表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/66

ジャスミンの花言葉

朝、目覚めてベッドから起き上がるが体中が筋肉痛で痛みが全身を駆け巡り思わず声が出る。


「いてててっ!」


「おにーちゃん起きた?」


腕を交互に擦っていると小陰が部屋のドアを開けて顔を覗かせる。


「まだ痛む?」


「うん」


「…今日も休む?」


「…いやっ。今日から学校行くよ。…いてっ!」


ベッドから起き上がって窓のカーテンを開けるとこれでもかっというくらいの青空が果てしなく続いた空が悠然と広がっていた。


「…いい天気だな…いてっ!」


「大丈夫なの?おにーちゃん?」


「大丈夫大丈夫。…いてっ!」


小陰の肩をポンっと叩いて俺は部屋を出る。


この全身の筋肉痛の原因はNYで寿をお姫様抱っこしながら走り回ったからだ。あのあと、何とか城からの脱出する事に成功した俺達は寿の執事が用意してくれた車に飛びこんで城を後にした。


そして、そのままの勢いで小陰を迎えに行き。空港に向かって柳生家の自家用機でアメリカを発った。


怒涛の展開に疲れ果てた俺は飛行機の中で永遠と眠り続け。気付いた時には日本に着いていた。


目を覚ました事を後悔するのにそれほど時間はかからなかった。


全身に痛みを感じ、機内には俺の苦痛な叫び声が響き渡る。


寿の助けを得て何とか家に辿り着いた俺だったが、それから数日は動く事が出来ずに学校を休む。


休んでる間に久瀬さんと鳳が見舞いに来てくれたみたいだったが、ちょうど寝ている時に来たようで、LINEで連絡は取っていたが数日は顔を合わせていない。


(NYでの出来事を何て話せばいいかな…)


そんな事を考えながら制服に着替えて家を出る。


「おはよー」


学校に着くと朝の挨拶がそこら中で飛び交っていたが、モブぼっちの俺に挨拶する人は一人もいない。


教室の中をドキドキしながらそっと覗くが久瀬さんと鳳の姿は見当たらず、少しホッとしながら自分の席に向かおうとすると後から声をかけられビクついた。


「蒼汰?」


「ひゃいっ!?」


声をかけてきたのは久瀬さんだった。


「…何やってるのそんなとこで?」


「…いやっ…その…」


「もう筋肉痛は大丈夫なの?」


「だ、大丈夫です!」


「ふ、普段からう、運動をしてないから、そ、そうなるんだ」


久瀬さんの後からひょこっと姿を現して鳳がそう言う。


「なんだ鳳。いたのか」


「なっ!?…こ、このだ、駄犬めっ…」


睨み合う俺と鳳を少し呆れた様に微笑みながら久瀬さんが仲裁に入る。


「はいはい。こんなとこで喧嘩しないの」


「「だってこいつがっ!」」


俺と鳳が同時に互いを指差して声を合わすと久瀬さんは笑った。


「分かったから(笑)もうすぐホームルーム始まるわよ」


俺は鳳を睨みつけているが、久しぶりに久瀬さんと鳳との絡みに少し懐かしさに似た何かに居心地良く感じていた。ほんの数日だったが、NYという別世界に行っていたからかもしれないな。


久瀬さんに促されて俺と鳳は睨み合いながら教室へと入っていき、それぞれの席に着くと担任の綾鷹先生がチャイムと同時にダルそうに入ってくる。


綾鷹先生の話しを右から左へ受け流しながら聞き。教室を見渡すが寿の姿が見当たらない。


(寿は休みか?)


「そうそう…柳生は今日は休み…とか言ってたような気が…」


(日陰ねーさん相変わらずだな。…しかし…)


あれから寿とも会ってないんだよな。


NYでは「俺を想い続けろ」と言ってしまったので、今まで以上に何かしてくるかと思っていたが…日本に帰ってきてから寿とは一度も連絡を取っていなかった。


寿からアクションが無いのが逆に怖くて不気味に感じながらNYでの出来事を机に片肘をついて空を見上げながら俺は思い出す。


(…そういやあの子にお礼をまともに言えてなかったな)


あの子←とは、城を飛び出し途方に暮れていた俺を助けてくれたブロンド美女のことだ。


(確か名前は…)


「アリア・マーシャルとイイます」


(そうそう!アリアだアリア!)


「……え?」


聞き覚えのあるカタコトの日本語と声が耳に入り、声のする方へと顔を向けると教卓の横に鈴蘭高校の制服を着たアリアが笑顔で立っていて、俺と目が合ったアリアは更に笑顔になる。


「ソウター!I'm glad to see again!」


そう言うとアリアは俺に駆け寄り抱きついてきた。


「な、なんでここにアリアが!?」


「How have you been?今日カラこの学校のセイトよ」


「え!?そうなの!?留学か!?」


「リュウガクカ?そう!リューガクカ!」


「いや、『カ』はいらないよ」


ブロンド美女の留学生とモブぼっちの蒼汰が仲睦まじく話しをしている光景をクラスの全員がポカ~ンとして見ているのに気付いた蒼汰は慌てて抱きついてるアリアを離した。


「どうしたのソウタ?」


「み…皆が見てるだろ…とりあえず戻れ」


小声でそう伝えると「OK」とジェスチャーをしてアリアは教卓の横に戻っていく。


余りにもタイムリー過ぎるアリアの登場に驚きを隠せないままアリアの後ろ姿を見ていた俺だった。


クラスの人達の視線が俺から離れてアリアに向けられていたが、まだ俺に向けられている視線を感じて視線の先を追うと久瀬さんと鳳が俺を見ていた。


(あの子とどうゆう関係なの!?)


久瀬さんがそうジェスチャーで伝えてきた。


(アリアとは…後で話します)


そうジェスチャーで久瀬さんに返事をして鳳を見る。


「死ね」


(…アイツ普通に「死ね」って言いやがったよ)


アリアとの関係をどう話せばいいか両手で頭を抱えて大きなため息をついているとアリアは教卓の横に戻ってクルッと後を振り返る。


「ワタシはニホンが大好きです。ミナサンと仲良くなれたらイイなと思っています。Looking forward to working with you!これからヨロシクお願いします」


そう言って最高の笑顔を見せるアリアにクラスの男子達のハートは射抜かれた。


「マーシャルは蒼汰と知り合いか?」


「アリア←でイイですよ先生。YES!ソウタとはトモダチね」


「そうか…なら、蒼汰の隣で席はいいか」


「YES!」


俺の隣の席に座るとアリアは口を開いた。


「学校のコト、いろいろと教えてねソウタ」


そう言ってウインクするアリアを見てまた俺は頭を抱える。


「ドウシタの?」


「…何でもないよ。…I'm counting on you.Aria」


そう言って複雑な笑顔を見せる俺にアリアは満面の笑みを返す。


「likewise.!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ