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星陽高校バリスタ部  作者: やた
第4話 助っ人エースとラテアート

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6.心の休憩所

 翌日、陸は完全回復してテラスに復帰した。いつもの「太陽」のような笑顔でカウンターに立ち、活気が戻ったテラスを仕切る。


 陸は、テラスにいる仲間に感謝の気持ちを込めて、戸田のラテアートの写真をSNSにアップし、「最高の仲間たちと、最高のホームグラウンド」というシンプルなキャプションを添えた。ハッシュタグには「#木漏れ日テラス」「#部活のセーフティネット」「#戸田先輩の芸術」などが付けられ、この投稿は、星陽高校の部活間のグループチャットやSNSで瞬く間に拡散された。


「あの芸術、ヤバい!見た瞬間、涙出た」


「陸が泣くなんて、相当なもんだ。あそこはガチだ」


「バリスタ部、やっぱりプロ意識がすごい。今度、美術部で集中力を高めるブレンドを頼みに行く」


「軽音部のライブ後の喉のケア用ドリンクも作ってくれるらしいぞ」


 陸のネットワークを通じて、野球部員だけでなく、バドミントン部の女子、バスケ部の男子、チアリーディング部の女子、さらには将棋部や美術部、そして演劇部や軽音部といった文化部など、男女の常連客が、以前にも増してテラスに定着し始めた。彼らは、単に安価なドリンクを求めているのではなく、「心と身体をプロの品質でリセットできる、非日常的な安らぎの空間」を求めていた。


 結は、新しい客層に合わせた接客術を磨いた。特に、多様な部活の生徒が入り乱れるテラスで、それぞれのニーズを瞬時に把握するスキルを確立した。


「チア部の方ですね!練習で笑顔を保つのは大変でしょう。美咲さんの新作『ビタミンとリラックスブレンド』はいかがですか?練習後の疲労回復と、お肌にも良いんですよ!体が温まって、次の練習へのモチベーションも上がります。特に、舞台で声を出す演劇部の方にも大好評ですよ」


 蓮は、運動部員の男女両方にアピールするため、たい焼きの生地に食物繊維を豊富な全粒粉を微量混ぜる工夫を加え、健康志向の生徒にも支持を広げた。さらに、文化部向けに、集中力を高めるためのナッツとハチミツを練り込んだ「ブレインタルトたい焼き」を考案し、これがテスト勉強中の生徒にも人気を博した。


 雫は、増えた常連客のために、部活ごとの「疲労回復カルテ」を作成し始めた。どの部活の生徒に、どのブレンドが最も効果的かというデータを収集することで、テラスのサービスをさらに科学的、かつプロフェッショナルなものへと進化させていた。これは、「一杯のコーヒーで、生徒のパフォーマンスを最大化する」というバリスタ部の理念を具体化する試みだった。


 蒼太は、様々な部活の生徒から漂う、疲労、興奮、緊張、そして達成感の匂いを嗅ぎ分けることで、自分の接客の精度をさらに高めていった。彼の嗅覚は、もはやテラスの「無言のコンディションセンサー」だった。


「陸先輩。彼女は、疲労の匂いよりも、練習前の強い緊張の匂いがします。温かいカフェオレを飲みながら、少し落ち着いてもらったほうがいいかもしれません。カフェインで過剰に興奮するのを防ぐ必要があります。練習を控えている彼女に、無理な声かけはせず、静かに見守る姿勢をアピールしましょう」


 陸は、蒼太の言葉をすぐに信じ、客の緊張を解すための優しい会話を始める。蒼太の特殊な感覚は、陸の卓越したホスピタリティと結びつき、テラスのサービスを唯一無二のものにしていた。この二人の相乗効果が、木漏れ日テラスの新しい価値となっていた。


 木漏れ日テラスは、星陽高校の生徒たちにとって、部活動の垣根を超えた、「心の休憩所であり、最高のエネルギーを補給できるホームグラウンド」として、その地位を揺るぎないものにした。陸の太陽のような笑顔と、仲間たちが作るプロの癒しの品質が、テラスの新しい価値を創造し、その輝きを放ち続けるのだった。

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