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第12章 ~紅の台頭・見える繁栄、見えざる衰退⑦~

ソラのお茶目に若干、困ったような顔を見せたフロルドとリンの二人だったが直ぐに思考を切り替え騎士達に目を向ける。

そこにはソラの台詞に困惑と恐怖を覗かせた顔を見せる騎士達の顔があった、同時にその中に苦笑を洩らす一人の騎士が居ることも、その騎士は硬直した他の騎士達を避けて前に出る。

同時に兜を取りつつ口を開いた。


「まぁ、そう威嚇しないでください、お嬢様方。

 我が名は、クレサージュ・フォン・グランベル。

 心配なさらなくてもこの度の非礼は此方にあります。

 この者達の処断は追って致しますのでその矛を下げていただきたい。

 よろしいですか?

 兄上、姉上。」クレサージュ


「後ろから追って来ていたのは知っていたが部下の躾がなっていないなフォン。

 グランベル騎士団は近隣では評判の騎士団だったはずだが?」フロルド


「確かにその通りですが、グランベル家は飽くまで地方領主、連合軍の将兵までは監視できませんので、しかし、この度のの騎士は我らが騎士団に見覚えの無い団長でありながら、グランベルの名を使った以上我が軍の旗下キカです。

 処断は如何様にも可能ですので、これ以上兄上の手を無駄な血で染める必要はありません。」クレサージュ


「グ、グランベル子爵。

 な、何を仰っておいでなのです、この様な無礼者には多少の灸が必要、第一貴方様には御兄弟は居られない筈。

 ・・・そ、そうか、こ奴は子爵の名を語る偽物だ、捕らえろ、殺しても構わん!!」団長


「本当に粗暴な方々ですのね。

 フォン、後で貴方にもお灸ですよ。」リン


「あ、姉上!!」クレサージュ


クレサージュの悲痛な叫びが木霊す中、斬りかかってきた自軍を名乗った騎士達をクレサージュは屠って行く、同様にフロルド達も村人に襲いかかる騎士達を仕留めて行く。

5000を数えた騎士が壊走したのはそれから間もなくの事だった。




「申し訳ありません兄上、要らぬお手間をお掛けしてしまい。

 村の方々にも申し訳ない事をしました。」


そう戦局の落ち着いた村で力無く謝罪するクレサージュにアリサが村人を代表して声をかけた。


「し、子爵様お顔を上げてください、あたしらなら平気です。

 それからフィード様達も領主様の御子息様ならそう言ってくだされば良かったのに。」


それにリンが答えたのは当然自身の生い立ちだった。


「いいえ、私たちはある意味フォンの身内では有りませんよ。

 血が繋がっておりませんから、只、フォンはグランベル候により私達が暮らしていた孤児院で教えていた武芸を習いに来ていた為に兄妹同然の間柄と言うだけです。

 因みに本来は私達の方がフォンより年下ですが、孤児院の決まりで長く院にいた私達を年上として扱う仕来りの結果、フォンは私達を兄、姉と呼んでいます。

 ですから私達は貴族でも何でもありませんので今まで通り接してください。」


「そうだな、むしろそういった畏まった態度をされるとやはり寂しく感じるな。

 それに、今回は間違い無くフォンの失態だしな。」


そうからかう様に言ったフロルドの台詞に被せる様にソラの声が割って入る。


「じゃあそろそろ本題に入って貰える?

 状況が分かっていない人の方が間違いなく多いし、ね?

 それから、遅くなったけど、フォン君、あたしはソラティカ・G・シューベルトで、この子がシャーラ・K・シューベルトよ。

 よろしくね。」


「ソラさん、今後はもう隠さなくてもかまいませんよ。

 どちらにせよこの村の方々には決断して貰わざる終えません。

 それに、ある意味知って貰って置く事が今後の為になります。

 と言う事で皆さん、改めまして私はリンディス・ネム・フィードガルド・ティターニア。

 虹の派閥で桜剣舞と呼ばれていた魔導師です。

 それから皆さんにはシャーラと名乗らせてもらっていたのが、ハヤガミ・シャラ様、お兄様の従妹で巫女姫の職に就いておられます。

 そして、お兄様はフロルド・ヨシヤ・フィードガルド・ランフォード。

 今世界でもっとも有名な犯罪者ですね。

 全て濡れ衣ですけれど(努)!

 最後にソラさんは世間一般には特に何の肩書きも無い一般人ですから本名ですよ。

 現実としては、魂の霊核が神の一柱と言う正真正銘の生きた女神の一柱ですが。」リン


「それはリンも同じ。

 リンとあたしは双子の女神でしょ。

 もう、そこ省かない!」ソラ


その後起こった一騒動が一段落した後、クレサージュが状況説明を開始する。


「兄上、帝国、共和国、神族に喧嘩を吹っ掛けただけでは飽き足らず、女神様と同道の上、年若い娘達に混じってのらりくらりと・・・、貴方は何処までもとんでも無い状況を作りますね。

 ハ~、まあ今に始まった事ではないんですけど。

 兎に角、状況を説明します。

 まず、帝国の各領は現在、フロルド兄上と言う戦力の低下に伴い、領主連合を結成前線に投入しました。

 それに伴い各領主は自身の騎士団を中心とした軍を前線の町村に進軍、それに伴い規律の不等号により進軍経路上の街における略奪が横行しているのが現状です、今回もその一例です。

 第二に騎士団の前線投入に伴う各領の治安低下。

 これはある意味、領によっては盗賊団と領主の癒着によって深刻度が大幅に違いますが、戦前を100%の治安とした場合軽くても15%、酷い領地では60%近く低下しています。

 やはり蒼の抜けた穴が民に大きく掛かってきています。

 第三に物価、税率等の高騰、これは其処まで目立ってはいませんがやはり治安の悪い街ほど酷くなってきているようです。

 私が把握しているのは大まかにこの程度です。

 次に父の収める自領の詳細ですが、我が領内はまだ比較的帝国内では治安が安定しています。それでもやはり治安は平時の15%低下、物価は約1.3%の上昇と通商に若干の乱れ、働き手を失った事による身売りや戦災孤児の増加が起きています。

 その様な状況ですが、国からの支援は当然ありませんし、これ以上の自領に対する治安対策等も実質不可能です。

 オマケと言っては何ですが、先の様に他領の騎士団を名乗って悪逆を行う者も出てきていますね。

 特に性処理目的の場合に多いようですが、まあ他の領主への嫌がらせなど今に始まった事ではないですね。」


その説明を聞き終えたフロルドはため息混じりに答える。


「まったく、当初の読み通りすぎて泣けてくるな、もう!

 開戦前からこうなると言い続けていたというのに、これだから権力者は!

 民の幸せが第一だろうに。

 で、現在帝国内に安全な場所は無く、有っても其処には既に人がいる、結果この村のように、小さな村から順番に暴力によって壊されていく・・・か。

 アリサ殿、聞いた通りだが、貴方達はどうする?

 大まかに言って三つの提案が我々からは出来るが?」


「三つの提案?」アリサ


「そう三つね。

 一つ目はこのままこの村に留まる事、二つ目はクレサージュ様に保護してもらう、三つ目はフロルドと一緒に行動する。

 三つ目は自然と蒼と合流になるかな?

 どう、リン?」ソラ


「そうなりますね。

 因みに一つ目を選んだ場合、当然、我々は先程の事がありますので村から出て行かねばならず、今後の安全は私達には保証できかねますが住み慣れた場所に要られます。

 二つ目の場合は皆さんは難民ですので職の保証が出来かねます。

 最悪、いいえ高確率で身売りせざる終えなくなるでしょうが、当面盗賊などから襲われる心配はありません。

 三つ目は当然、今お兄様は指名手配されていますので、気づかれれば当然、皆さんも指名手配されますが、当面、身の安全と職の確保は保証できます。

 どれも利点と欠点のある選択です。

 よく考えてくださいね。

 只、私なら三つ目を選びますとだけ言っておきます。」


そう言ったリンのセリフにアリサは確認の質問をする。


「二つ目と三つ目は・・・その、選んだらさ、場合によっては・・・寵愛受けれたりするのかな、フィード様とかクレサージュ様の・・・それと返事は何時までにすればいいんだい?」


その質問にリンディス、ソラティカ、シャラの三人は若干頬を引き釣らせ、目を泳がせながらも質問にリンは答えを返す。


「当然・・・可能ですよ・・・。

 期日は、明後日の朝までで宜しいですか?

 お兄様、フォン。」


期日について、フロルド、クレサージュともに異論は無いのか頷いて返した。

因みにこの世界は多夫多妻制であるため、甲斐性さえあれば何人でも夫も妻も迎えられる。

前話の続きです。

ややこしい事は飛ばして早速。

騎士団の中に色者混入、当然ながらそれなりに強いですね。

フォン君は実を言えばフロルド君の放った間者の一人です。

戦闘力と言う面からいえば中の上程度と言ったところですね、ガゼル君より弱いです。

フォン君を出したのはほとんど状況説明の為と言っていいのでストーリーには余り干渉しない反面ちょくちょくこれからも出てくるかも。



それからこの話の更新に伴い設定集も投稿を開始します。

まだそれ程書けていませんが、ちまちま更新予定なので気になる方は御覧下さい。


ではまたお会いしましょう。

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