1 始まりの音
歌詞を作成していたら、物語になるのではとの提案を頂き久しぶりに執筆しています。
世界観はお楽しみで。
- - - - - - - - - - - - - - - - -
シュアは寝起きが悪い。だが、今日は違った。
長い睫毛に隠れて閉ざされていた瞼から真紅の瞳が、まるで今迄熟睡していたとは思えない程見開くように目を覚ましたのだ。
_____来た
シュアの心臓は早鐘が止まらない。
ドクドクと頭の方まで血液が循環が勢いで早まり、額からは脂汗まで湧き出る位だ。
誰から見ても尋常な事は明らかで。
侍女は隣室で控えているが、シュアは悟られたくなくて静かに深呼吸をした。
この時が来たか、と言う気持ちと世界の歯車が動き出す感覚を察知した。
複雑な心境を落ち着かす為にも、ベッドサイドに置かれた飲水瓶からグラスに水を注ぎ飲み干す。
次いで、タオルを手に取り汗を拭うと気持ちは行く場か落ち着いた気がした。
暗雲が立ち込めるこの国では朝も夜も分からない。何時もなら気にならないが今は違う。
飲み干したグラスを置くがてらにベッドサイドの時計を見る。
時計の針は朝の8時。
そっとベッドから降り、室内シューズを履くことも忘れて音を立てないようにカーテンを少し開け暗雲の立ち込める空を見つめた。今日も変わらない日常がシュアを待っていると思っていた。
だけど私の優しい世界が崩壊していくんだ、と悟った今はダイヤのような美しく光る涙を1粒零した。
それとまた別に、この世界の理を受け止める覚悟をしなければと侍女が来る前に、これだけは何者にも悟られないように切り替えようと努めることにした。




