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スプレーマムの花言葉

(ここは…どこだ?)


何処までも広がる広い草原のど真ん中で俺は突っ立っている。


右を見ても左を見ても地平線の彼方まで続いてるとしか思えない草原しか目に入らない。


(…俺…死んだのか?)


感覚がフワフワしていて、これが現実ではない事だけは確かに分かる。そうなってくると…自分が置かれている状況を整理し、可能性が低い順に可能性を除去していくと…俺は死んだのだという答えに辿り着く。


遠くの方から何か聞こえてきて。目を凝らして見て見ると…誰かが踊りながら近づいてきている。


その何者かは、俺に近づくにつれて分裂しながら人数を増やして近づいてくる。


(なっ…なんだアレは?)


独特な動きをしながら、人数を増やしながら、その何者かは近づいてくる。


(何か知らんが…逃げた方がいいな)


俺はその何者かに背を向けて逃げようとしたが…その何者かは俺の背後にも現れていた。


(なっ!?)


左右に目をやるが。左右にもその何者かは現れていて、俺は全方位を包囲されていた。


(ヤバいヤバいヤバい…)


逃げようにも逃げれずアタフタしていると…その何者かの姿がハッキリと分かって。…俺はここが死後の世界だと悟った。


全方位から迫ってくる多数のその人物の波に押し潰されそうになった瞬間…俺は目を覚まして上半身を飛び起こした。


「エルビス・プレスリー!!!!」


息を荒げながら周りを見渡すと見慣れた景色が目に入り、自分の部屋だと認識するのにそんなに時間はかからなかった。


「…なんだ…夢か…いてっ」


夢だったと安堵した蒼汰はもう一度ベッドに寝転がろうとしたが、後頭部に痛みが走って右手で後頭部を抑える。


「いてっえぇ…あれ?…俺は今日…何してたっけ?」


今日の記憶を辿ってみるが、何をしていたのか何があったのか全く思い出せない蒼汰。


「んん〜…何も思い出せない…」


放課後に部室で新しい作品を創って鳳と読みあいっこをしている所までは思い出せても。それから先の事を思い出せない事に疑問を抱いた蒼汰だったが。とりあえず一階に向かおうとベッドから起きて一階に向かった。


リビングのドアを開けると小陰がキッチンで皿洗いをしていて、俺の存在に気付いた小陰。


「大丈夫おにーちゃん?もう起きて平気なの?」


「…小陰。…何か久しぶりだな」


「蒼汰様。大丈夫ですか?」 


「寿?…何で寿が家に?」


「柳生さんが部室で急に倒れたおにーちゃんを家まで連れてきてくれたのよ。…本当にビックリしたんだからね!」


「…そうだったのか。ありがとうな寿」


「妻として当然ですわ。それより…」


寿が俺の後頭部を触ろうとしてきたが体が勝手に反応し、俺は寿から何故か距離をとった。


「…あれ?…何か…体が勝手に…」


何故か寿から距離をとってしまった自分の行動に疑問を抱いたがそれ以上は特に気にする事なく。次に寿が俺の後頭部を触ろうとしてきた時は抵抗なく受け入れた。


「痛くないですか?」


「まぁ…痛くはないかな」


「そうですか。申し訳ありません」


「ん?…何で寿が謝るんだ?」


俺の問に寿は答えなかったが。後頭部を優しく撫でる事は続けた。


「おにーちゃんお腹空いてるでしょ?すぐ料理温めるからね」


「…いやっ…何か腹減ってないからいいよ」


「え?…そう。分かった」


「…何か眠いから今日はもう寝るわ」


料理を温め直すのを止める小陰にそう言うとリビングを出て自室に戻った俺はベッドに入る。


「……って…何で寿までついてくるんだ?」


「妻が夫の心配をしてはいけませんか?」


ベッドに腰かけて俺の頭を撫でながら寿はそう言う。


「…もう帰れよ寿」


「蒼汰様が寝たら帰りますわ」


そう言いながら寿は俺の頭を撫で続ける。


寿が何を考えているのか相変わらず読めないが。撫でられる手の感触が心地よくて目蓋が段々と重くなってくる。


「蒼汰様」


「…ん?」


寿に話しかけられた時、三分の二は夢の中に入っていた俺は夢の中からの寿に返事をした。


「今度…私とデートしてくれませんか?」


「…デート?…いいけど」


「本当ですか?…言質取りましたわよ」


「…言質て…夫婦がデートするのに…言質も何もないだろ…」


その言葉を最後に俺は夢の中へ入って行ったので、その時の寿の顔を見るのを見逃してしまった。


夢の中に入るとそこは…地平線の彼方まで続いているとしか思えない様な草原で。俺はそのど真ん中に立っていた。


遠くの方から何者かがダンスを踊りながら近づいてくる。


独特な動きなダンスと、たまに発する奇声に近い声を聞くと。こっちまでリズムに乗ってきてしまう。


リズムに乗って踊れもしないダンスを踊っていると、何者かの集団に周りを取り囲まれている事に気付いたが時すでに遅し。


奇声に近い声を発しながら近づいてくる謎の集団の波に飲み込まれそうになった時…俺は目を覚まして叫んだ。


「マイケル・ジャクソンっ!!!」


周りを見渡すと見慣れた景色が目に入り、自分の部屋だと直ぐに気が付いた。


ベッドから起き上がり、あくびをしながら部屋の電気を付けて机の上を見てみると一枚の紙きれが置いてあった。


「何だこれ?」


手に取って確認してみると、航空券のチケットだった。


「……なぜ航空券のチケットがここに?」


購入した事に身に覚えのない航空券を首を傾げながら見ている俺のスマホにLINEが通知される。


『チケットは受け取ってくれましたか?』


LINEの送り主は寿だった。


(…そういや…デートの約束したな…)


そう思いながら航空券チケットをよく見て見ると…


「…NY?」


チケットの行き先はNYだった。


(わざわざデートするのにNY?)


そう思っていると寿からまたLINEが入る。


『その日、私のお父様に会ってもらいます』


「は?…なぜ?」


続けて寿からLINEが入る。


『そして…その日…私は蒼汰様に愛の告白を致します』


スマホと航空券チケットを交互に見る蒼汰。


これから自分の身に起こる災難を予測するのを止めた蒼汰は寿に返信してから部屋の電気を消してベッドに入った。


『告白の返事はNOだ』


寿からの返事はなかった。

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