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だらり異世界生活記  作者: 国後要
そろそろ章タイトルが思いつかなくなってきた編
124/128

ニンジャ!? ニンジャナンデ!?

「魔王ー、遊びに来たぞー」


 グワッシャア、と扉をノックで破壊して魔王の部屋にはいる。

 直後、顔面に向けて拳を象ったブロンズ像が飛来して直撃した。


「ギャアアアアアッ! オレの顔がぁぁぁ!」


 激痛に悶えて転げ回りつつ、転がったブロンズ像を拾い上げる。

 なんなんだこれ。こんな調度うちにあったか?


 まず間違いなくオレのものではない。元の世界の自室だって、パソコンがある以外は苦学生の部屋って言われてたくらいだ。

 とすると、魔王の私物か。

 

「魔王、これお前の私物か?」


 言いつつ部屋に入ると、今度は足を象ったブロンズ像が飛んでくる。

 それをキャッチしつつ部屋に入り込むと、そこには半裸の魔王が!


「入ってくるなぁ!」


「着替え中だったか。失礼したな」


 後頭部にブロンズ製の胸像の直撃を喰らいつつ退室。

 やれやれ、ノック(物理)した時に着替え中って言えばいいものを。




 さて、数分ほど待ってから再び魔王の部屋に入ると、趣味の悪い私服に着替えた魔王が出迎える。


「クックック、よくぞ来たな、勇者よ……」


 おお、外見だけは全盛期なだけあるな。

 なんとも言えないカリスマがあるような気がしてくるぜ……。


「あれ、お前って今朝までは十歳くらいの見た目してたよな?」


「ふん、シエルが私に祈りを捧げてくれたのだ。そのおかげで、こうして見た目だけは全盛期に戻る事が出来た」


 なるほど。そう言う方法か。


「そうかそうか。じゃあ、オレも祈ってやろう」


「ほう、よい心がけだな、勇者よ」


「じゃあ、さっそく。女神アリシュ……」


「そっちに祈るな!」


 カッ飛んできたクリスタルガラスのライオンを受け止めつつ、祈るのは中止する。


「まったく……改めて、勇者よ。よくぞ来たな、何用だ……」


 カリスマたっぷりの態度で魔王が問いかけてくる。

 さすがは魔王……態度だけで偉そうに見えてくるぜ。


「ああ、少し懸念事項があってな」


「なんだ? 言うてみよ」


「オレが居なくなったら、夜一人でトイレ行けるか? 頭一人で洗えるか? 一人でお留守番できるか? お使い行けるか?」


「舐めるな!」


 おや、怒った。まぁ、怒るか。


「そもそも我に排泄など不要! 風呂に入らずとも身を清める魔法だとてある! 留守番やガキの使いなど、この魔王に出来ぬと思うてか!」


「そっち方面で舐めるなって言ったのかよ!」


 コイツ頭悪くなってねえか? 間違いなく悪くなってるよな。


「まぁ、そう言うふざけた話はとりあえず置いておくぞ」


「ふざけ始めたのは貴様であろう」


 それもそうだが、それを言っちゃあお終いよ。


「さて、割と真面目な話になるが、オレはもうちょいとしたら一度元の世界に帰ります」


「元の世界?」


「ああ、元の世界。オレ、異世界から来たんだよ」


「ほう、そうであったか」


 あんま驚いた様子はないな。まあ、異世界から来たって人間、割と居るらしいしな。

 とは言っても百年に一人とかそう言うレベルらしいが。


「でも、そうするとオレは暫く留守にせざるを得ません」


「そうか。それで?」


「その間になんか悪さされたら溜まったもんじゃないので、お前も連れて行きます」


 後顧の憂いが断てないなら、憂いの原因を持っていけばいいじゃない、というわけだ。

 人数増えると負担増すが、仕方ないのだ。


「ほー、異世界にか。なるほど……よかろう。我を連れて行くがよい」


「異世界を侵略しようとか考えるなよ」


「そんな事はせぬわ」


 侵略する気満々です、と言わんばかりの顔。

 コイツ隠し事へったくそだなぁ……。


「お前は日本人の恐ろしさを知らないからそんな考えに至れるんだ」


「侵略する気はないと言っておろう。しかし参考までに聞いておこう。どんな国だ」


「神様が八百万人います」


「……え? なに? 今なんて言った? 八百……柱?」


「八百万です」


「え、本当に?」


「はい、本当です」


 八百万の神とかって言うし。

 まぁ、八百万って数値的な意味ではないんだけどさ。

 沢山いるっていう表現の事だし。


「しかも、ネットに画像をアップロードするだけで神になれるんだ」


「は? 人間がか?」


「ああ。オレも神って言われた事が何回もあるぜ」


「な、なるほど……それ故にあれほどの強さを……」


 なんか素敵な誤解をし始めてるけど、面白いからそのままでいいや。


「しかも日本人は、ハラキリナイフを常に隠し持ってるんだ」


 いっそのこと、もっと誤解させよう。そう思います。

 というわけで、嘘っぱちを教え込みます。


「は、ハラキリナイフ?」


「ああ。自分が過ちを冒した時に、自分の腹を掻っ捌いて詫びるんだ」


「腹を掻っ捌くのか!? 死ぬぞ!?」


「ああ。死んで誠意を見せるんだ」


「く、狂っている……!」


「そして、世間の闇にはニンジャと言われる奴が潜んでいる。ニンジャは強力な暗殺者だ」


「暗殺者がそんなに沢山いるのか?」


「ああ。イガとコウガと言われるニンジャの養成機関があって、そこでニンジャはカラテやジュードーを修得するんだ」


「カラテに、ジュードー。一体どんな技なのだ?」


「カラテは飛んできた矢も鉄砲もマワシウケで掻き消し、ジュードーはドラゴンだって投げ飛ばせる力を秘めてる。ユウダンシャと言われる奴は、戦争の勝敗をひっくり返す程の強さがあるとか……」


「そんな技があるのか! 魔法も使わずにそんなことが出来るとは……!」


「もちろん、ニンジャは魔法だって使える。だが、それはニンジャにしか使えないニンジャ魔法なんだ。魔力を殆ど使わずに分身の術を使い、何百人にも増える事が出来る。スイトンの術やカトンの術は、普通の魔法より強力なんだ」


「つまり、魔法戦士の集団という事か……」


「ああ。しかも、ニンジャは服を脱げば脱ぐほど強くなるらしい……」


「なっ、では、全裸こそが一番強いという事か!?」


「ああ。全裸のニンジャのアーマークラスは、戦車の正面装甲にも匹敵するとか……。恐らく、ドラゴンの鱗並みに強靭なんだろう」


「そんな怪物が何百人も居るのか……」


「そうだ。しかも奴らは、常に一般人の中に隠れている……迂闊な行動をすれば、お前もすぐに消されるぞ……」


「だ、だが、私とて魔王だ! 人間に遅れは……!」


「やめるんだ! ニンジャだけが敵だと思うな。ニンジャの他にも、ニンジャ以上のサムライブレードのワザマエを持つサムライという奴も居るんだ。迂闊な行動は慎め……」


「くっ、ニッポンという国はなんと恐ろしいのだ……!」


 外人に嘘を教える日本人の心境ってこんな感じなんだろうか。

 なんというか、凄く……楽しいです……。


「さて、そう言うわけで、日本に行っても馬鹿な事は考えるなよ?」


「わ、わかった……」


 よし、これで魔王の問題は解決。

 さて、次はタカネに話してこないとな……。

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