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2話目! 佐藤アナの話

おはようございます。

私は政府特務課男性保護担当職員の一人、佐藤アナです。

本日はいつもより早い、朝5時から電車に揺られ、出勤です。

なぜいつもよりは隙間の多い電車に乗って出勤しているかって?

事の発端は、そう、つい昨日のことでした。


〜〜〜〜〜〜〜



「お疲れ様で〜す、せんぱ〜いっ!」

「はい、おはよう。いつもより元気ね」

出社したてでも元気いっぱいで話しかけてくるのは、今年度から入った後輩の『灰見セツナ』。

年々増加する男性の性被害により、うちに回ってくる報告書やらなんやらをまとめる係として、新たに配属されたのだ。

書類自体は簡単なものだから、今までは私一人でもなんとかなっていたのだけれど、さすがに手も首も回らなくなってきたところだったので、年始は二人で進める作業の楽さに感謝し続けたものだった。

どう頑張っても物置にしか見えないような部屋では、人と話せることはありがたいものであった。


扉で出迎えてくれたセツナの元気いっぱいな動きに揺れる体のラインがわかるほどにピンと張った一点に視線が誘導されるが、何食わぬ顔で隣に座る。

「ふぅ・・」

「あれれ?先輩、なんか元気ない感じですか〜?疲れ溜まってるんじゃないです〜?」

「いや、そこまで深刻じゃないから心配しないで。・・昨日じゃ終わらなかった書類たちを見てると、どうしても、ね」

「あぁ・・わかります・・終わらせても終わらせても、低くなった気がしないですよね〜」

私のデスクにも、セツナのデスクにも嵩張った書類の山。

これらがすべて男性が受けたあらゆる被害の報告書だというのだから、嫌になる。


男性が受ける被害。

男性の出生率が年々減少し、昨年のデータでは女子と男子の出生比が90:1だとかいうものだから、本来なら希少な男性は保護されなくてはならないものだというのに・・・

・・保護と言っても行き過ぎている気はするけどね。

被害にあったせいで家に引きこもったり、あるいは『保護』の名目で守られることが当たり前すぎて、傲慢に振る舞う男性が増えたりもしている。


そういうことを考えると、私達『保護課』の人員が少ないのも、『保護』という言葉に忌避感を覚える人のせいかもしれない。

「けれど、別に事件解決するわけじゃなければ、クレーム処理というわけでもないから、一つ一つは大変だと言えないし、頑張らないと」

「けど、こんなに量があるんだからもう二人は欲しいですよ〜」

セツナの顔は見ていないが、一昔前の私と同じように苦い顔を浮かべながら書類の山を崩しにかかっているのだろう。

そのとき、私達の間に置いてあった電話がけたたましく鳴った。

「先輩でてもらえます?私、この書類まとめきりたいんで」

「わかった」

目を交わせることもなく、私が流れるように受話器を取る。

「はい、男子保護課の佐藤です」

少し高めの作った声で、応答する。

そして電話越しに聞こえた声に私は、危うくひっくり返りそうになる。

『もしもし!!??こちら受付です!!』

音割れしそうなくらいの音量で聞こえてくる声に思わず、のけぞってしまう。

音漏れもしたのか、セツナもこちらを向いていた。


「落ち着いてください。なにがあったんです?」

『いえその!おおおおおお男の人が!!!』

「なんですって!?」

思わず椅子から立ち上がり、椅子が後ろでガシャーンと音を立てた。

『とりあえず、すぐにきてください!!』

慌てるように通話を切られ、いつもと変わらないはずの機械音がやけに遅く感じた。

「聞こえてましたよ、先輩!」

いつの間にかバチッと姿を整えたセツナが、準備万端とでも言うように立っていた。

「行きましょうか」

努めて冷静であるように心がけながら。

バクバクと逸る心臓を抑えつけながら。





「きゃぁぁあぁぁ!!!本物よ!!本物の男性!!」

「ちょっとアンタどきなさいよ!見えないじゃないの!!」

「ちょっ、押さないで!これ以上はほんとに潰れちゃいますから」

「すみません!ちょっと通してください!!」

「かっこよ・・あの筋肉、服の上からでもわかる・・・エロい・・」

「「あんな人に仕えた〜〜い!!」」

「ぐぬぬぬ・・・せんぱ〜い、私無理そうっ、です!!」

一足早く夏が来たかと思わせられるような熱気と歓声を押しのけながら、人混みを抜けていくが、どうやらセツナは押し戻されているようで、私を呼ぶ声も少しずつかき消されていった。


「あ、やっときた!お〜い、佐藤さん!こっちこっち!!」

「ふぅ・・なんとか抜け出せた・・・お待たせしました!!」

統制が取れているのか取れていないのか、廊下とホールの境目からは列が無くなっていて、飛び出してきたというよりははじき出されるように、行列を抜けた先で対面したのはモノクルをつけた男性であった。

「はじめまして、私、桜川家より参りました。桜葉四蔵(しぞう)でございます」

桜川!?

日本三大名家に数えられる、あの!?


「ははは、はじめまして!佐藤アナと申します!!きょっ、今日は、一体どういった要件で・・・?」

優しそうな、上から目線のような不思議な口調。

「私共桜川家は、政府に対して不干渉不介入を貫き、同時にそれをこちらにも求めてきたことはご存知だと思います。それは男性であっても、女性であっても。ですが、この度成人を迎えられた方が、外の世界に興味を持たれました。ですので、そのお方に対してこの世界について教えると同時に、『自らで判断ができるようになるまで』の保護をおねがいしたいのです。」

「な、なる、ほど・・?」

「つまり、男性のお世話ということでございます。どうやらこのようなケースは異例になっってしまったようで、担当にふさわしいと判断できる方がなかなかいらっしゃらなかったもので」

「ほ、ほう・・・」

「では、よろしくお願いいたします。そのお方についての資料のある程度はまとめておきましたので。それでは」

言いたいことだけを言って、踵を返して行った。

うるさいギャラリーの声も、後輩の声も、聞き流して、私の意識は手渡された封筒にのみ注がれていた。




〜〜〜〜〜〜〜


その資料に書かれていたのは、名前と年齢、そして男性であることの証明書。

一通り目を通した後、セツナとも話して、まずは私がその男性の担当をすることになった。

確かに、性格や姿もわからない男性と急に話せと言われて困らない女性なんていない。

もちろん私だって。

「けど、仕事だもんな・・・役得だって考えるか〜・・男性、ねぇ・・・」

そんな憂鬱と期待をはらみながら、一人寂しく職場へと向かった。

職場は昨日の余韻に浸るべく有給を取った人ばかりらしく、事情を知らない清掃員の人や警備の人にしか出会わなかった。


一人黙々と時間つぶし(書類整理)をしてどれくらい経ったか、電話がかかってきた。

「はい、男子保護課の佐藤です!」

男性相手ということもあり、声を張るつもりが少し裏返ってしまった。

どうしよどうしよ!!今の声で引かれたりしないかな!?

『もしもし、桜川蒼夢という者ですが』


あ、この声・・好き・・・

2日で総合PV500行きました!感謝!!

心の底からありがたいって感じです!!


なんにも決まってないので、この人がモブになるか続投され続けるかさえわからない・・・


こんな感じの性格の人、こんなポジションの人、いたら面白そうな人あればご意見ください!!

男性でも可!!

まじで!見切り発車すぎて困ってます!!

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