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鈴蘭の花言葉

深夜の自宅。

俺はベッドの上で胡座をかいて瞑想していた。


「すぅぅ〜…ふぅぅー…」


これから俺は何をすればいいのか。何をするべきなのか考えなくてはならない。


Hibari先生と並んで歩くと言ってしまったが…


(…まったく…ビジョンが見えない)


「すぅぅ〜…ふぅぅー…」


瞑想を続けているとスマホにLINEの通知がくる。送り主は鳳だった。


『明日ヒマだろ?』


のっけから『明日ヒマだろ?』って…俺を何だと思っているんだコイツは。


『明日は忙しい』

『明日、家に行くから』

『おいっ。お前は人の話しを聞かない系女子か?』

『忙しいってのは嘘だろ?』


(なぜコイツは真実を知っているんだ)


『本当だ』

『嘘だ』

『そう言い切る証拠は?』

『妹さんに聞いた』


(…小陰ぁぁぁー!!)


俺の予定を唯一知る小陰からの情報となると…言い逃れできない……


『なんか急に予定空いた』


『それも嘘だな。明日、家に行くから』


『はい』


こうして俺の大事な大事な春休みの一日が潰れる事が決定した次の日の昼頃。玄関のインターンホーンが鳴って鳳が家にきた。


「おにーちゃん。石川さんきたよー」


一階から小陰の声が聞こえて数十秒後に俺の部屋のドアを鳳がノックして入ってきた。


「ちゃ、ちゃんといたな」


机の椅子に胡座をかいて座っている俺に鳳は声をかけた。


「そらいるよ」


部屋に入ってきた鳳は謎にモジモジしていた。


(…あーね。なるほど)


いつもと雰囲気が違う鳳に俺はすぐに気付いたが…俺はあえて気付いてないフリをする。


何故なら…『女の変化に鈍感な男が意外とモテる』と雑誌に書いてあったのを見た事があったからだ。


(…まぁ…モテたいわけじゃないのだか)


「今日はどうした鳳?」


俺のいつも通りの反応に「なっ!?」っと驚いた表情を見せた鳳だったが「今日の私についての感想は?」と。面倒くさ…私の変化に気付いて系女子のようなセリフは吐かずに本題に入る鳳。


「か、完成した…さ、作品をみ、見せてく、くれ」


「完成した作品←?…あぁー…アレか」


「デ、データはあ、あるんだろ?」


「あるけど…何だよ?嫌がらせか?」


「違うっ!!」


冗談で言ったのに本気で怒る鳳に俺は圧倒されてしまった。


「じょ…冗談だろ。今、見せるよ」


机の上にあるノートパソコンを開いて作品を画面に表示すると。俺は鳳に突き飛ばされて椅子から転げ落ちる。


「いたっ!…何すんだよっ!」


俺がそう言う時には、もうすでに鳳はパソコンの画面に夢中になっていて。俺の声は耳に届いていなかった。


(なんなんだよ)


床で強打した腕を擦りながら俺はベッドに異動し、ベッドに腰かけて、パソコンの画面を食い入るように見ている鳳の背中を見ていた。


(…そんなに続きが気になったのか)


鳳の背中を見つめていて暫くするとインターンが鳴り。部屋のドアが開いて小陰が入ってきた。


「おに…おにーちゃん。柳生さんが来たんだけど」


鳳が何かを真剣に見ているのにいち早く気付いた小陰が小声でそう言う。


「今日は上がってもらう?」

「帰ってもらえ」 


「えっ…でも」

「俺はグアムにでも言ってるって言っとけ」


「いいの?」

「いいんだ」


ため息をつきながら小陰は部屋のドアを閉める。


春休みに入ってから毎日のように決まった時間に俺の家に来る寿がもはやノルマを達成するのに必死な営業の人にしか思えなくなってきていた。


玄関のドアが閉まる気配がして数秒後に俺のスマホにLINEが通知された。


『本当にグアムにおられるのですか?』


そのLINEに俺はすぐに返事をする。


『いる』


『分かりました』


寿に返事をせずに俺はスマホを横に投げて鳳に視線を向ける。


少し猫背になりながら鳳はパソコンの画面を凝視していた。


それから俺はいつの間にか横になって寝ていて、どのくらい時間が経ったのか分からないが。鳳に揺さぶられて起こされて目を覚ました。


「んがっ……なに?」


「よ、読み終わったぞ」


「…あっそう…んで?」


「し、質問…い、いいか?」


「質問?…なに?」


目を擦りながら起き上がって俺は鳳にそう言った。


「…あ、あの…さ、最後のシーンは…そ、蒼汰のり、理想なのか?」


「最後のシーン?…あぁ〜…あれか。…ん〜…まぁ…理想というか…誰もが予測できないシーンにしたいと思って創った最後だけどな」


鳳が俺に質問してきたシーンは。メインヒロインと思われていた女子が主人公にフラれ。主人公と今まで目立たなかった女子と結ばれる。と、いうシーンだった。


「こ、このシーンは…か、会長の…ア、アドバイスか?」


「会長?…いやっ。ここは俺が一人で創ったシーンだな。会長はここには手を加えなかったな…唯一」


「そ…そうか」


鳳はそう言うと嬉しそうな表情を見せた。


(…なんなんだ?なんでそんな表情になる?)


鳳の考えている事が全く分からない蒼汰。


(…そういや…)


そういえば最近の鳳は何かおかしいと思うところがあった蒼汰は、最近の自分への対する鳳の態度を思い返していた。


(…最近)


春休みに入ってから、何故かやたらと用もないのにLINEをしてくるし。何故か最近やたらと電話をかけてくる。何故か最近やたらと私服で会おうとする。最近は「死ね」と言われなくなった。


前まではゴミや汚物を見るような目で俺を見ていたけど。最近は小動物や小型犬を見るような目で俺を見てくるし。教室でもよく目が合う。(すぐに目を避けられるけど)


以上が最近の鳳。…それを全て踏まえて考えてみよう。


蒼汰はベッドの上で胡座をかいて目をつむる。


「い、いきなり…な、なんだ?」


蒼汰は最近の鳳との会話や鳳の視線や行動を頭の中で思い返す。


そして…一つの答えを導き出し。パッと目を開けた蒼汰は鳳を見る。


「な…何だ?」


「お前…最近…様子が変だよな」


蒼汰の言葉に鳳はドキッとし。心臓の鼓動が速くなる。


「それで…思ったんだが…お前」


鳳の心臓は爆発寸前で、赤くなる顔を自分の意思では止められない。


「…お前…俺のこと…」


鳳は両手で履いているスカートをギュっと強く握る。


「…………暗殺しようとしてるだろ?」


蒼汰の斜め上から垂直落下して再び上に上がって斜め上に戻るような予期せぬ発言に、鳳の心臓の鼓動は一瞬で正常に戻って顔は真顔になる。


「……死ねっ」


一階のリビング。

(石川さん…今日も服装かわいかったな…頑張れっ!)


そんなに会う機会がない小陰の方が鳳の事をよく知っていた。


「おにーちゃんは気付いて…るわけないか(笑)」


もちろん。蒼汰の事はよく知っている小陰であった。



数時間後。

『蒼汰様ー。どこにいますかー?』


(あっ…忘れてた…)


蒼汰のスマホにLINEが連続で通知される。

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