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ピンクのガーベラの花言葉10

生徒会室に生徒会役員が全員集まっている中。俺は東堂会長の横でガクガクと全身を震わせながら立っていた。


「こいつは二年の風陰蒼汰。少し訳あって少しの間、生徒会の一員になってもらう事になった。ほら風陰。自己紹介しないか」


「ふぁ、ふぁいっ!」


俺は少し前に出て自己紹介を始める。


「か、風陰で、です。よ、よ、よろしく…お、お願いし、します」


鳳のような喋り方で自己紹介を終えた俺は頭を深く下げる。


そんな俺を冷たい目で見ている生徒会役員の皆さん。そして、すごく何か言いたそうな顔もしていたのだが。東堂会長に逆らえる生徒などいるはずがなく。生徒会役員の皆さんは色々と我慢している様子だった。


「風陰には私の特別補佐として生徒会の仕事を手伝ってもらう」


(えっ!?…俺、生徒会の仕事するの!?)


「そして…風陰の隣にいるのが…」

「柳生寿と申します。蒼汰様の秘書兼妻です。よろしくお願い致します」


寿の自己紹介に蒼汰と操は「はぁー…」とため息を吐き。生徒会役員の三人から「絶対ヤバい奴だと思われてる」と思っていたのだがその予測は外れていた。


(((……ぶっちぎりでヤバい奴だなコイツは)))


副会長、書記、会計の三人は心の中でそう思っていた。


「さっそくだが働いてもらうぞ風陰」


「は…はぁい…」


そらからの俺の学校生活は大忙しの学校生活へと変わっていった。


生徒会の仕事を手伝う→失敗して怒られる→創作する→怒られる→寿に絡まれる→怒られる→良かれと思ってやったら大変な事になる→会長にゲンコツされる


を繰り返す日々が続く。そして、あの日以来、部室に行く事はなく。久瀬さんと鳳と一言も話す事もなかった。…もちろん二人からLINEがくる事もない。


そんな生活を続けていた俺は心身共にボロボロの状態で自宅のソファーに腰かけて天井を見上げていた。


「おにーちゃん」


ボケ~っと天井を見ていると小陰が上から顔を覗かせてきた。


「…小陰」


「凄く疲れてるみたいだけど大丈夫?」


そう言うと小陰は俺の隣にこしかける。


「小陰…おにーちゃんはもう…心も体もボロボロだ…」


「そうみたいね(笑)…じゃあ…こんな癒やしはどうですか?」


「ん?」


小陰を見ると自分の両ももを両手でポンポンと叩いていた。


「…私の膝枕なんかでよければ…どうぞ」


少し照れながらそう言う小陰はまた両ももを両手でポンポンと叩いた。


(な…なんじゃぁいこの歴史史上ぶっちぎりで一番かわいい生き物はぁぁー!!!)


「あれ?…いらなかった?…」


俺は0.000000001秒の速さで小陰の膝枕に飛びついた。


「わっ、ビックリしたぁー。…よしよし。頑張ってるおにーちゃんはカッコいいよ」


そう言って小陰は俺の頭を優しく撫でてくれた。


俺はこの時もし『あと5分で地球が滅びる』とニュースが流れてきたとしても。人斬り以蔵が俺を殺しにやってきたとしても。俺は小陰の膝枕から動く事は決してないだろう。


「どう?元気出てきた?」


そう言いながら微笑む俺の宇宙一かわいい妹。そんな妹もいつかは大人になって…どこの馬の骨か分からんクソったれのクソ野郎のクソボケのお嫁さんになるんだと考えたら……本気で涙が出てきた。


「えっ!?どうしたのおにーちゃん!?」


「小陰……黒ずくめの組織ってどこにあるか知らないか?」


「……遊園地で取引現場の写真でも撮ってれば?」


小陰から元気をもらった俺のHPは全回復し。ご飯やお風呂を済ませると部屋に籠もって机に齧りついてそのまま朝を迎えた。


放課後。生徒会室。

「何度言ったら分かるんだ!これでは前後のストーリーとのバランスがおかしくなるだろ!」


「す、すいませんっ!」


「やり直せっ!…まったく…」


そう言うと東堂会長はため息をつきながら視線を窓の外に向けた。


そんな会長の背中を見つめていると俺にはある疑問が浮かんできて。その疑問を自然と口に出してしまった。


「…会長はなんで…そんなに俺に親身になってくれるんですか?」


自然と口から零れた俺の言葉に会長は振り向かずに反応する。


「…私は生徒会長になったのはいいが。生徒会長になってからは自分の意思で何かしたいと思って何かを成し遂げた事がないんだ。…いつも周りから言われた事を叶えてやる事しかしてこなかった」


振り返らず窓の外を見つめながら会長は言葉を続ける。


「このまま卒業するのかと思っていたら…お前に出会ったんだ風陰。お前の未完成の作品を読んだ時…『この作品を最後まで読んでみたい』と。そう思ったんだ」


会長が窓を開けると冷たい風が生徒会室に飛び込んできた。


「…そしたらお前が『この作品を一緒に創ってくれ』と。そう言ってきてくれてな。…私は嬉しかった。何も自分で成し遂げれないまま高校生活を終えると思っていた私に…お前は手を差し伸べてくれたんだ。…私に…チャンスをくれたんだ」


振り返る会長の髪に風がイタズラをして。会長は髪を左手でかき上げる。


「悪いが風陰…これはお前の為にやっているのではない。私自身の為にやっている事なんだ。…こんな身勝手な私のこの話しを聞いても…お前は…私の『相棒』でいてくれるか?…風陰蒼汰」


悲しげな表情で少し笑って風のイタズラを左手で止めている会長を見て。俺はノートパソコンのキーボードを叩き出す。


「……俺は東堂会長の『相棒』ですよ。…頼りない『相棒』ですが。…それでも…会長は俺を『相棒』と言ってくれますか?」


俺は会長の質問に質問で返した。


「……あぁ……風陰蒼汰は東堂操の…『相棒』だ」


生徒会室は風が吹く音とキーボードを叩く音だけが響いている。


遠く空の彼方を見つめている操は微笑みながらキーボードが叩かれる音を聞いていた。


そして。蒼汰と鳳はコンテストの出品作品を完成させ。締め切りギリギリで作品を送った。


そして。一ヶ月後。生徒会室に蒼汰と操の姿があった。


パソコンの画面を見た後…蒼汰と操は力強くハイタッチを交わした。


蒼汰と鳳の作品は一次審査を無事に突破する。

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