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だらり異世界生活記  作者: 国後要
家庭教師編
11/128

超絶無敵キョジンオー

 走って走って、我が家に。

 アリシアちゃんがついて来てるかは確認しながら走っていたので、ちゃんと後ろについて来ている。

 

 我が家の窓には明かりが灯っているので、どうやらシエルちゃんは既に帰って来てるようだ。

 家からは何かが焼ける香ばしくておいしそうな匂いがする。

 シエルちゃんが晩ごはんを作っててくれたんだろう。

 うーむ、楽しみだな。メニューはなんだろ。

 

「はふ、はふぅー……疲れたぁ……こ、ここがせんせ……えと、タカヤのお家?」


「うむ、これぞ我が家。変形合体して超絶無敵キョジンオーになるんだぜ。キョジンオーは無敵でどんな敵でも薙ぎ倒すんだ。凄いだろ?」


「え!? ほんとう!?」

 

「嘘だ」

 

 どうして信じたんだ。

 

「あ、もう! なんで嘘つくんですか!」


「アリシアちゃん、敬語敬語」


「そ、そうでした……あう、また敬語……あうう、普通に話すのってむずかしいです……」


「いや、無理しなくてもいいんだけどさ」

 

 敬語使わなくていいって言ったから無理しちゃったのかな?

 

「い、いえ! 先生が言ってくれたんですから! あ、いや、えっと、そうじゃなくて……タカヤが言ってくれたから!」


「ああ、うん……無理はしなくていいからね?」

 

 そう言いつつ、家の扉を開いて中に。

 お、これは鳥の焼ける匂いだな……ローストチキンかなんかかな?

 そう思いつつ、アリシアちゃんの荷物を手に中へ。

 走り出した時に、重いだろうからと預かっていたのだ。

 

「ただいまー」


 リビングへの扉を開きつつそう言う。すると、キッチンの方から返事が返ってくる。


「あ、おかえりなさーい」

 

 あー……ただいまって言ったら返事が帰ってくるのっていいなぁ……。

 なんていうか、自分ひとりじゃないって思えるところとか。

 それだけでシエルちゃんを引き取ってよかったなぁ、なんて思えてくる。

 もちろん、それだけだと思ってるわけじゃないけど。

 

「晩ごはんできてますよー。あれ? その子は?」

 

 とたとた、と足音を立ててエプロンをつけたシエルちゃんがやってくる。

 うん、幼な妻みたいで凄い犯罪臭いな。

 って、そんなこと考えてる場合じゃないな。

 

「えっと、この子はアリシアちゃん。ちょっと色々と事情があってうちで預かることになったんだ。あー……仲良くしてね?」


「はい! もちろんです! お母さんが言ってましたから! 夫が妾を連れて来ても、優しく迎え入れるのが女の甲斐性だって!」

 

 シエルちゃんのお母さんの言うことは相変わらず凄いなぁ……。

 一体何者だったんだろ……会ってみたいような、会ってみたくないような……。

 

「いや、妾ではないからね? アリシアちゃん、この子はシエルちゃん。仲良くしてね?」


「は、はい! アリシアです! よろしくおねがいします!」

 

「え、えっと、シエルです! よろしくおねがいします!」

 

 大声大会じゃないんだから、何もそんなに声を張り上げんでも……。

 まぁ、緊張してるんだな。ここは間を取り持たないと。

 

「えーと、シエルちゃん、晩ごはんアリシアちゃんの分追加出来る? 無理ならオレはいいや」


「あ、大丈夫ですよー。タカヤさんがたくさん食べると思って、多めに作ってありますから。ちょっと物足りなくなるかもしれませんけど」


「大丈夫大丈夫、晩ごはんはそんなにたくさん食べない方だから」

 

「あ、そうなんですか? 覚えておきますね。それじゃあ、早速晩ごはんにしましょうか!」

 

「そうだね、ちょっと早いけどそうしようか。アリシアちゃん、家の中の案内とかは晩ごはんを食べてからにしようか?」


「あ、はい」

 

 とりあえずここまでは順調か。

 シエルちゃんとアリシアちゃんは仲良くなってくれそうだし。

 そう思いつつ、シエルちゃんの後をついてキッチンに。

 

 キッチンは食堂も兼ねている作りで、その食堂に設置してあるテーブルの上に料理が並べてあった。

 料理はオレの予想通りにローストチキンのようだ。

 なかなか手間がかかってそうな……ローストチキンって作るの大変なんじゃ?

 

「これ作るの大変だったんじゃない?」


「そんなでもないですよ? それに、お仕事もありませんでしたから、お料理する時間は沢山ありましたし!」

 

「そっか。無理せず適度に手を抜いて大丈夫だからね?」

 

 サラダやらなんやらもかなりしっかりしてるし。これは本当に手間がかかってそうだ。

 そう思いつつ、適当に椅子に座る。

 アリシアちゃんはその隣に。シエルちゃんはオレの正面に。

 

「よし、じゃあ、いただきますか」

 

「はいっ、めしあがれー」

 

 ナイフとフォークを手に取り、適当にサラダを取り分ける。

 そして、そこでオレは食堂に入った時からの疑問を口に出す。

 

「君、だれ? どこの子?」

 

 シエルちゃんの隣、オレの斜め向かいに最初から座っていた子。

 年齢はたぶんシエルちゃんたちと同い年くらい。

 この辺りでは珍しい事に、オレと同じ黒髪黒目の子だ。

 髪の長さは結構ロングなようだ。前髪ぱっつんでお嬢様っぽい。勝手なイメージだけど。

 

「タカヤさんのお客さんじゃないんですか? ちょっと前に尋ねてきたんですよ」


「え、知らないけど? シエルちゃんの友達じゃないの?」

 

「違いますよ?」

 

 え? じゃあ誰?

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