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メン地下アイドル! めろらぶ!  作者: にゃんたろ


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10/11

埋まり始めるライブハウス

今回全年齢対象ですが、若干Rっぽい表現があります。

苦手な方は引き返し推奨です。

 SNS投稿に本腰を入れて少し経った頃――。


 一つのショート動画が少しだけバズッた。再生回数が過去最多を更新し、いいね数、コメント数もぐっと増えた。

 そしてそのショート動画を見た人たちが少しずつ彼らのフォロワーとなり、拡散力が高まりつつある。


「これなら次のライブは期待できるかもしれないわね」


 みやが嬉しそうに画面を見つめながら言う。


「そうですね。既に前売りチケットは30枚ほどはけてます。キャパシティ50に対して30なので、半数以上は満たしてます」


 みちるもまた、画面を見ながら冷静に答える。

 その言葉にらきも珍しく、小さくガッツポーズした。


「よし、このまま次のライブで固定ファンを増やすぞ」

「おう。あとはもう少し本番まで振りとか見直そうぜ」

「ふふっ。ゆきとも珍しく前向きね?」

「いや? 俺はいつもライブとお前に対しては前向きだぞ」

「良いからイチャつくな。あとゆきと、そのセリフ結構ダサいからな?」


 らきに突っ込まれ、ゆきとは「なっ!」と言いながららきの首を羽交い絞めにする。


「離せよ! おい、みや! 止めろ!」

「ふふっ。賑やかでいいじゃない。ねぇ、とーま?」

「ああ」

「僕も賑やかな方が好きです」


 一同がクスクス笑いあう中、みちるは全く笑えなかった。話すら入ってこない。

 何度も鳴り響く通知音。開くたびにうんざりするお祈りメール。

 あれから一向に面接の連絡が来ない。

 まるで自分だけが進んでいない。そんな気がしてならなかった。




 そしてライブ当日、結局当日券も合わせて40人強までチケット売り上げを伸ばした。その後の特典会も合わせれば売り上げは上々と言えた。

 めろらぶのメンバーは一層やる気を出し、前を向いている。

 誰もが武道館に行けると信じて前進している。ただみちるだけが一人取り残され、踏み出せずにいた。


 ライブの盛り上がった余韻もあり、何となく一人家に帰りたくない気がしたみちるは当てもなく彷徨う。

 何故彷徨った先に事務所に来てしまったのか。みちるはわからないまま、誰もいない事務所に入った。


 当然アズマの姿はない。何となくパソコンでも立ち上げて求人サイトでも見てみようか。

 そう思ってみちるは事務所の簡易的に用意された椅子に腰を下ろそうとした、その時。

 レッスンルームの方がほんのり明かりがついていることに気が付いた。


「……誰か、いるの?」


 めろらぶのメンバーはライブ会場で解散し、それぞれ帰路についたはずだ。

 かといってアズマがレッスンルームにいるとは思えない。


 みちるは恐る恐るレッスンルームに続く扉に近づいた。

 扉に耳を付けると、中からは音楽が聞こえてきた。


「これって……この間撮った動画の音源……?」


 そして音源に混じって何かが聞こえる。


「んっ……あっ…………っき……す……だ、よ……」


 やけに色っぽい声だった。

 まさか。

 みちるの脳裏に何かが過る。


「んっ……んっんっ……ら……」


(どうしよう……)


 心臓が早くなる。みちるの直感は黙って帰ろうと告げている。

 その直感に従って一歩、また一歩と後退する。それから体を回転させ、事務所の外へ真っすぐ向かおうと足を踏み出した時。

近くにあった段ボールを蹴ってしまった。それは衣装をかけたハンガーにぶつかり、音を立てた。


 ガタガタ……。


「……誰か、いるの?」


 中から声がした。


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