表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メン地下アイドル! めろらぶ!  作者: にゃんたろ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/14

商業と恋

 みちるはとーまの言葉が瞬時に理解ができなかった。しばらく何を言われたのかわからないまま、ぼーっと突っ立っていることしかできない。

 そんなみちるを見かね、先に口を開いたのはとーまだった。


「知られてしまった以上、俺をどうするかはマネージャーに任せる。だができることなら皆には言わないでほしい」

「……えっと、まずは話をしましょう。あの、ちょっとまだ私も混乱していて」

「……それもそうか」


 その場に座り込んだ。その手には大事そうにらきの衣装が握られている。


「さっきも言ったが、俺はらきが好きなんだ。ブランディングとか、商業とか関係なく、心の底からあいつのことを想ってる」

「……それは、いつから……?」


 みちるもゆっくりとその場に腰を下ろし尋ねる。


「正確には覚えていない。気がついたら好きになっていた。だがめろらぶを結成して間もなくだったと思う。最初はただの二面性男だと思っていた」


 その感想にみちるは心の中で激しく同意した。何だったら今でもそう思っている。


「だけど練習やライブを重ねていくうちにわかったのは、実は誰よりも真っすぐで誰よりも熱い男ということだ。自分が、めろらぶが売れるためにはどうしたらいいか、一番誰よりも考えている」


 とーまは手元の衣装を優しく撫でた。

 確かにらきはずっと武道館に行くと言い続けている。何故そんなに武道館に拘り続けるのか、何がそんなにらきを突き動かしているのか、みちるには分からない。

 それでもらきの思いは確かで真っすぐであることは伝わってくる。


「練習が終わった後も一人で残って練習していることもあるし、よくカラオケに行ってボイトレしているのも知ってる。いつも自分がどう見えているのか見るために、動画を欠かさず撮っていることも。人一倍努力している。俺はそんな一生懸命ならきに惹かれていった」


 とーまの手が止まった。

 わずかに肩が震えている。


「俺とは違う、アイドルというものに真剣に向き合ってる。俺はアイドルになりたかったわけじゃない。ただ居場所が欲しかったんだ」

「居場所……?」

「ああ。それをらきが作ってくれたんだ」


 とーまが顔を上げた。鏡越しにとーまの顔を覗く。

 どこか遠い目をしていた。

 みちるは次の言葉を黙って待つ。


「……前のマネージャーがブランディングでBLにしようと言った時、俺は最初断ったんだ。BLなんてキモいだろ、らきだって嫌に決まってるって。だけどその時らきは言ったんだ」


 とーまは衣装を持ち上げ、そこに顔を埋めた。


「『売れるためなら何でもする。俺は構わない』と。そして俺を睨みつけて『誰かの好きをお前の価値観だけで簡単に否定すんな。BL好きな人だって、本当に同性同士好きな人だってキモくねぇだろ』って。最後に極めつけは――」


 衣装をぎゅっと抱きしめる。


「『俺の感情を勝手に決めんな』だって」


 ずっととーまの肩が震えている。その震えをみちるは止める術を知らない。


「痺れたよ。否定され続けてきた俺が、初めて受け入れてもらえたと思った。だから俺はらきについていくって決めた……のに……」


 鏡越しのとーまは強く歯を食いしばって、今にも零れ落ちる涙をこらえようとしていた。


「否定され続けたって言うのは……?」


 みちるの問いにとーまは少しの間沈黙を返した。

 話したくないのだろうかとみちるは切り上げるタイミングを伺う。だが少ししてとーまはゆっくりと口を開いた。


「……ここまで話せばわかると思うが、俺はゲイなんだ。男を好きになったのはらきが初めてじゃない」


 そう切り出したとーまの表情は薄暗く、曇っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ