ピンクのガーベラの花言葉3
「誰だアイツはぁ!!」
「何年何組だぁ!!この野郎っ!!」
「あんなヤツ見たことねぇぞ!!」
「ちょータイプかもぉー!!」
「ぶち◯してやるっ!!」
鈴蘭高校の弓道場はまだブーイングがおさまらない。
(…何か一人…ブーイングじゃない声しなかったか…?)
収拾がつかないので。一旦俺達は弓道場にある控室に身を隠す様に向かう。控室に入ると久瀬さんと寿が俺に迫る。
(えっ!?なに?なんすか!?)
「何でそんなに弓道が上手いのよ!?もしかして経験者?」
「えっ?…経験者ではないですよ」
「もしかして蒼汰様。内緒で特訓されてたとか?」
「してないしてない。そんなのするわけないよ(笑)」
「じゃあ、何で?」
「では、何故?」
(あぁ〜…はいはい。そうゆう事ね)
二人の質問に少し間を空けて恥ずかしそうに口を開く蒼汰。
「えっと…昔の話しなんですが…一時期…本気でエルフになろうとしていた時期が…ありまして…」
口を開いたはいいが。美空と寿は蒼汰が何を言っているのか全く理解不能だった。
「エルフ?エルフに憧れていたから何なの?」
「ほらっ!エルフと言えば『弓』じゃないですか!?…だからその時…いっぱい弓の練習してたんですよねぇ(笑)」
恥ずかしそうにそう言って笑う蒼汰。
「いやぁ~でも…腕が落ちてなくて良かったー(笑)」
(鳳にああ言った手前。外したら恥ずかしいからな…)
自分達を救ってくれた救世主のあまり公にしたくない活躍の理由に少々呆れ気味の美空だったが。普段はバカな事しかしないラノベ大好きモブぼっちの頼りになる姿に少し見直した美空だった。
「はぁ~…蒼汰…様ぁ…」
美空が寿を見てみると。目がハートになっていて今にも蒼汰に飛びついて何をするか予測不能な状態だと察知した美空は寿の両腕を後からホールドして暴走を止めようとした。
「な、何をするのですか久瀬さん!?」
「こうしてないとあんた蒼汰に飛びつくでしょ!」
「妻が夫に抱きついて何が悪いのですか?」
「誰が蒼汰の妻よっ!」
美空と寿の争う姿を見た蒼汰はいつも通りの部活動に戻る事が出来たと、危機を脱したと。ホッとしていたそんな時、控室の扉が開いて鳳が入ってきた。
「鳳!?もう大丈夫なのか?」
「だ、大丈夫だ…」
「そうか…良かった」
「う、うん…」
鳳のいつもと違う様子に気付く美空と寿だったが……蒼汰は全く気付かずいつも通り鳳に対して接する。
月曜日。
学校へ行くと。学校内の噂は弓道部の男子生徒の話題で持ちきりだった。そう…その弓道部の男子生徒とは…俺の事さっ!
「そ、蒼汰…な、何…変な、ポ、ポーズしてるんだ…」
「……いや。何でもない」
噂になっている弓道部の男子生徒を女子がいくら探したところで見つかるはずがない。何故なら…その男子生徒はモブの俺だからな。校内は完全に…ウォーリーを探せ状態になっていた。
生徒会室のドアをノックすると中から声が聞こえてきてドアを開けると。会長椅子に東堂操が腕組みしながらドンっと構えていた。
「これ部活動報告書です」
受け取った東堂はパラパラと報告書に目を通して閉じる。
「…いいだろ。確かに受け取った」
俺と鳳が部屋を出る直前に東堂は鳳に声をかけた。
「…そこの小さいお前。…確か…石川…鳳だったかな」
いきなり声をかけられた鳳はビクッとして半分だけ振り返る。
「よく頑張ったな。的に矢は当たらなかったが…精一杯、努力した事は伝わってるぞ。胸を張れ」
鳳は少し頭を下げて生徒会室を出る。
「…風陰蒼汰」
(…来ると思った)
「はい?」
「…調子に乗るなよ」
「……はい」
生徒会室を出て俺と鳳は教室に戻った。
放課後。部室にて。
「なぁ鳳ー。次は何の話し描くんだ?」
「お、お前には…か、関係ない…だろ」
「関係なくはないよ。…一応、俺も文芸部の部員だし」
「い、『一応』な、なのか。…そ、蒼汰は…か、描かないの、か?」
「……俺?……そうだなぁ…」
そういや…何で文芸部を作ったんだっけ?
(そうだったそうだった。Hibari先生と一緒にラノベ作る為だった。…あれ?…待てよ…そうなると…)
急に立ち上がる蒼汰にビックリする鳳。
(……それじゃ…また俺はHibari先生に近づきすぎる事にならないか!?)
いや…待てよ。もっと冷静に考えよう。
静かに椅子に座る蒼汰。
(立ったり座ったり…何をしてるんだこの犬は?)
(今回の場合は…Hibari先生が俺にラノベの作り方を教えてくれる←の方が正しいな。そうだ…そうだよなっ!)
急に立ち上がる蒼汰。もう慣れた鳳は無反応。
(これは凄い事になってきたなぁー!!)
Hibari先生にラノベの作り方を教わる→いい作品を描く→Hibari先生に褒められる→Hibari先生の弟子になる→Hibari先生と一生一緒にラノベに携われる……
「…鳳」
「な、なんだ?」
「…ラノベ…描くぞ」
「わ、私は。さ、最初から…か、描いてるぞ」
「そして…最高のラノベ人生が俺を待っているっ!」
「……そ、そうか。が、頑張れ」
鳳はもう蒼汰に何かを望む事は諦めた。
(コイツの言ってる事が1ミリも理解が出来ない…)
そんな中。部室のドアが開くと美空が入ってきた。
「何してるの?」
「久瀬さん!俺!ラノベ描きます!」
「やっとやる気になったの?」
「はいっ!…だから…ご指導よろしくお願いします!」
俺は深々と頭を下げた。
「えっ、ムリだけど?」
「………へ?」
「私が教えるって…それはプロから教わるって事でしょ?そんなのムリに決まってるじゃないの。少しのアドバイスならしてもいいかもしれないけど」
「…ダメなんですか?」
「当たり前じゃない。他校の文芸部よりアドバンテージが高すぎるでしょ。それよりコレ…」
久瀬さんはテーブルに一枚の紙を叩きつけた。
「…今度は文芸部の活動よっ!…この賞レースに作品を出品するわっ!」
美空は不敵で素敵な笑顔を見せる。
「さぁっ!描いて描いて…描きまくるわよっ!」




