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イースターリリーの花言葉

紆余曲折あったが俺らは何とか文芸部を発足させる事が出来た。


(色々と悩み事は増えたが…)


これから俺とHibari先生(あと二匹)の眩しく輝くキラキラした文芸部活動が今!…今!…始まらない。


体育館。

「え〜、冬休みの間。本校の生徒として…」


体育館でボケ〜っと校長先生の話しを聞いている蒼汰。鈴蘭高校は明日から冬休みに入る。冬休みの間も文芸部は活動する予定なのだが…Hibari先生は新作の創作に専念する為に冬休みの間は部活に来ないそうだ…


(あぁぁ…マジかよ…部活…行きたくねぇ〜)


終業式が終わりナチュナルに家に帰ろうとする俺を石川さんが止める。


「お、おいっ。な、何帰ろうと、し、してるんだ?」


「冬休み始まったから」


「ぶ、部活は?」


「えっ…行くの?」


「あ、当たり前だろっ!や、やはり…お、お前は…クズだ」


「はぁ~…分かった分かった。行きますよー」


部室に着くと弓道場の方から的に矢が当たる音が聞こえてくる。


(こんな寒いのによくやるな寿は)


部室に入ると寿がストーブをつけてくれていて部室の中は暖かった。俺はHibari先生のラノベを読み。石川さんはラノベを描いていた。


チラッと見てみると石川さんの表情が描いてる場面事にコロコロと変わるのが面白くて、本を読んでるフリして俺はずっと観察していた。


「あら?いらしてたんですね蒼汰様」


「こんな寒いのによく弓道なんてできるな寿。あ、ストーブありがとうな助かったよ」


「いえいえ。妻として当然ですよ」


そう言うと後で結んでいた髪をほどいて髪を下ろす寿。黒髪美少女の袴姿…なかなか良いではないですか。


(脳内メモリーに保存保存っと)


脳内メモリーの保存を終わらせて。また石川さんの観察でもしようと石川さんを見ると石川さんは寿を睨みつけていた。


「何でしょうか?石川さん?」


「つ、妻じゃ、な、ないだろ。バ、バカな発言は…ひ、控えろ」


「いずれは私は蒼汰様の妻になるのですから今か言っても何も問題ないと思いますが?」


「き、聞いてる、こ、こっちが、ふ、不愉快になる、んだ。あ、あと…そ、その…そ、『蒼汰様』って呼ぶのも…や、やめろ…キ、キモい」


石川さんは寿を睨みつける。


俺と同等に寿の事を石川さんは嫌っているようで。事ある事に寿と衝突する。衝突といっても石川さんが一方的に突っ込んて行くだけで。寿は石川さんが自分に対して何を伝えたいのか全く理解できず、理解しようともせず、毎回頭の上に『?』を付けて話しをしている。


(この二人が仲良くなる日は果たして来るのだろうか?)


頭に『?』を付けたまま寿は弓道場に戻って行き。寿が部室を出ると今度は俺を睨みつける石川さん。


「え?な、なに?」


「お、お前が、あ、あいつを…あ、甘やかすからだ…」


「だって言っても聞かないんだもん。…てか何でそんなに怒ってるの?…やきもち?」


「バ、バカな事を、い、言うなっ!だ、誰が、お、お前なんか、に!」


そう言うと石川さんは顔を赤くして怒りながらラノベの続きを書き始めた。


(まぁ分かってた事だけどね)


その後はお互い黙ったまま。俺はラノベを読み、石川さんはラノベを描く。そんな時間が続いたが、急に何を思ったのか石川さんが突然口を開いた。


「お…おいっ」


「…あ、俺?」


「こ、この、へ、部屋には、わ、私達しか、い、いないだろバカ」


「へいへい。そーですね。んで、なにかな石川さん?」


石川さんは手をモジモジさせながら下を向いてこう言ってきた。


「わ…わ、私の事も……な、名前で…よ、よべ」


「………なんで?いきなりどうしたの?」


「い、いい…から…な、名前で…呼べ」


……はっは〜ん。その言葉の意味が分かったぞ。たぶん、今描いてるシーンが初めて下の名前で呼ばれるシーンなんだな。それで実際に呼ばれてみてどんな気持ちか確かめる為だな。うんうん。いい心がけだな石川さん。


「…分かったよ。鳳」


(どんなシーンになったか後で読ませてもらおーっと)


俺が名前で呼ぶと鳳は俺が予想してた反応とは違う反応を見せた。


①「やっぱり死ねっ」と言われる

②「やっぱりキモい」と言われる

③「キモい。死ねっ」と言われる


①〜③の予想は外れ。鳳は俺が名前を呼ぶと。


「……わ、私も…こ、これからは…な、名前で呼ぶ……そ、蒼…汰」


そう言って鳳は顔と耳を真っ赤にして下を向く。


……これは……どういう反応なんだ?……分からん


それ以降。鳳は口を開く事はなく。部活が終わる時間まで顔を真っ赤にしながらラノベを描き続けた。


帰り道も鳳は何も喋る事はなく。俺も特に話す事もなかったので俺らは終始無言のまま帰り道を歩き続けた。


晩飯後。リビングのソファーで横になりながらラノベを読んでいると小陰が洗濯物をたたみ始める。


「なぁ小陰」


「ん?なに?」


「俺に名前で呼ばれるってどんな感じ?」


「おにーちゃんに名前で呼ばれる?それ、普通じゃない?」


「質問を間違えた」


「そこ間違える普通?」


「えっと…なんて言えばいいのかなぁ〜…あ、えっと、好きでもない異性に名前で呼ばれたらどんな反応する?」


「ん〜…特に何も反応しないかな」


「じゃあ、好きな人は?」


「ん〜…ちょっと照れちゃうかも」


「顔は赤くなる?」


「そりゃ…なるでしょ。好きな人に名前呼ばれたら」


「ふ〜ん…」


「いきなりどうしたの?」


「…いや。何でもない」


「変な事聞くねおにーちゃん」


小陰は洗濯物をたたみ終え。それぞれの服をしまいに俺の部屋と自分の部屋に向かった。


小陰の意見からするに……鳳の反応は……俺の事が好き……


「な、訳ないよな」


俺は確かめる為にテーブルの上に置いておいたスマホを手に取る。


『鳳ー』


既読はすぐに付いた。


『なんだ?』

『鳳。お前、俺のこと好きなのか?』

『キモい。死ねっ』



………ほらね。小陰の嘘つき。

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