とーまの暴露
「気持ち悪いって言うのは分かってるんだ。ただこうなった以上、説明させてほしい」
そう言ってとーまは先日あった自慰の件、そこでらきへの気持ちを明かしたことを素直に打ち明けた。
らきの顔が白くなっていく。
「本当はマネージャーは俺のこと気持ち悪いと思ったのかもしれない。だが俺を傷つけまいとそう言って出て行ったのかもしれない。もしくは俺が私情を挟んでいることに嫌気が差した可能性もある。仕事を甘く見ていたと見限られたのかもしれない」
重苦しい独白にその場が静まった。
「そんなわけねぇだろ!」
極めて明るく、笑い飛ばすようにゆきとが言った。
「そんなこと言ったら俺とみやだって……」
「どうでもいい」
そんなゆきとを遮ったのはらきだった。
らきは白くなった顔をゆっくりと上げた。目の下には濃いクマができており、今にも吐くのではないかと思うほどに蒼白だった。
「この際誰がどんな感情を持っていようとどうでもいい。とーまが俺のことを好き? 俺の衣装でオナニーしてた?」
「……すまない、気持ち悪いよな」
「ああ。きめぇよ。心底きめぇよ。仕事に私情を持ち込むその意識の低さがきめぇよ」
らきの声はいたって冷静だった。淡々としていて冷たく、低く、空気を凍らせた。
「俺は誰かの好きを否定するつもりはねえよ。別にお前が俺のことを好きなのはなんとも思わねえ。ただ仕事とプライベートを混ぜて空気を乱すのは辞めろ」
「……本当に悪かった」
「……どいつもこいつもここまで中途半端だとは思ってなかった。武道館へ行きたいって本気で思ってたのは俺だけかよ」
ガシガシと頭をかくらき。
「それは違うわ。アタシたちだって」
「じゃあ恋愛に現を抜かしてねぇでどうやったら売れるか考えろよ」
「っ! 考えてるだろ!」
ゆきとが食って掛かる。
「だったらなんで未だに箱は埋まらない? なんで二度もマネージャーが早期退職してる?」
「それは俺たちだけの問題じゃねえだろ!」
「そういう他責してる時点で終わってんだよ」
「あぁ? じゃあてめぇも同じじゃねえかよ」
「そうだよ。だから俺は今日でこんなグループ抜ける。俺は俺一人で武道館に行く」
そういうとらきは床に置いていたカバンを掴んだ。
「じゃあな」
「おい! 待てよ!」
叫ぶゆきとの声には振り返らない。
だが一瞬扉の前でらきは足を止めた。そして何かを言いかけた。しかしそれは言い切る前にぐっと飲みこみ、出て行ってしまう。
バタンと大きな音を立ててレッスンルームの扉は閉ざされてしまった。
その背中を見つめ、重苦しい空気が室内を包み込む。
「俺のせいだ」
そう自分を責めるとーまの声にくおんが立ち上がりかけた。けれど何かを思い直したように座りなおす。
結局否定する答えはどこからも上がってこなかった。




