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鈴蘭の花言葉4

「えっと…あ、ここを左か」


地図を片手に蒼汰は見知らぬ道を進んでいた。


「えっと〜ここがこれだか…ここか寿の家は。…えっ…何この家…城か?」


寿の家の大きさに圧倒された蒼汰は開いた口が塞がらなくなってしまった。


大きな門の前でポカーンとしてると門が突然開きだし。開いた先には和服姿の寿と柳生家で働いている人達が寿の後ろに横一列で並んでいた。


「ようこそ我が家へ蒼汰様」


寿が頭を下げると後ろにいた人達も深く頭を蒼汰に下げた。


寿が金持ちの家の子だと薄々とは感じていたが、自分が思っていた以上の金持ちっぷりに蒼汰はまだ現実を受け入れられなかった。


「…蒼汰様?」


ピクリとも動かない蒼汰に寿は首を傾げて蒼汰の名を呼ぶ。


「どうされましたか?」


「……あっ…ごめん。ちょっとビックリし過ぎてフリーズしてた」


「ふふっ。相変わらず蒼汰様は面白いですわね」


上品に口元を隠して笑う寿。


「どうぞこちらへ。セバス、蒼汰様をお願い」


「かしこまりました。…お嬢様。私の名前は平田です」


「そうでしたわね」


寿と平田の会話を誰かにどこかで聞いた事のあるような気がしている蒼汰だったが、特に気にする事なく柳生家の門をくぐる。


なぜ俺が寿の家に来る事になったかというと。どこからどうやって俺を見ていたのか分からない(知りたくもない)が、閉じ込められた部屋の扉を遠隔操作で開けてくれて。その御礼と風邪の見舞いを兼ねて寿の家にきた。


平田の後をついて歩く俺と寿。


「風邪はもう大丈夫なのか?」

「はいっ。お陰様でもうすっかり良くなりましたわ」


「そうか。…(しかし…)」


(和服姿似合うな寿)


「…あのぉ…蒼汰様。そんなに見つめられると…さすがの私も照れてしまいますわ」


寿が両手を頬にあてて恥ずかしそうにする。


「あっ…いや、違うんだ寿!」


歩きながら俺が慌てていると平田が立ち止まって態勢を低くしながら襖を開けた。


「ありがとう平田」 


そう言うと寿は部屋に入り。部屋の中から寿が俺を呼ぶ声が聞こえてきたので俺も部屋へと入って行く。


(な、なんじゃぁこりゃぁ…)


部屋に入ると漫画やアニメの世界で見る様な。小説やラノベで描写されて頭の中でイメージしていた様な。まさに『すんげぇ〜…』としか言い表せない部屋だった。


「蒼汰様。こちらへどうぞ」


「う、うん」


正座している寿が手を前にして前に座るように指示し、俺は寿と少しの距離を空けて何となく和室の雰囲気に流されて正座して座る。


「足は崩されてもよいのですよ?」


「大丈夫大丈夫」


「そうですか。今、お茶を淹れますわ」


「お、お願いします」


寿は千利休が『茶は服のよきように点てる』と言った言葉通りにお茶を慣れた手つきで淹れ、俺へと差し出す。


「どうぞ」


「い、いただきます」


(何か作法とかあった気がするけど…分からん)


お茶を手に取って左右に回してみたり。謎に背筋を伸ばしてみたりしている俺の姿を見て寿はクスっと笑う。


「作法などお気になさらないで下さい蒼汰様」


「え?そう?じゃあ…いただきまーす」


作法を気にしなくていいと言われた俺は、いつも小陰が淹れてくれるお茶やコーヒーを飲むようにいつも通りに飲み始める。


「…うまっ…」


「お粗末さまです」


両手をついて寿が頭を下げ。俺もつられて頭を下げる。


「いって!」


正座で痺れた足が痛み、思わず声が出てしまった。


「大丈夫ですか?だらか、言いましたのに」


そう言うと寿は胡座を崩した状態で足を擦る俺の横にくると俺の足を寿が優しく擦る。


「すぐ良くなりますわ」


いつもめちゃくちゃで、やる事言う事がぶっ飛んでるいつもの寿とは正反対な行動と態度のギャップに俺の顔は思わず赤くなってしまった。それに…和服姿の寿はとても綺麗だ。


「どうかされましたか?」


「あっ…いや、何でもない。…いてっ…」


今まで何度も抱きつかれてきて、この距離に慣れてると思っていたのだけど。今の寿は俺の知っている寿ではないので、心臓の鼓動が速くなる。


そんな状況に耐えれなくなった俺は小陰から渡されたある物を思い出す。


「そうそう!…これ、小陰から」


「それは?」


「小陰が作ったケーキ。…和菓子の方がよかったか?」


「いえいえ。有り難く頂戴致します。平田」

「はいっ。お嬢様」


寿の言葉にすぐ反応した平田という人が襖を開けて入ってきて。寿からケーキの入った箱を受け取ると部屋を出て行く。


「足はどうですか?」


「もう大丈夫だ。ありがとう寿」


「良くなられて良かったです」


そう言うと寿は立ち上がった。


「少しお席を外してもよろしいでしょうか?」


「どうぞどうぞ」


寿は軽くお辞儀をして部屋を出て行く。部屋を出ると外で待機していたお付きの人達と廊下を歩いて気配は完全に消える。


(…トイレか?しかし…)


「金持ちすぎだろ〜」


畳にゴロンと寝っ転がり大きな背伸びをして足を組みながら両手を頭の後ろに回して天井を見上げる。


(…ちょっと部屋を見てまわろうかな…)


そう思って立ち上がり。広い部屋の中を探検しようと歩き回と、少しこの部屋の外観とは合っていない本棚を見つけ。本のラインナップを確認すると、驚いた事にHibari先生の本が並んでいた。


「あいつ…」


出逢った当初の事を思い出す蒼汰。


「…そういや…Hibari先生の事を悪く言う寿に俺はキレたな…」


Hibariの本を手に取り、パラパラとめくって本棚に戻すと。一冊だけ少し他の本とはズレて微妙に前に出ている本が目に入る。


(これ。バレたら掃除係りの人が怒られるやつじゃね?)


そう思って蒼汰は微妙に前に出ている本を軽く押すと…


『カチャ』


(『カチャ』?)


何かのスイッチが作動し。本棚が奥へと移動すると左右に分かれて謎の空間が突如現れた。


「なっ!?…何だこりゃ!?」


恐る恐る謎の空間に入ってみると…そこには数え切れない程のモニターがあり。そのモニターには俺がよく目にする光景が映し出されていた。


「えっ…コレは…俺の家…コレは…部室…」


映し出されている俺の家の玄関から小陰が出てきた。


「あっ…小陰」


何がどうなっているのか訳がわからない蒼汰の頭はパニックになっていた。


「見つかってしまいましたか」

「ひっ!?…い、寿?」


音もなく突如として隣に現れた寿に驚くというよりもビビる蒼汰。


「い…いつの間に?」


「蒼汰様…お許し下さい」


寿が『パンっ』と手を叩くと俺の両サイドに忍びのような格好をした人がスッと現れた。


「な、なんだなんだ!?」


「絶対に苦しませてはなりませんよ」

「御意」


忍者のような格好をした人に両手を掴まれ、さらにパニック状態に陥る蒼汰。


「やっ、やめろ!離せっ!俺をどうする気だ寿!?」


両手を掴まれながら藻掻いている俺に寿はスッと音もなく近づき。右手を俺の左頬に手をあてて顔を近づける。


「ご安心下さい…少し記憶を消すだけですわ」


「え…なに…記憶?…それはぁ………ど…いう…こと…」


急に眠気に襲われた蒼汰はそのまま意識を失い。目を覚ますと横になっていて誰かに頭を優しく撫でなれていた。


「お目覚めですか蒼汰様」


「…ここは…」


目線を上に上げると心配そうな顔で寿が俺を見ながら頭を撫でている。俺はどうやら寿に膝枕をされているようだ。


「部屋に戻ると蒼汰様が倒れていらしたので心配しましたわ」


「……全く記憶がないな…俺…何してたんだろ?」


「私にも何があったのか分かりません。でも、ご無事で何よりですわ」


そう言うと優しく微笑む寿。


何か重大な事を忘れているような気がしてならない蒼汰だったが。撫でてくれる寿の手が心地よくて思い出すのを止める。


(……まっ、いっか。別に大した事じゃない気がしてきた)


「寿」


「はい?」


「もう少し…このままでいていいか?」


「もちろんですわ」


妙に心地いい感覚に包まれる蒼汰の目に少しこの部屋の外観に合っていな本棚が目に入る。


妙に心地いい寿の手に身を任せ目を閉じる蒼汰。


(…後で本棚のラインナップ確認するか)


この後、蒼汰は一冊だけ少し他の本とはズレて微妙に前に出ている本を見つける。


『カチャ』


(『カチャ』?)

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