! 本当だ!」


「ええい! 静まれ! 静まれー! 静まれーい! 全員静まれーい!」


 もう一度声を張り上げて落ち着かせる事を試みる。

 しかし、猛り狂う全員を鎮める事は出来なかった。


「わ、私、タカヤさんが帰って来なかったら連れ戻しにいきますからね! ここがあの女の家ね! って言って連れ戻しに行きますから!」


 やめろ、なんかヤンデレ臭くて怖い。


「私だっていくんだから! タカヤに教えてもらった剣でタカヤのことを助けにいくんだから! 立ち塞がる人はみんな斬り捨てるんだから!」


 それじゃ辻斬りだ。ヤンデレにもほどがある。


「だからそんなつもりは無い! 家に縛り付けて、孝也が本気になるまで待つなんて考えていない!」

 

 レンだけはまともか……でも声はデカい。

 

「だから静まれ! 静まれー! 静まれーい!」


 これ以上騒いだらご近所さんが怒鳴り込んでくるかもしれん!

 近所に悪評が立つのは嫌だ! だから静まれ!

 

「で、でも! もし本当にそうなったらどうするんですか!? わ、私、タカヤさんのお妾さんでもいいです! だからすてないで!」


 いや、捨てるつもりは最初からないよ。


「わ、私も! 私も私も! 私も本妻じゃなくて妾でもいいから! 私がんばるから!」


「む、むぅ! 私も妾でも構わん! お前の妾ならば父上も納得するに違いない! それでもかまわん!」


「だからみんな静まれ! 静まれーい! しず」


「私お料理もお掃除もがんばります! お仕事だってします!」


「私もお裁縫とか編み物なら出来るよ! お針子の内職とかなら出来るもん!」


「わ、私とて裁縫くらいは出来る! 飯炊きもだ! 剣の腕にも自信があるぞ! お前の事を養うくらいは簡単だ!」


「静まれーい! 静まれーい! 静まれーい!」


 もうどうしたらいいんだ。

 どうやったらこの子たちは静かにしてくれるんだ。

 

『ゴチャゴチャうるせぇぞ! こっちはメシ食ってんだ! 静かにしろ!』

 

 そして、家の外から怒鳴り声が聞こえて来た。

 水を打ったかのように静まり返る食卓。

 

「……し、静かにしような? な?」


「は、はい……ごめんなさい……」


「うん、私、静かにするね……ごめんね、タカヤ」


「私もいささか興奮し過ぎた……すまぬ……」

 

 ああ、なんか色々と疲れた……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ