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イースターリリーの花言葉5

美空と蒼汰は少し早めの昼食をとる為に映画館近くにあったレストランに入っていく。


案内された席へと座ってから数分後に怪しげな二人組もレストランへと入っていく。


「なかなかいい雰囲気のお店ね」


「そうですね。ここ、小陰と一回来た事あるんですよ」


「そうだったの?」


「はい。…なんか…懐かしいな」


蒼汰は店内の中を見渡し。小陰と一緒に来た時の事を思い出していた。


「…本当に風陰って…小陰ちゃんが好きよね?」


「えっ、まぁ…大事な妹ですからね」


「ふ~ん」 


(小陰ちゃんが結婚したら…風陰はどうなるのかしらね)


その時を想像しようとした美空だったが…恐ろしすぎて想像するのを止めた。


「久瀬さんは何食べますか?」

「えっとねぇ…全部美味しそうで迷っちゃうなぁー」


仲睦まじくメニュー表を二人で見ている美空と蒼汰を怪しげな格好をした二人組が離れた席から双眼鏡で美空と蒼汰の席をガン見していた。


「あのぉ…お客様?」


「あっ!また近いですわねあの二人」

「へ、変態犬…め」

「あのぉぉ…」


店員の声は二人に届かず監視を続けるエージェントAとエージェントB。


注文が終わると飲み物は直ぐにきて。美空はレモンティーを蒼汰はコーラを飲みながら料理が運ばれてくるまで談笑を楽しんだ。


どっからどう見てもカップルにしか見えない二人の姿をエージェントAは奥歯を噛み締めながら双眼鏡で二人の姿を見つめていた。


料理が運ばれてくると料理を食べながらの美空と蒼汰の会話は盛り上がりに拍車がかかり。この二人の席だけ華やかに見えてくる。


頼んだ料理を全部食べ終え。美空はデザートを注文する為にまたメニュー表を広げた。


「どれにしよっかなぁ〜…何か蒼汰のオススメはある?」

「そうですねぇ……」


(あれ?今…蒼汰って言った?私?)

(あれ?今…蒼汰って呼ばれた?俺?)


蒼汰との会話があまりにも盛り上がって楽しくてつい気が緩んでしまった美空は不意に蒼汰を名前で呼んでしまった。


一瞬で色々と次の言葉を考えた美空だったが…腹を決めた。


「…それで…蒼汰のオススメは?」


「…あっ…えっと…こ、これですっ!」


蒼汰が指を差したのはショートケーキだった。


「…ショートケーキ好きなの蒼汰?」


「まぁ…好きですよ。美味しいし。イチゴ好きだし」


「…ふふっ。何か…可愛い…蒼汰」


そう微笑みながら蒼汰を見つめる美空。


(…久瀬さんの方が何億倍もかわいいわ)


美空はショートケーキを注文してレモンティーを飲みながら蒼汰の話しを聞きながらある事を考えていた。


(…蒼汰からは見えないから気づいてないと思うけど。…あの二人…バレバレなのよね…)


蒼汰の斜め後ろから双眼鏡でこちらをガン見している二人組を視界の端に入れて気付いてないフリをする美空。


(…何なのあの格好?それで変装のつもりかしら?) 


注文したショートケーキが届くと美空はスマホで写真を撮ってからショートケーキを食べ始める。


「んっ!?このショートケーキ本当に美味しい…」 


「ここのショートケーキは美味しいで有名ですからね」


「蒼汰は食べないの?」


「俺は…いいですよ。お腹いっぱいですし」


そう言って少し微笑んでコーラをストローで飲む蒼汰を見て美空は何となく聞いてみた。


「一口…いる?」

「えっ?」


美空はショートケーキを一口サイズをフォークですくい。蒼汰にそれを向けた。


「はいっ…あーん」

「えっ!?ま、マジっすか久瀬さん!?」


蒼汰の心臓の鼓動はどんどん強くなり。それと同時並行して美空の差し出すフォークがどんどん近づいてくる。


ショートケーキが乗ったフォークが蒼汰の口の目の前までくると。覚悟を決めた蒼汰は覚束ない動きで口を開ける。


「…えっ!?」


驚いた声を出した久瀬さんの手が止まり。久瀬さんの視線を辿ると…怪しげな二人が双眼鏡で覗き込みながら隣に立っていた。


「うわっ!?……な、何してんの?…鳳?…寿?」


鳳と寿の変装は直ぐにバレた。


四人で座った席。反対側に座る鳳と寿に蒼汰は質問する。


「何してるんだよお前ら。いつからつけて来た?」


「…え、映画館…から…」

「私は蒼汰様の自宅からです」


(……おかしなやつが一人いたが…まぁいい…)


「…それで。誰に聞いたんだ今日のこと?小陰か?」


「く、久瀬さんから…」

「私は盗聴器で知りましたわ」 


(……後で小陰に連絡するか……)


「ん?…鳳は久瀬さんから?」


「そうよ。私が教えたの。ダメだった?」


「いや、ダメという訳じゃないですが」


「ならいいじゃない。…鳳ちゃんはね」

「そうですね。…鳳はいいですね」

「蒼汰様。私は?」


「「(お前)(あんた)はダメ(だ)(よ)」」 


「あぁ…そんなぁ…」


「まぁ…こんな分かりやすい変装で来るとは思ってなかったけどねぇ…」


久瀬さんは苦笑いをして。鳳は顔を真っ赤にして「す、すみません」と何度も謝罪を繰り返した。



片肘をテーブルにつけて左頬を手で支えながら久瀬さんは大きなため息をつき。俺も大きなため息をついた後コーラを飲む。


(まぁ…何となくそんな気はしてたが。…ショートケーキ…もったいない事したなぁ〜)


そんな顔を俺がしてたのか。それとも久瀬さんがそうしたかったのか定かではないが。俺がコーラをテーブルに置くと久瀬さんが奥の方を指差して「あっ!」と言う。


鳳と寿は久瀬さんが指差す方向へ振り返り。俺も久瀬さんの指差す方向へ目線を向けた。


「久瀬さんなにうっ…」


鳳と寿が体制を戻すと顔を真っ赤にして口をモグモグさせて下を向いている俺を二人は不思議な目で見てくる。


「…何をされたのですか久瀬さん?」


「……さぁねぇ」


寿の問にそう答えると久瀬さんはショートケーキを食べる。


久瀬さんは優しいから。…ショートケーキのイチゴを俺に食べさせてくれた。



怪しむ二人の視線を浴びながら俺は口の中のイチゴを味わって食べた。


(…このイチゴ…甘いな)

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