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鋼鉄の機兵  作者: 長月九郎
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Episode5

『-悪いなセツナ、今回お前さんの任務は後方支援だ』

「分かってるさ。塗装変更が間に合わなかったんだ仕方ないさ」

そう言って、セツナはモニターに表示されている兵装を確認する。

”120mm支援狙撃ライフル”それが今回彼に支給された武器である。元々は、36mm突撃砲のロングレンジバージョンの36mm支援狙撃砲をベースに作成された発展型だ。今迄36mm弾倉が嵌まっていたマガジンポートには、ファルコンとの連動性のある高精度複合センサーが設置され120mmの方もロングバレルに改造されていた。

(装弾数は、120mm徹甲弾を12発、予備弾倉含めて240発か)

『-ヴォルペルコントロールから、フェアリー2へ。発進どうぞ』

管制塔からの、発進命令が届く。そして、俺は機体をカタパルトへと移動させる。

「フェアリー2了解。…セツナ=アマギ、ファルコン発進するっ!」

カタパルトのロックが外れると同時に彼はフットペダルを踏み込み機体を発進させた。


(狙撃指定座標は、…あそこか)

彼は、跳躍ユニットを少し吹かして座標へと着地しライフルを構える。視線操作でセーフティを解除、給弾不良が起こらない様に手動で薬室チャンバーに初弾を装填すると同時にセンサーを起動、ファルコンのFCSとリンクさせる。

 モニターが狙撃モードへと移行し、中央に照星レティクルが表示され対象ターゲットの距離が計測される。

 初撃の標的は、すぐに見つかった。壁を飛び越えようとする1機のボレアスだ。動きから見るに新兵なのか行動がすべて遅かった。

(-悪いが撃墜とさせてもらう。戦争なんでな)

セツナは、機体の管制室を照星の中心に納めて引金トリガーを引く。絶対に外す訳は無い筈だった。だが、そいつは彼の予想を裏切りその徹甲弾を避けたのだ。

(くそっ、もう1発だ。次は、打ち落とす)

コッキングレバーを引いて、空薬莢を廃莢イジェクトし次弾を装填しようとして、その手を止めた。


「ふー、危なかったすー。まさか徹甲弾を狙撃銃の弾丸にするなんて、吃驚すねー」

徹甲弾を回避したボレアスのパイロットが吞気に感想を述べる。

「-危なかった、じゃないだろグレイ。瞬間機動ショートドライブを使わなかったらお陀仏になってたんだぞ?」

 セカンドシートに座って操縦桿を握っている少年が、グレイを嗜める。

「レオンは、一々五月蝿いっす。この機体ゼフィロスのメインパイロットは僕なんだよ」

グレイは、そう言ってレオンを睨みつけてコンソールに設置されたレバーを引いた。


 ーヴォペル基地格納庫ー 

「-ったく、着任挨拶前に出撃たぁついてねぇな。そう思うだろノーヴェ?」

『-同感ですが、エドワード少尉。今回で死んでしまっては意味が無いことも承知ですね?』

シュタインガルド王国軍の、ADスーツに着替えたエドワードが僚機ウィングマンのパイロットに尋ねると彼女は、同意の意を示しつつも彼に忠告する。

「わーってるよ。俺も、簡単に死んでやる気もねぇ」

『エドワード少尉、発進準備完了しました。カタパルトコントロールを譲渡します』

「オーライ、エドワード=カッセンティリア。アルバtype-A発進する」

管制官の指示通り、カタパルトのロック解除権の譲渡を確認した彼は”アルバ”と、名づけられた愛機を空へと駆け上がらせた。


「-なっ、嘘だろ…増加装甲デュアル・アーマーで機体自体を偽装するなんて。くそっ、こちらフェアリー2よりHQヘッドクウォーターへ、応答してくれ」

『HQよりフェアリー2へ、どうした?』

 ボレアスだと思った機体から、殻を破るように朱色ヴァーミリオンカラーの機体が出現したのを見たセツナは、即行でHQに連絡した。

未確認機体アンノウンが、出現した。機体の詳細なデータが不明、該当機種のデータを求む」

『-HQ了解。……検索の結果、エウロスの高機動改修機ハイマニューバカスタムと推測します。なお、この機体は近接格闘能力クロスコンバットアビリティはほぼ皆無なのでー「そこまで分かれば十分だっ!」

 HQの報告を、半ばから無視して彼は、次の行動に移る。腕に構えた狙撃ライフルを、その場に投棄パージして、両腕部のナイフシースを展開し新型接近戦短刀ヒートセイバーを、逆手に保持する。

(-IFF設定、省略スキップ。狙撃システム及び火器管制システムを停止。即時、格闘戦コンバットプログラム展開及び、擬似模倣機能スレイブシステム機動。主機メインジェネレーターのパワーレベルを、待機クルーズから戦闘コンバット移行シフト

 ライフルのセーフティを解除したときと同様の操作で、機体のシステムを変更し近接格闘戦形態クロスコンバットモードへと移行する。

「-さて、こっからがこいつ(ファルコン)と俺の本領メインフィールドだぜ」

 そう叫んで彼は、跳躍ユニットを吹かしゼフィロスへと迫っていった。


「-いい加減、諦めろっての」

暁の、両腕に保持した36mm銃剣突撃銃バヨネットで敵機を穿ったエドワードが弾倉マガジン副腕アシストアームを用いながら交換しつつぼやく。

『…ぼやいても、敵は帰ってくれませんよ。攻撃したことを後悔させるまではね』

同じように、バヨネットで敵機を穿った僚機のパイロットであるノーヴェ=フォイルナ少尉がため息をつきながら答える。彼らの周りには、今まで倒した敵機のパーツやら何やらが散乱しさながら死の舞踏会が行われたかのようだった。

『……隊長も、ノーも容赦…無いね?』

「そうゆう、お前だって俺らと大して変わんねぇぜ。ユフィー?」

そこで、またもう一人の僚機であるユフィーネ=ヒャイベール少尉が話し出すが彼女の機体は、まるで返り血を浴びたかのようにどす黒かった。

『…さっくり、やったほうが敵さんにはいいわよ?恐怖心を煽るなら別だけど』

 ピピッ、また敵機の反応だ。と、うんざりしながらも彼は部下に話しかける。

「…あー、ユフィ、ノーヴェ。敵さんのお出ましだ、作戦名オペレーション”テンペスト”開始」

『了解』

 作戦コードを伝えるとともに部下の応答が帰ってくると同時に彼らは、敵機の中へと飛び込んだ。


 平面機動フラット・マニューバで、市街地を駆けるファルコンのセンサーに敵機を示す光点が映し出され、すぐさま音紋照合がなされボレアスだと認識される。光点の数は、4つすなわち1個小隊だ。

セツナは、加速を緩めることなく直進する管制室のモニターには、”急速減速”の文字が表示されるが彼は無視して直進する。そして、射撃可能距離に入った瞬間に急速旋回、跳躍ユニットを下方に展開しバク宙の要領で敵機の後方に着地し、副腕に装備していた予備兵装の突撃銃アサルトライフルを全問前面展開して一斉射フルブラスト。36mmの至近弾を受けた敵機は、糸が切れた人形のように地面に崩れ落ち爆散した。爆炎をバックに、ファルコンはさらに移動を開始した。

(-どこだ。あの正体不明機は、近接戦で食い千切ってやるっ!)

 彼の目は、血に飢えた獣のように爛々と輝いていた。

『-へぇ、君があの狙撃してた機体のパイロットっすか?腕は、良いけどあれじゃ僕たちには当たらないっすよww。-このAESP(人工エスパー)計画で、誕生した僕とこの子にはねぇ~』

 突如、Eセンサーに反応があり振り向くと例の正体不明機が、肩をすくめた感じで立っていた。

(人工エスパーか、それなら。狙撃ライフルの弾道を読んでから、肩の大型跳躍ユニットを吹かして避けるってか…)

『…そろそろ、時間切れ(タイムアップ)っすかぁ~。もう少し、遊びたかったのに残念っすー』

そう言って、正体不明機は肩と腰の跳躍ユニットを吹かして飛び去っていった。




 今回は、えらく長い回になりました。そろそろ、機体とか人物が多く?なってきたので、次は人物紹介章になる気がしますww

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