シリウスとエリザの追憶
炎は空気の中でいつまでもきらめき続ける。心の中にあるのは正義と公平を徹底する意志。
どこまでも、追いかけ続けたい背はそこにある。
姉妹揃って、二人はずっと一緒だと誓った。
サラマンダーの人型である僕達は、昔から城の近くで過ごしていた。妹を守るために奔走する僕と、僕を支えてくれる妹。これ以上ないほど、姉妹として完成された関係。
近くの川に頭を突っ込まされようが、パンを城下町で盗み逃げることしかできなかろうが、僕達は幸せに生きていた。魔女になったことに後悔は無く、むしろ自身にあった火の魔法を扱える身として強くなれたのが嬉しかった。
あたしはいつでも姉の役にたとうと気丈に振る舞ってきた。内心震えていても、膝が笑おうと。無理をして怒られようが構わない。あたし達が笑えるなら良い。それでも、人間も嘘もどうも受け入れられなかった。
もう謝るよ、どうしたら戻ってきてくれる? 嘘を吐くしかなかったことももう分かりきってるから、何度でも謝らせてよ。アセロラに説得される前からそう思ってるんだ。あたし、どうしたら良いんだろう?
シャロームもアルブスも、みんなみんな動揺が隠せてないんだ。戻ってきてよ。
姉ちゃんまで、悲しませないでよ。
僕達には伝わっている。決して長くはないが、確かに僕達ファミリアはアセリア、君と共にいた。その時間を無かったことにはできないとしても、それが分かっていないとは思えないな。ただ、だからといって、自らが輪から抜けるべきだと考えないでくれ。
僕だって動けなかった。ペロネーを切り落とすとき、胸が苦しくてたまらなかった。魔物の軍勢に囲まれ、人間達に裏切られたとき、罵詈雑言を浴びせられたとき、心の底から、君達を心配してばかりだった。自分を責めてばかりだった。きっと、他の皆も同じなんだ。
だから、弟を気にかけて、アルブスと三人でいつまでも旅を続けてくれ。休んでくれ。折角生き返った僕達と会えたのに、もう一度親しい人と会えたのに、自分から離れるなんていう悲しい決断をしないでくれ。
僕、いや僕達はいつまでも君を待っている。いつでも帰ってきてくれて構わない。エリザは君に話したいことがあるようだし、それは僕も同じだから。
きっとまた笑顔で、会おう。




