認められる世界
海から人が来た。
一般的な感覚を持ち合わせているであろう、僕が見た限りで今の人類とは似て使わない容姿をしている。その人は僕に向かって言った。
「お前達の役目は終わった今度は我々がこの地球を掌握する。」
突然スケールのデカい話題を受け、あまり脳が上手く回らない。今の人類はもう用済みということか?
その人の後ろから無数の手が海上へと姿を見せた。各々の手の平から無数のカラーテープのようなものが空へと放たれた。僕の知らない、多分人類が認知していない色もある。
それをどう捉える。
そもそも色かすら分からない。
見慣れていない、知らないものを拒否する反応が口に伝わった。
吐しゃ物を吐き終え空を見上げたときにはもう空は無かった。いやかつて空と呼ばれていたものでは無かった。
「お前の見ている景色がこの世界での常識だ。」
「お兄ちゃん、空一面カラフルで凄く綺麗だよね僕この空を眺めるのが好きなんだ。」
いつの間に近づいて来たのか分からなかったが後ろで子供の声が聞こえた。振り返り姿全体を見終わったときそれは子ども等では無かった。身長2m程の巨体が僕を見下ろしていた。
ああ、無理だこのイカれた世界で旧人類の古い価値観を払拭できるとは思えない。世界は錯乱するほどにカラフルで、そこらじゅうを歩き回る奇形な人のようなもの。
様々な情報を与えられた脳は壊死し体は朽ちて魂は幽閉される。別の自分となってこの世界に再生される。多様なこの素晴らしい世界へ。