表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天空和音! キグルミオン!  作者: 境康隆
二十四、捲土重来! キグルミオン!
375/445

二十四、捲土重来! キグルミオン! 16

「私にはもっとできたことが、あったんじゃないんですか?」

 ヒトミが絞り出すように口を開く。

「ヒトミ……」

 美佳がヒトミの顔を覗き込む。

 ヒトミは口は開いたがまだうつむいたままだった。

 美佳に背中を押される形で、自分では動かなかったユカリスキーもヒトミの顔を覗き込む。

 わずかに顔の角度を変えユカリスキーがようやくヒトミの顔を自ら覗き込んだ。

 ウサギのリンゴスキーはヒトミに抱きしめられるがままにやはりその顔を覗き込んでいる。

「あったかもな」

 坂東はヒトミの横顔を見つめながら答えた。

 その声は冷たくも取れる慰めの色のない、ただ事実だけを確認するかのような冷静な口調だった。

「隊長……宇宙怪獣は、襲撃の最初からSSS8の外壁を食い破っていました。我々にできたことはありません」

「そうよ、バンドー。ミズ・久遠の言う通りよ」

 坂東とは対照的に久遠とサラは感情もあらわに反論する。久遠は真剣に眉間にシワを集め、サラは怒りを抑えるように目尻を軽く痙攣させて。それは坂東に向けた非難の表れだった。

「……」

 坂東は二人に応えない。

 ただヒトミの横顔をじっと見つめる。

 ヒトミの目は垂れていた髪に隠れて誰からもよく見えない。

 ウサギとコアラのぬいぐるみだけは、その頭の位置からのぞき込めているのかもしれない。

 だが二体のヌイグルミオンはそれぞれヒトミの顔を見上げるだけだった。ただのぬいぐるみとしてその顔を見つめている。

 それはそれでヌイグルミオンの自律の表れであるらしかった。

 二体のぬいぐるみは寄り添いながらも踏み込み過ぎずの距離感でヒトミを見つめる。

 だが人間達はそうはいかない。

「いくら理屈では分かっていても、本人は自分の責任と思ってしまう。そうだな、仲埜?」

 坂東が続けて口を開いた。

 やはり事実だけを確認するかのような口調だ。

「……」

 ヒトミは応えない。

「隊長……」

 久遠が少しばかり先よりは声の調子を落としながらも坂東をたしなめようとする。

「目の前で人に死なれた人間にしか、分からない気持ちだ……それは……それはだがお前がこれから、向かい続けないといけない問題でもある……」

 だが坂東は久遠に構わずヒトミに問い続けた。

諸事情で短めです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ