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鈴蘭の花言葉5

「なんか…久しぶりだなこの空」


放課後、部室の屋根の上で寝っ転がりながら蒼汰は空を見つめていた。


「こんなとこにいたの?」


「久瀬さん?」


久瀬さんも屋根の上へと上がってきて俺の横に寝っ転がる。


「創作、上手くいってないの?」


「…そういうわけじゃないんですが…」


「じゃあなに?」


「…鳳と同じ空間にいるのが…何か気まずいというか何と言うか…」  


「そうなんだ」


「…久瀬さんはどうですか?」


「私?…私は別にどうもないけど?」


「そうですか…」


(やっぱ俺だけか…)


Hibari先生とキスをした事を知られて以来、鳳とはまともに口を聞いてなかった。


最初はまた何か俺が知らぬ間にやらかしたのかと思っていたが。明らかに今までの態度と違って、最近ではその鳳の態度にイライラしてきている。


何でこうなったのかの原因はHibari先生とのキスだと思われるが。それで鳳の態度が急に変わる事と何が繋がるのか全く回目検討がつかなかった。


「あの後、鳳とどんな会話しました?」


「えっとねぇ…あっ、『ちゃんと消毒した方がいいですよ』って言われたわね」


(…あ?)


「そ、そうですか」


(…クソっ。あの合法ロリめ)


本来なら速攻で下に行って嫌味の一つや二つ言ってやりたいが。そういう事が出来る雰囲気や状況ではなかったので、怒りをグッと堪え。そんな感じで鳳との距離は日に日に遠くなっていった。


家のリビング。

(…鳳の描いた作品やっぱ面白いな)


リビングのソファーで鳳がコンテストに出品した作品を読んでいると小陰が隣に座ってきた。


「それ石川さんの作品?」


「あぁ」


「何で石川さん出版を断ったのかな?」


「…そんなの俺が知るかよ」


鳳は出版社からの出版を何故か断った。しかし、Hibari先生が「もったいない」と。お兄さんに頼んで特別に俺達の分だけ本を作ってくれ。しかも……鳳の本のイラストを描いてくれたのはなんとGojira先生だった。


(羨ましすぎるだろアイツ)


「おにーちゃんなら出版の話しきたらどうする?」


「そりゃぁ…出版するよ。速攻で」


「何の迷いもなく?」


「逆に何の迷いがあるんだ?」


「それは…私には詳しくは分からないけと…何かあるのよ考えが。何も考えずに飛びつくのおにーちゃんくらいじゃない?」


「んん~…」


(何で出版しなかったのか聞きたいけどな…聞けないんだよな…今は…)


「…ん?…おいっ、妹よ」


「なんだい?兄さん?」


「何も考えずに←とは失礼ではないか?」


「いい意味でだよ兄さん」


「…なら…いいか」


「よしよし。素直な兄さんは好きですよ」


そう言うと小陰は俺の頭を撫でる。


「バカやめろ!俺は一応『兄』だぞ!?」


「『一応』なんだ(笑)…ねぇ。石川さんと喧嘩でもした?」


小陰の言葉に缶のコーラを飲もうとする手が止まる。


「…やっばり喧嘩してたんだ」


「…喧嘩って感じではないけど…なぜ?」


「だって最近。おにーちゃん石川さんの話し家でしないもん」


「…へ?…俺が鳳の話しを?」


「うん。いつもは『今日鳳が』『何で鳳は』とか。いつも石川さんの話しするのに最近はしなくなったなと思って。喧嘩でもしたのかな?って」


「…」


完全に無意識だった。何も考えてなかった。俺は家で自然と鳳の話しをしていたみたいだ。


「…嘘だろ」


「本当よ。私、あまり石川さんに会う機会は少ないけど。石川さんの事はそこら辺の人より詳しいわよ(笑)」


「……嘘だろ」


小陰から衝撃的な事実を突きつけられた俺は。コーラの缶を思わず床に落とした。


「あっ!何やってるのおにーちゃん!?もぉー…タオルタオル!」


小陰は急いでタオルを取りに向かう。


自室にて。

ベッドで横になりながら何も考えずにボーっと天井を見ているとスマホにLINEが通知されて少しドキッとした。


平静を装いながらLINEを開くとLINEの送り主は久瀬さんだった。


少しホッとしながらLINEを開く。


『明日、買い物に付き合ってくれない?』


「えっ!?マジ!?…二回目のデート?…なんちゃって(笑)ただの荷物持ち要員ですな」


『オッケーですよ』


『なら11時に前待ち合わせした場所にね』


『分かりました』


『遅刻したらダメよ』


『了解です!』


何度かLINEのやり取りを久瀬さんとしていると今度は東堂さんからLINEがきた。


『元気か?』


『元気ですよ。東堂会長も元気ですか?大学は楽しいですか?』


『元会長な。大学は楽しいぞ。お前も来年くるか?』


『大学に行けるような頭は持ち合わせてないです(笑)』


東堂さんとLINEをしている途中。鳳の事を話してみようと思ったけど、話すのを俺はやめた。


(アイツの事で悩むなんてアホらしいわ)


アラームをセットして眠りにつく。寝るまでにそう時間は大してかからなかった。


次の日。

(やっべぇ!時間ギリギリだ!)


待ち合わせの時間ギリギリなので俺は走って待ち合わせ場所に急いだ。


「すいませんっ!時間ギリギリになってしまいましたっ!」


両膝に手をついて肩で息をしていると。


「そ…蒼汰?」


(…この声は)


顔を上げると目の前に居たのは久瀬さんではなく鳳だった。


「ひ、鳳!?なんで!?」


「そ、それはこ、こっちの…セ、セリフだ!?」


「…鳳も久瀬さんと待ち合わせか?」


「そ、そうだ…」


鳳と会話をするのは久しぶりだったが…ブランクは感じなかった。


無言で見つめ合っていると俺と鳳のスマホに同時にLINEが通知される。


『仲直り大作成スタート!』


俺と鳳と久瀬さんの三人のグループLINEに久瀬さんがそう送ってきた。


((ハ…ハメられた…))


たぶん俺と鳳は今。同じことを心で思っているだろう。


『今回は尾行はなしだから安心して』

『あ、あと。柳生にも邪魔をしないようにキツく言ってあるから安心して』

『それじゃ蒼汰。鳳ちゃんのエスコート任せたわよ』

『それでは改めて…仲直り大作成スタート!』


俺と鳳は同時に互いの顔を見る。


「…ど、どうするんだ?」


「…どうするって…一度言い出したら久瀬さん引かないからな…」


(……はぁぁ〜…)


俺は心の中で大きなため息をつき、スマホをポケットに突っ込む。


「…仲直り大作成…スタートだな」


「…う…うん…」


蒼汰は気付かなかったが。鳳は少し嬉しそうに笑った。

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