6話‐2
『ショウ、事件発生だ! 黒猫強盗団が動き出した!』
美和さんと別れた後、時間は少し流れて夕暮れ時。
黒猫強盗団がいつ動いてもいいようにスーツの手入れをしていたところ、二郎から電話がかかってくる。
「……ああ、内容は?」
『いつもに比べて元気が無い気がするな? まあいいか。奴等、今度は博物館を襲撃しているらしい』
元気がないと言われても、さっきの状況からすぐに立ち直れと言うのは無理がある。
告白してきたはずの相手に返事をする前に振られるなんて、俺でなくても拍子抜けしてしまうさ。
……二郎は事情を知らないから、俺の様子に違和感を持つのも仕方ない。
それにしても黒猫強盗団の奴等、今度は博物館を襲撃するとは。
色々忙しいし、いい加減に奴等とはケリをつけたいと……博物館?
「博物館だって? 高価な品が展示しているかもしれないけど、いつものあいつらならもっと直接金になる現金や貴金属を狙うだろ」
少なくとも、今までは確実に金目のものがある場所を狙って襲撃していた。
それに博物館に展示してある物なんで、換金しようにも足が付きやすいだろう。
……一体、どういうつもりだ?
「そんな事、俺に言われても知らねえよ。本人たちに直接聞けばいい」
確かに、二郎に聞いても答えが出る訳無い。
「わかった、博物館に向かうから詳しい場所を教えてくれ」
バイクに跨り二郎から博物館の住所を聞き出すと、アクセルを回して博物館へとバイクを走らせた。
博物館に到着し、現場の様子を伺う。
周囲は警官によって包囲されており、まともに侵入するのは少し厳しい様子だ。
……仕方ない、ちょっと強引に侵入するか。
人気の無い場所でスーツに着替えると、俺は正面の入り口目掛けて思い切り駆け出す。
「おい! 怪我をしたくなけりゃ、道をあけろ!」
俺が叫ぶと同時に、警官の視線が集まる。
警官は俺を制止する様子を見せるが、構う事は無い。
その場で地を蹴り、ジェット噴射で空高く跳躍。
博物館を包囲している警官たちを飛び越え、包囲網の内側に降り立つ。
どうやら発砲許可は既に下りていたらしく、エナジーピストル特有の実銃の発砲音を再現した効果音が辺りに鳴り響く。
俺を快く思わない警官も多いだろうし、撃たれる事は予想できていた。
振り向く事なく背後に炎を放って銃撃から身を守ると、背中から聞こえる警官たちの怒声を無視してそのまま博物館内へと突入する。
さて、侵入成功はしたが、ここからどうするかな。
入り口に設置されている看板を見て内部の構造を把握すると、とりあえず先へと進むことにする。
「……もう戦闘が起きてるみたいだな」
暫く進むと先に突入していたと思われる警官の内一人が、壁にもたれかかっているのを発見する。
怪我をしている様子だが、命に別状は無さそうだ。
「……お、お前、ブレイズライダー? 外の奴等は何をやってるんだ……」
どうやら意識があったらしく、俺が近寄った事で警官はか細い声で同僚のふがいなさを嘆く。
「……無理して喋るな。俺はアンタたちと争うつもりはない。黒猫強盗団の奴等がどこに行ったかわかるか?」
俺の問いかけに警官は僅かに躊躇う様子を見せるが。やがて観念したように口を開く。
「何を言ってる。無関係の人間に教える訳無いだろう。……これは一人言だが、黒猫強盗団はこの先の特設展示会場に進んでいった。一緒に突入した仲間も先に行ってるから、多分戦闘中だ」
「……そうか。俺も一人言を言わせてもらうけど、助かった。絶対に奴等を捕まえてやるから安心しろ」
俺はそう言って警官に背を向け、特設展示会場への道を進む。
……また一つ、黒猫強盗団をとっちめる理由が増えてしまった。
「……幾ら数に差があるとはいえ、ここまで一方的にやられるもんか?」
特設展示会場までの道のりで、先程の様に何人かの警官が倒れているのを目撃する。
しかも、黒猫強盗団は一人も倒れていないときた。
警察を一方的に倒しているのは脅威だが、だからといって怖気づいて逃げる訳にもいかない。
展示会場の前まで辿り着いた俺はこっそりと様子を窺う。
会場内には宇宙関連の展示がされており、二十年前に地球に落下してきた隕石の残骸も展示しているようだ。
そして、黒猫強盗団の姿も勿論確認できた。
黒猫強盗団は結構な数……ざっと見て十人以上はおり、何かを探している様子だ。
俺は意を決すると突撃し、手始めに一番近くにいる強盗団員を殴り飛ばす。
「ブレイズライダー! しつこい奴め!」
「こんなところで何やってんだ? 勉強しに来たんなら、館内では静かにしないとな!」
掴みかかってきた強盗団員を躱し、反撃に蹴りを叩きこむ。
よろめく強盗団員に追撃を仕掛けようとするが、視界の隅に別の強盗団員がこちらに向かってきているのが映ったので作戦変更。
本当は一人ずつ確実に戦闘不能に追い込みたかったが、近寄ってくる奴から撃退していくことにする。
「何の策も無しに近づくなんて、何がしたいんだ!」
不意打ちを仕掛けようとした強盗団員の腕を掴むと、そのままの勢いで強引に他の強盗団員目掛けて投げ飛ばす。
……無理をした所為で少し腕が痛いが、この程度で止まるわけにはいかない。
それよりも、下手に炎を放つと展示品を巻き込んでしまうのが厄介だ。
派手に超能力を使う事が出来ない。
「この野郎!」
強盗団員の一人が声を荒げながら拳銃を構え、俺はすかさず拳に炎を宿して軽く腰を落とす。
銃口が光ると同時に拳を振り抜いて光弾を叩き落とし、そのまま発砲してきた強盗団員の元へと駆け出し懐に潜り込み、脚を大きく振り上げ強盗団員の手から拳銃を蹴り飛ばし、とどめに痛みに呻く強盗団員をもう一度蹴りつけた。
「は、離れろ! 迂闊に近づいたらやられるぞ!」
周囲の強盗団員が俺を警戒して距離をとり睨み合いになったところで、俺はある事に気付いてしまう。
「……黒猫の姿が見当たらないけど、お前たちひょっとして陽動?」
「仮にそうだったとしても、お前に話すわけが無いだろ!」
俺の問いかけに強盗団員の一人が怒鳴るように返事をする。
「それもそうか。それじゃあ、痛い目を見れば少しは話す気になってくれるよな!」
律義に返事をしてくれた強盗団員をお礼代わりにターゲットに定め、殴り掛かる。
急に動いた俺に面食らったのか、少し遅れて反応するがもう遅い。
仮面を付けた顔目掛け、炎の拳を叩きこんでノックアウトする。
「しまったな、気絶させたら情報が聞きだせないか。まあ、まだたくさんいるし、一人だけ残せばそれでいいな!」
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