表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星陽高校バリスタ部  作者: やた
第3話 超えるべき一歩、本入部テスト

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/140

10.本入部、そして祝福の香り

 蒼太、結、蓮の3人は、辛うじてではあったが、全員が本入部テストに合格した。


 香月は、いつもの厳しい表情を崩さなかったが、口元には微かな笑みが浮かんでいるように見えた。


「あなたたちは、このテラスで、プロとして生きる最初の権利を得た。しかし、これは終着点ではない。今日から、本当の訓練が始まることを忘れないで。星陽高校バリスタ部員として、お客様の期待を裏切らない、日々の努力を怠らないこと」


 楓は、涙を浮かべながら、3人を抱きしめた。その抱擁は、彼らがこの一ヶ月間、どれほど苦しみ、努力してきたかを理解している証だった。


「三人とも、よく頑張ったわ!本当に、よく乗り越えてくれた!あなたたちは、この木漏れ日テラスにとって、最高の1年生よ!」


 そして、楓は、全員が揃ったところで、笑顔でサプライズを告げた。彼女は、その場の雰囲気を一気に明るい祝福のムードに変えた。


「さて!本入部の祝福と、もう一つ、特別な理由があるわ!みんな、知ってたかしら?今日、5月11日は、なんと、トダテツの誕生日なのよ!」


 戸田哲也は、目を大きく見開き、驚きと喜びでいっぱいの表情になった。彼は、自分の誕生日を祝ってもらえるとは、思ってもいなかったのだろう。


 テラスの奥から、美咲が作った、特製スイーツが運び込まれた。それは、見た目も美しい、芸術的なケーキだった。ケーキの上には、コーヒー豆の形をした繊細なチョコレートと、蓮のたい焼きで使う餡を練り込んだ、抹茶クリームがデコレーションされていた。


「トダテツの芸術作品への情熱と、私たちのテラスの象徴を融合させてみたのよ!」


 美咲は、誇らしげに言った。


 そして、蓮が抽出した、合格記念特別ブレンドが振る舞われる。蓮のコーヒーは、蒼太の「91℃」の感覚フィードバックを受け、華やかな香りと、たい焼きの甘さに負けないコクを両立させていた。それは、3人の努力と協力の結晶とも言える、完璧な一杯だった。


「うおおお!最高だ!お前たちの合格は、僕の芸術活動にとって、最高のインスピレーションだ!このケーキのフォルム、このコーヒーの香り!全てがパーフェクトな調和だ!」


 戸田は、感激のあまり、蒼太と蓮を抱きしめる。


 蒼太は、戸田の熱い抱擁に、少し戸惑いながらも、その温かさを感じた。彼は、テラスという空間を見渡す。そこには、自分の才能を認め、支え、時には厳しく指導してくれた、最高の仲間たちがいる。彼らの笑顔と、テラスに満ちる祝福の香りが、蒼太の心を温かく満たした。


(僕は、逃げなかった。言葉の壁を、仲間の笑顔と、自分の感覚で乗り越えた。このテラスは、僕の『居場所』であり、僕の『舞台』だ。そして、ここで僕は、自分の才能を、客の笑顔のために使うことができる)


 蒼太は、蓮と結に、静かに微笑みかけた。二人の顔には、安堵と、未来への希望が満ちている。


「蓮くん、結さん。…これからも、よろしく。僕の嗅覚で、テラスの品質を守るよ」


「もちろんだ、蒼太。次は、俺のたい焼きが、お前のコーヒーに勝つか、検証してやる。俺たちは、最高のライバルであり、最高の相棒だ」


 蓮は、職人の目つきで答える。


「これからもよろしくね、蒼太くん!蓮くん!私たちが、バリスタ部を、もっともっと、有名にするんだから!そして、たくさんの人を笑顔にするの!」


 結は、満面の笑顔で応えた。


 テラスには、コーヒーと甘いたい焼きの香りが満ち、彼らの青春の1ページを祝福していた。蒼太は、このテラスで、真の仲間と、自分の未来を見つけ出したことを、心から実感していた。彼らの物語は、今、まさに、ここから始まるのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ