第12章 ~紅の台頭・見える繁栄、見えざる衰退⑤~
大変遅くなりました。
元旦に間に合って良かった。
シンクレアの学園長室そこにレイは居た。
学園長から今回の転校を前に激励と謝罪の言葉を贈られたためだ。
ハース・タクティスとして潜入していた時の成績から今後の輝かしい功績を予想しての学園長の的外れの美辞麗句、その言葉をレイは右から左に聞き流しながら、今後の事を模索していた。
もともとこの学園に居たのは此処に自身と対極の存在が居た事、その一点に尽きた。
レイにとって抹殺対象の居ない学園生活など必要なかった、事実あの愚か者が人の集まる場に力の大半を消費しなければ破壊できないほどの結界を張っていなければシンクレアをレイは地図上からとっくに消していた。
それをさせない程度には、レイとフロルド、二人の臨界者の力は拮抗していたと同時に互いに手出しできない状況を作っていた。
反面、結界の維持に多大な労力を消費しているフロルドとは違いレイは只有るがままに行動できると言う大きなアドバンテージがあったそれは詰まるところ特定地点の防衛と引き換えに汎用性と俊敏さに欠けたフロルドの堅守、鈍重な対応に対してレイの高火力、高機動のゲリラ戦法は非常に有効であった。
実際フロルドは大を救うために小を切り捨てた戦いを強要され事実そうしていたのだから表向きの被害は兎も角、裏では確認出来ない程の被害が出ていた。
そんな内情に一切気付かず話続けていた学園長の念仏の様な賛辞が終わり解放されたレイは部屋を辞すとある場所に向かって歩いていた。
歩き出して約5分ある部屋に踏み入るレイ、そこには大きく胸元の開いたジャケットタイプの上着に同じく大きなスリットの入ったスカートを履いた小麦色の肌と腰まで伸びた黒髪に紅い瞳をした女性が空中で足を組みながら待っていた。
正確にはその足元には複数の女性が全裸で荒い息を吐いていたが今の状況でレイとその女性に意識を向ける余裕のある者は誰一人として居なかった。
沈黙が数秒支配した部屋でまず口を開いたのはレイだった。
「また随分と喰い散かしたな、クロウ。」
その言葉にクロウと呼ばれた女性が答える。
「みんな可愛かったわよ。
必死に私の足や手を舐めるの、何人かは直接イカせてあげたわ。
でも途中から自分達で慰め始めて・・・(クスッ)。
こうなっちゃった。
どう私が命令すればこの子達、貴方に喜んで身を任せるわよ。」
「ガキが出来れば手駒が増えるのは確かだがお前の喰いに残しに興味は無いな。」レイ
「あらそう。
なら私ならどうかしら、貴方になら私の初めてあげても良いわよ。
でも貴方の弟は願い下げだけどね。」クロウ
そう言い終わる前にレイは左手でクロウの首を掴み上げるとそのままその口を自身の口で塞いでいた。
しかしクロウの唇を貪る様にキスをしたレイだが惚けた様に上気した目をしているクロウとは違いレイの目は氷の様に冷たかった。
他人から見れば情熱的な二人のキス・・・だが、クロウとレイにとってのそれの意味はそれぞれで全くの別物だったからだ。
レイにとってのそのキスはクロウに対しての一種の暗示、催眠の類で目的はクロウの持つ能力を利用する為、対するクロウは純粋なレイへの慕情、合わせて、クロウの能力が本能的行わせた無自覚の欲望の体現であった。
クロウの能力それはソールイーター。
数多の魂を喰らう血塗られた力、それ故にクロウは幼少の頃から身近に身内が味方が居なかった。
居たのはその力を利用する事を目的に近づいて来る欲に塗れた大人やただその力を畏れ排除しようと動く者達のみだった、そんな日常を壊したのが今目の前に居るレイだった、レイは圧倒的だった、クロウの能力から彼女の周りには常にランクS以上の術師が10人以上着いていた最高ランクはSSSSだった様に思う、にも拘らず自分と年の変わらない少年は物の5分足らずの短時間で相手を消滅させた、文字通りの消滅である。
そこにその人間が居た痕跡は勿論、その人物達が産まれ、育ち、歩んできたその全てが存在しなくなった、それはクロウにも適合した、その日、『ソールイーター』リッッテリア・シッタイト・ティターニアはこの世界からその存在が消滅し、新たにクロウと名づけられた少女としてその存在が定義されたのだった。
ソールイーター・・・
魂食いとも言う。
相手の魂そのものを自身の力として取り込みかつ相手の命を奪う能力。
本能的に強い魂を求める傾向がありその際の精神傾向が恋愛感情と酷似する為総じて自身の感情を勘違いする事が多い。
未熟なソールイーターは無自覚に周囲から魂を搾取し喰らうため忌み嫌われる能力の一種。
また高位のソールイーターは相手の魂の一部を喰らう事で相手を自身の傀儡にできるため軍はその存在を秘匿する半面ソールイーターを秘密裏に飼う傾向がある
リッテリア・シッタイト・ティターニア・・・
リンディスと同じティターニア家の長女で後のクロウ。
ソールイーターであった為、生後すぐに軍に捨てられ、存在を抹消された薄倖の少女、故にリンディスはその存在を知らない。
レイのテロの一環で結果的に救出された。
そんなキスを済ませた頃それまで荒い息をしながら喘いでいた女性達が気を取り戻し始める徐々に正気に戻って行く少女達、それに気付いた二人はまずレイが身を隠す、続いてクロウが再び空中で足を組みながら浮遊し始める。
それが終わった頃少女達は完全に正気に戻りクロウに視線を向ける。
「気が付いたかしら?
気分はどう?
変な所は無い?」クロウ
気づかわし気に問いかけるクロウに少女達は自分達の行為を思い出し紅潮しながらも惚けた様にクロウを見ながら頷く。
そこにはクロウに操られたのではなく心酔しきり、かつ安堵と思慕の念を向ける姿があった。
それに微笑みを返すクロウの内心の凄惨で残忍に笑う姿には少女達は一切気づかずにさらに強い信頼を寄せて行くのだった、その裏にあるレイと言う破滅への階段を一歩一歩と進みながら。
皆さんまずは良いお年をと明けましておめでとう御座います。
今年もよろしくお願いします。
まずまたかなり開いてしまった、反省はしているしているが仕事だもん!
どうしようもないじゃないか~~~~!
「ごほん!」
え~では本文について紅のレイ動き始めましたね~根っからの破壊者ですので当然暗躍はしていた訳です。
さらにレイの仲間登場、面妖なお姉さまタイプです。
更にはリンちゃんの異母姉です。
最凶の姉妹ゲンカpart2です、リンちゃんには悪いが君は辛い思いをするのも仕事なんですキャラ的に頑張れ~。(他人事の様にハンカチを振りながら)
ではこれぐらいにして今年はもう少し更新速度上げられたらいいな~と思いながら。2011.12.31 23:30ごろの執筆でした。