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星陽高校バリスタ部

作者:やた
「言葉はいらない。一杯のコーヒーが、世界を変える」

 日向蒼太は、人とのコミュニケーションが極度に苦手な高校一年生だ。言葉をうまく紡げず、常に俯きがちで、賑やかな高校生活の喧騒は、彼にとってただただ苦痛なだけだった。「自分には居場所がない」と早々に帰宅部を心に決め、誰とも関わらず三年間を終えることだけを願っていた。

 しかし、蒼太は、その内気な性格とは裏腹に、驚くほど超繊細な味覚と嗅覚という、特別な「感覚」を持っていた。

 そんな彼が逃げ込むように辿り着いたのは、モダンな校舎の中央に佇む、ガラス張りの東屋カフェ——生徒が運営する「バリスタ部」の活動場所、通称「木漏れ日テラス」だった。

 穏やかなジャズ、温かい湯気、そして部員たちの優しい会話。そこは、外の喧騒とは隔絶された、安らぎの異空間だった。

 蒼太は、部長の橘 楓が淹れてくれた一杯のコーヒーに、人生で初めて「自分の存在を肯定される」ような感動を覚える。そして、楓は、蒼太が言葉にできないコーヒーの「真実」を、比喩的な表現で完璧に言い表したことに気づく。

 楓は、彼のコミュニケーション能力の低さ(コミュ障)を指摘しつつも、その才能を「誰かの心を動かす力」として認め、バリスタ部への入部を強く勧める。

「あなたの居場所は、ここよ。言葉が苦手でも、コーヒーの味は正直だから」

 楓の包容力ある言葉に、蒼太は人生で初めて、欠点ではなく才能を活かせる未来への希望を見出す。

 しかし、顧問である元一流バリスタの香月 涼子先生は、蒼太に厳しい試練を課す。接客と技術、そして厳格なルールを乗り越えなければ、彼はすぐに居場所を失うことになる。

 これは、言葉ではなく、一杯のコーヒーを通じて人々と心を通わせようとする、不器用な少年の青春と成長の物語。

 彼が淹れるコーヒーは、クラスの喧騒に疲れた同級生の心を解きほぐすのか、それとも、誰にも言えない悩みを抱える上級生を救うことになるのか——。

 ようこそ、星陽高校バリスタ部へ。あなたのための、特別な一杯が待っています。
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