第三部:魔物(スパディリー)
バトルでグロテスクな表現をいれています。ご了承ください。
今日は晴れている。外の花畑は凛々としており風によって踊る。
今日は緑を貴重とした白いドレスを着た。朝は何もする事なく暇を持て余していた。
いつの間にか日は傾き、空は紅に染まっていた。
さぁ、そろそろ準備にかかるか。
ドレスを脱ぎ、街で売られている庶民の服を着た。私はこっちの方が落ち着く。部屋で体術の練習を始めたくなった。から始めた。
騒がしくなっていたのか口うるさいメイドが部屋にはいるやいなや怒鳴られた。一国の姫が何を賊並みの行動をとっているのか!と怒られた。少しくらい良いじゃないか。
日は消え、白銀の星々が煌めき始めた。外の花畑は白銀の包容を帯、朝とは違った美しさを魅せてきた。
しかし、まだ真夜中まで時間がある。何をしようかと考えているとドアを叩く音がした。
「入れ。」
しつれいしますとミクの声がし、入ってきた。手には短刀が持たれていた。
「これを。」
私に持ってきたらしい。ポケットに入るほど小さくおもちゃと思うほどだった。
「護身用に。」
心配させているようだ。
「ありがとう。」
私は短刀を受け取るとそのままポケットに入れた。
「あまり心配するな。私を誰だと思っている。」
「そうですよね。」
私の言葉に従うように答えた。笑みを見せるが私にはまだ不安が隠れているように見えた。
さて、時間だ。
「私は行くぞ。後は頼んだ。」
ミクにそう告げる。鎧を着けないで出る戦は死を意味する。あえて私はそうすると言ったのだ。死にに行く姫を止めないミクは私を信じていてくれている。必ず戻るぞ。
「行ってくる。」
「福音、望んでいますよ。」
私は城を後にした。
昨日殺害された女性のほぼ完璧なレプリカになった私。心臓がうるさいと思ったのは初めてだ。しんと静まり返った城下町に私一人。空を見上げると流れ星が一閃して消えた。流れ星も命あるのならとても短い間命である。などどうでもいいことだけを考えて気を紛らわそうとしただけなのだが、どうにも気分が晴れない。
そして、いつの間にかティラ橋の前まで着た。時間はそろそろ2時を回ろうとしていた。周囲は月明かりのみで薄暗く人影はおろか虫の飛ぶ気配さえ感じ取れなかった。川にも魚が泳いでるように見えなかった。
2時だ。私はティラ橋を渡る決意をする。
渡り始めた。まだ何者かの気配はない。橋は結構長く渡るだけで疲れそうだ。
中頃まで着た。まだ何も起こらなそうだ。的を外したのかと思い始めた。
渡りきった。結局何も起こらず仕舞いなのか。それとも私の正体を知っている者なのか。それとも私が好みではないのか。いずれにせよ何も起こらなかった。
安心仕切っていた。いきなり後ろから黒い気配を感じ取り後ろを振り返った。相手が尖った爪を私目掛けて振り下ろした。私は油断していたため避けるのが遅れてしまった。少しだが肩に傷をおった。
「オレサマ…ノ…コウ…ゲキヲ……ヨケタ…ナ。」
私は左肩を庇いながら相手との間をとる。目は血走っており体中亀の甲羅のようで手や足の爪は全て尖っている。そして二足歩行。
人間ではない。まして獣でもない。
私達はこれらを全て魔物と呼ぶ。普通の魔物は人語を喋る事が出来ないはず。こいつはいったい。
悩んでる暇が無かった。魔物は私目掛けて大きく長い手を振り下ろす。私は避けるので精一杯。
壁に追い込まれた。魔物は真正面から突いてきた。私はしゃがんで避け、奴の腹部を蹴った。10メートルを飛ばしたが殆ど効いてないみたいだ。
「タマシイ……ヨコセ…。タマシイ……ヨコセ…!」
私はミクから護身用として貰った短刀を取り出した。鞘から抜き構える。
「連続殺人及び器物損害及び、姫に手を挙げた罪で抹殺許可が出た。さっさと降服しろ。」
「タマシイ……ヨコセ!」
降服しないだろう。解ってはいるが一応聞いてみる。結果はこの通りだ。
【白き騎士よ 我の名に刻みたる刻印に共鳴せよ】
短刀は白光する。白光はその形を変え大きくなっていく。白光が割けるように消えると短刀の姿は無く別の太刀となっていた。
【ヴルキリーソード】
反撃開始だ。純白な太刀は一閃を描き魔物の右腕を斬り落とした。そこから大量の鮮血が飛び散る。
私はいったん間合いを取りヴルキリーソードを構えた。
「タマシイヨコセ!」
再び一閃。魔物を真っ二つにした。魔物は倒れ直ぐに石化し風に吹かれ砂となり飛んでいった。
なんなんだったんだ。魂?普通の魔物は魂が主食なのか?いやただの肉食。あれはいったいなんだったのか。
私は城に戻り、治療部に向かう。そこには白衣を着た男がいた。
「お帰りなさい。無事なようですね。良かったです。」
無事かどうかは肩を見て言ったのかはわからないが、明らか無事ではない。
「すまないがさっさと治療を頼むよ。」
はい、と私を近くに寄せる。
「服を脱いで下さい。」
私は言われるまま服を脱ぐ。肩は青くなっていた。
「毒ですね。良くここまで持ちましたね。」
青くなっている胸の上側に大きめの注射を射される。痛いのを抑えてグっと堪える。中の液体を挿入されると激しい激痛が体中を巡る。
「少し寝ていて下さい。」
床をのたれまわっている私はいつの間にか気を失っていた。
起きたのは次の日の朝だった。自部屋で寝ていた。寝ていたままの視界でプレセラが見えた。
「起きた。」
掛け布団を蹴飛ばし起き上がる。肩の傷はおろか青痣も綺麗に消えていた。
「食事持ってくる。待ってて。」
笑顔を見せてそそくさと出ていく。
と同時に白衣の男が入ってきた。
「消えた見たいですね。」
「お陰で死にそうだったよ。」
私を茶化しに来たのか。私はジョークをかます。
「逆に死んでいないのが不思議なくらいですよ。」
本気で言っているのかわからない。が、ただ奴はなぜ鼻眼鏡を付けているのか。
「食事持ってきた。お粥。」
プレセラが入ってそう言った。ルンルンに飛び回り私の前に出す。
「ありがとう。でも気持ちだけで良いよ。プレセラ。」
このお粥はプレセラ自身が作ったのか、お米の欠片すら見えなかった。白い水か?いや温かいから白いお湯か。
ミクが入って来た。
「ご無事で何よりです。」
私は元に戻った短刀をポケットから出す。
「ありがとう。これのお陰で生きてるよ。」
ミクが受けとる。
「生きていて良かったです。」
「いい加減、敬語を使うのをやめないか?」
「わかりました。」
私は諦めた。またいつかやめさせよう。
「よし、やめるよ。」
男が言った。
「お前は敬語のままでいろ。」
頭を一度ポカリと殴った。
この先も「ホワイトナイト」をよろしくお願いいたします。




