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俺は、魔力0の最弱魔族!  作者: ダンディー
第一章 入学! オルエイ高等学園!
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8.求婚ヒロイン

「エスタ、私と結婚しない?」


は? え? 聞き間違い?


突如として彼女の口からあまりにもとんでも無い言葉が飛んできた為、俺は動揺して固まってしまった。


目の前の彼女は楽しそうに笑っている。


「結…婚…?」


「そう、結婚。」


どうやら聞き間違いではなかったらしい。


「結婚っていうと、あれだよな。男女がこう、一つになる…」


「それ以外になくない?」


「ちょっと待って、頭が追いつけてない。…もしかしなくても、またからかってる?」


「酷くない? 真剣にプロポーズしてるのに。」


「なら尚更混乱するわ。」


俺が返すと彼女はニコニコな笑顔で詰めてくる。


「エスタ、彼女いないんでしょ?」


「ま…まあ別にいないけど。」


「じゃあ、いいじゃん結婚しよ!」


「なんでそうなる!?」


話しながら、シアが距離を詰めてくる。


目がガンギまっていて、若干怖い。


息のかかりそうなくらい顔を近づけてくるのだが、明らかにやばい表情をしている。


「なあ、俺たち出会ってまだ2時間だよな。」


「そうだよ〜?」


「付き合うどころか、まだ数言葉くらいしか喋ってないよね?」


「そうだね?」


「何で結婚!?」


「私がしたいから。」


いや、それはそうだろうけども…!


生まれてこの方女性との交際経験など一つもない。というか興味もなかった。


そもそも女の子と喋る事すら少ない。


故に、この状況でなんて言えばいいのか何一つわからない。


世の男はこういう時、どういう返しをしているんだ!?


とりあえず、俺は必死に言葉を絞り出す。


「な…なんていうかその、早くないか?」


「私は構わないよ! だってほら」


そう言いながら彼女は俺の前髪をかきあげる。


「パッチリとした二重のお目目に、」


「いや、俺一重だし。」


「高い鼻、」


「いや、鼻は別に高くないだろ。」


「彫りの深いイケメン顔、」


「彫りも深くねぇし、」


「しかも誰よりも優しい王子様のような性格。」


「まだ会って初日で性格もクソもあるか。」


「私と結婚してください!」


「お前何一つ俺の事見えてねぇだろッ!」


完全にノリツッコミだった。


ひとまず、俺は彼女の肩を抑えて距離を離す。


「悪いけど怖ぇよ、初日で求婚してくるやつなんて。」


「えぇ、こんな美少女に告白されてるのに断っちゃうの〜?」


「自分で言うかそれ…」


俺は呆れをこめて視線を向ける。


すると、彼女はため息をついて、諦めの表情を見せた。


「まぁ、エスタが嫌なら仕方ないや。でももし結婚したくなったら言って、いつでも受け入れる準備はできてるよ!」


「…なんで初っ端からそんなに好感度が高いんだよ。」


「さあ、何ででしょう?」


そう言い残すと、彼女は背中を向けて歩き出した。


ひとまず見逃してくれたらしい。


もう求婚されなければいいが…


ていうか、初日に女子に求婚されるとか、大丈夫か? 俺の学園生活。




☆★☆★☆★☆




しばらく歩くと、エント沼へと到着した。


その名の通り大きな沼だ。


水も生えている植物も、全てが汚い水色をしていて、なんだか異空間にいるような気持ち悪さのある空間だ。


辺りを見渡すと、奥の方に一匹、大きなカエルの形をした魔獣がいることに気付いた。


俺は、シアに向かって話しかける。


「それで、ここからどうする?」


「どうするって?」


「いや、狩りをするわけだが、協力しながらやるか?」


俺はシアに対して魔獣がいる方向に向かって、めくばせをする。


魔獣の存在に気付いたシアは感心するように息を吐いた。


「エスタ、よく見つけられたね。」


「観察眼には自信がある。ぶっちゃけた話をすると、あれくらいの魔獣だったら俺一人でもやれるが、一緒に協力して狩るか?」


「ん〜。別にいいよ。そうだ、じゃあ一回、エスタの実力見せてくれない?」


「…わかった。やってやるか。」


彼女の言葉に俺は一度頷いた。


そして剣を抜いて魔獣の方へ向かって歩き出す。


シアは少し後退りして、後ろの方から眺めるらしい。


俺が近づくと、カエルは存在に気づいたのか、こっちの方を威嚇し始めた。


俺は構える。


そして、思いっきり踏み込んで、蛙の方向へと走リだした。


びっくりしたのか、カエルが口から火を噴くが、咄嗟に右の方へ体を捻りそれを避ける。


そして脳天から真っ直ぐ切り裂いた。


カエルが真っ二つになり、チリとなって消える。


一連の流れを終えて、俺はシアの所へと戻る。


「こんな感じだな。」


俺が剣を鞘にしまいながらそう言うと、シアはパチパチと軽く拍手しながら称賛の声を贈る。


「凄いね。魔装使ってないのに、魔獣があっという間に。」


「まぁ、魔力が無くても戦えるように鍛えているからな。」


魔装とは、体を魔力で覆う事で強化し、身体能力を爆発的に上げる技だ。


魔力を使いはするが消費する訳ではなく、魔法とは別のカテゴリーに分類されている。


世の中のほぼ全ての人が、運動や戦闘をする時にこの魔装を使用し、魔力量が多ければ多いほど強度は高くなる。


魔界において魔力量が強さの基準となる所以だ。


勿論だが、魔力のない俺には使えない技である。


「ところで、魔物がチリになって消えてしまったんだが…」


俺がそう呟くと、シアが説明し始めた。


「ここにいる魔獣は、魔道具で作られた魔獣だから、死んだら肉体は残らないらしいよ?」


「なんだそれ、どういう原理だ?」


「さあ?」


「受付の人が、討伐を証明出来るものを持ってきてくださいとか言っていたが、どうやってやるんだ?」


「さあ?」


どうしろっていうんだ。


チリでもかき集めろってか?


俺は周囲を見渡して、何かないか散策する。


すると、泥に同化していてわかりずらいが、カエルを倒した場所に紫色の石が落ちているのを発見した。


その場へ小走りして拾ってみる。


じっと石を観察していると、隣にいたシアが興味津々で眺めてきた。


「何この石?」


「さあ、わかんねぇ。でもほんの少しだけ魔力を帯びてないか?」


「ほんとだ。しかも光ってるよ。」


「これ、もしかして、カエルの中から出てきた?」


「じゃあ、これが討伐証明ってこと?」


「多分?」


俺は石を自身のポケットの中にしまう。そしてシアにお願いをしてみる。


「なぁ、あそこの奥にスライムがいるだろ? 次はシアが狩ってみてくれないか? 石が落ちるか確認したい。」


「私? いいよ、私の魔法見せてあげる。」


そう言うと、彼女は魔法の詠唱を始めた。


4節に分かれたその呪文は、古代語から成り立っているらしい。


「*>?%&’$#$*」


シアはスライムに向かって手をかざした。


徐々に手のひらに火の玉が出来上がっていく。


「ファイアーボールッ!」


そう彼女が叫ぶと、ものすごい勢いで玉が敵へと一直線に飛んで行った。


スライムは、一瞬で炎に包まれ、蒸発する。


直後にチリとなり、カエルと同じように魔力を帯びた石が地面に落ちた。


「…ただのファイアーボールなのに凄い威力だな。」


「ふふん! 魔法には自信があるのだ!」


「まあ、ひとまずこの石が討伐証明なのは間違いないな。」


俺は魔力を帯びた石を拾い上げた。






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