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許嫁は世界を破滅に導く力を持つ  作者: 紙絵
第一章

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4/7

嫉妬

月曜日、学校ではハナが謎のイケメンと暮らしている事が噂になっていた。

「あの子だよ!」

「カイル君とも幼なじみじゃなかった?」

「イケメンってどんな人かなあ?」

あーやだやだ。何話してるか分かっちゃうよ。

ハナは妖精と仲がいい。妖精は良かれと思って、ハナの噂を教えてくれる。

妖精はすごく速いので、姿がなかなか見れないと思われがちだが、好かれている者には簡単に姿を現す。

「カイルのファンがハナを問いただすって」

「ハナのこと二股だって」

妖精がハナにコソコソ教える。

「うわぁ。教えてくれてありがとうね〜…」

お礼をしながら精神力も鍛えられるハナである。


「おはよーハナ!私許嫁の事話してないのに、なんで皆んな知ってるの?」

リリーがハナに詰め寄る。

「リリーのせいじゃないよ。」

おそらくカイルの友達が話したのだろう。

「カイル君達がお花見?いーなあ、私も一緒に行きたかった!」

リリーは目をキラキラしている。

「いや、私行ってないから」

今日は周りが騒がしい。でもハナはそれどころではなかった。

ルイが私にあんな事を…

考えるだけで体が熱くなる。

「はぁ」

ため息も出る。

「今日元気ないね?大丈夫?」

リリーも心配そうだ。

「うん、昨日よく寝られなかったから…」

気をつけないと、女の嫉妬は怖いのだ。カイルのファンに何かされないように警戒しなくては。

でも、いつもなら避けられる事も、今日のハナはできなかった。まさか授業の合間に連れ出されるとは…


「次は移動か…」

「ハナ!私トイレ行ってから行くから、先行くね!」

「わかった!」

リリーが教室を出て行く。入れ違いに別の扉から他クラスの女子が入ってくる。

教科書をゴソゴソしている間に、周りを女子に囲まれた。クラスにはほとんど人はいない。いてもハナは見えないだろう。

「ちょっと一緒に来てくれる?」

リーダーらしい女子が口を開いた。

1人がハナの手を取ると、移動魔法の呪文を唱える。周りに風が巻き起こる。

そこは学校外だった。河原だ。

移動魔法は、他の人を一緒に連れて行く事もできる。

「ここは?」

「あんた、カイル君のなんなの?」

ハナの問いは無視された。よってたかってリンチでもする気だろうか?

「カイル君があんたの家に行ったとか聞いたんだけど、どういうこと?」

「答えなよ!」

「カイルは幼なじみなだけで、付き合ってるとか好きとかそんな事はなくて…」

弁明してみたが信じる気はあるのか?

「カイル君を呼び捨てにするなんて!」

「あんた生意気なんだよ」

バカみたいだな…

ハナは何だか冷静になってしまった。

「私が何を言っても無駄みたいだね。」

「開き直ってる!むかつく!」

ハナの頬を1人がビンタした。

頬が熱い。ハナは尻餅をつく。

そう、むかつくからこんな事しているのだろう。

ハナは空を見上げる。

あぁ、どうしよう。

「ちょっとあんた!」

カイトの取り巻きが何かわめいているが、ハナには届かない。1人がハナを突き飛ばす。

座りながら倒れる。

「うっ!」

大きな影が現れる。

来てしまった…

ハナは哀れに思った。

「…逃げた方がいいよ。」

「は?あんた何言ってんの?」

「逃げたいのはあんたでしょ!」

「ちょっと…上!」

取り巻き達は上を見て悲鳴をあげる。

「ひいっ!」

「これ…何この数⁉︎」

空はドラゴンの群れで覆われている。

起き上がるハナ。

「知ってる?ドラゴンの吐く炎は、一瞬で焼き尽くすの。人なんてチリも残らない。」

話しながら取巻き達に近づいていく。

「移動魔法は使わないほうがいい。呪文の詠唱中にやられるよ?」

「…!」

取巻き達は何もできず突っ立っている。怖くて動けないようだ。失禁してる者もいる。

「止まって、私は大丈夫。」

ハナの声にビクッとする女達。

ハナは1番大きなドラゴンに向かって話しかける。

「帰りなさい。」

ドラゴンはじっとハナを見ている。無言で睨み合うと、大きなドラゴンは翼を羽ばたかせて去っていった。それを合図に、ドラゴンの群れは散り散りになる。

ふぅ。

ため息を付いて女達を振り返る。

「もう大丈夫。これに懲りたら、こんな事もうやめてよ。」

ハナは箒を取り出すと空に舞い上がった。

取巻きの女達は抱き合って泣いている。

泣きたいのはこっちだ!でも、これで静かになるだろう。変な噂が流れたら、妖精に言いつけてやる。

ハナは空から町を眺めた。

「ここはどこ?」

あいつらに聞くの忘れた。妖精に聞いても答えてくれるかどうか、好き勝手している妖精は自分の話がメインで、人の話はあまり聞かない。

ドラゴン呼ぼうかな…

「ハナ!やっと見つけた!」

上から声がした。

「ルイ…」

箒に乗ったルイだ。

「急にドラゴンが集まり出したから、もしかしたらって…学校に聞いたらいないって言うし!怪我してるのか?」

額に汗をかいている。探してくれていたのだろう。

「家に帰ろう。着いて来れるか?」

「…そっち乗せて。」

ルイはハナの腕を取って前に乗せた。ハナを抱えるようにして飛ぶ。

ハナの頭には草や泥がついている。

頭をなでるルイ。

「大変だったみたいだな…」

「うん。最悪。」

2人は帰路についた。


「…今日のことパパ達に連絡するの?」

シャワーを浴びてソファに倒れているハナがルイに訊ねた。

「そりゃあね。まぁ、うまく言うよ。」

ハナは唸る。

極力静かに生活してきたのに…

怒りが沸々湧いてきた。

「ハナ、怒るとまたドラゴン来ちゃうよ」

ルイがからかう。

「ほら、ご飯にしよ。」

ハナは一旦忘れることにした。

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