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第一部:我

バトルで多少グロテスクな表記をします。ご了承下さい。

 その日は晴れだった。外に咲く花畑は昨日の雨によっていつになく輝きを放っていた。私は外に出た。まだ寝間着だから誰にもバレないようにだ。赤い花に蜂が止まっていた。見つけた瞬間飛んでいってしまった。

「サキ。」

 二人の子供がこっちに走って来ながら私の名前を叫ぶ。私はそっちを振り向き右手の人差し指立てを唇の前にかざした。

「サキ、何してるの?」

 ピンク髪のツインテイルにしている。すこし間の抜けた口調。身長が150センチくらいの子が聞いてきた。

「花を見てるんだよ。」

 私は答える。二人は見合わせた後花畑の方に体を向けたら。

「何が面白いの?」

 白で肩に掛からない髪の毛。しっかりとしている口調で二人は身長にあまり変わりはないがこっちの方が少し大きい。私思わず笑ってしまった。

「面白くないよ。見ていると癒されるんだよ。」

 二人はへぇとハモった。

「サキ様!寝間着のまま外に出るなんて、はしたないですよ。プレセラもシラサキもサキ様はこの国の姫なんですよ。節度をわきまえなさい。」

 口うるさいメイドのおばさんがメガネを光らせ私の部屋から叫んだ。見つかってしまった。しょうがなく戻るとしよう。

「二人も一緒に行こう。」

 白髪のシラサキは首を傾げたが、ピンク髪のプレセラは着いて来たからシラサキも何となく着いてきた。

 私は純白のドレスをメイドに着させてもらう。純白の手袋、純白のヒール。全て白で統一された服装。着心地は最悪だ。未だにドレスは慣れない。

「綺麗ですね。」

 シラサキが突然言う。私の身体がいきなり熱くなる。

「そんなことない。私は…」

 体を全て写せる大きな鏡を見た。

 金髪のロング。ブルーアイズ。純白に着飾った体。一昔前の私とは想像出来なかった。なぜなら私は戦場が似合う女とばかり思っていたからだ。

「嘘は言ってないよ。」

 プレセラが鏡に写る。

「さぁ行こうか。」

 私をまん中にし、二人は両側に付いて長い廊下をコツコツと歩く。

 そして着いたのは玉座だった。二つある玉座の内私は右の玉座に座る。

 玉座は金や宝石が張り付けてありとても豪華なものだ。私はここの姫と再び認識する。

「そろそろ来ますよ。サキ様。」

 青髪の白い甲冑を着た女性が近付いてそう言った。

「様はやめてくれと何回言った?私はそんなに偉くないぞ。ミク。」

 ミクは笑いながらわかりましたといい私の右少し前に立つ。プレセラとシラサキは私の左右に立っている。

 あっちの大きなドアがゆっくりと開く。開いたドアから3人の人が入ってきた。緑のマントを着たものたちだ。

 そして私の前に膝まついた。

「お初にお目にかかります。ニアル国の使いのガザでございます。」

 私に一番近い男が言う。ニアル国とは私達のいるルビア共和国の隣の国だ。

「面を上げてください。今日は何用ですか?」

 私はそう言う。3人は顔を見せた。ガザと言う男はまだ年が若いように見えた。

「本日は軍事を少し出して欲しく参りました。」

「軍事とな。一体どのように?」

 私は驚く。戦争は終わった。何処の国も今は国内を気にしたい時に戦争なのかと疑う。

「賊の討伐に。恥ずかしいながら我が国は商業中心にて軍事に誇れるものではありません。故に少しお借りしたいと。」


 私は少し考える。賊を討伐出来ないほどニアルは腐ったのかと思いつつ貸してやって恩を売る事が出来るのならばこしたことはない。

「わかりました。ミク、第二と第三を呼びなさい。ニアルの方、ガザと言ったか。少し準備がごさいますので、今日のところはお休みください。プレセラ、シラサキ。案内してあげなさい。」

 ミク、プレセラ、シラサキは同時に

「は!」と言う。それぞれはそれぞれの行動をとる。

 呼んだ中隊二つの隊長が私の前に着いた。片方は膝まつくが、片方は仁王立ちのままだった。

「ハルマ!少しは自分の位を考えたらどうだ。」

 ハルマと言われる黄色い短い髪とがたい良く野太い笑い声が特徴的な男だ。

「いいじゃないかなぁサキ。」

「私が良くない。」

 いやな予感がただよう。

「お前は、姫なのだぞ!礼儀を知れ礼儀を!」


 片方の男は立ち上がりハルマの胸ぐらを掴みおでこを当てた。

「お前こそ姫の前で騒ぐのか。みっともない。」

「みっともないのはお前の服装じゃないのか?軍人らしくない。着崩しやがって。」

「その体つきで良く軍人らしさを語れるもんだな。ヘロヘロな体して。」

「うるさい!何なら殺るか!」

「望むところだ!」

「お前ら五月蝿いぞ!!」 私は我慢出来なくなって立ち上がり大声をだした。完全にその場の空気が固まった。

「お前らは軍人として何を学んでいるのだ!隊長の座から落とすぞ。」

 人指し指を下に向ける。

「このダイア、一生の不覚です。お許しください。」

「やだ。」

 私は一言。赤髪のダイアは唖然とした。

「で、用件はなんだ?」

 ハルマは何事もなかったかのように言った。私はハルマにゆっくりと近づき、

「それで乗りきれると思ったの?おバカさんね。」

 蹴りを加えた。ハルマは勿論避けたが、それがダイアに当たってしまった。ダイアはそのまま石柱に激しくぶつかる。

「逝くか。お前の戦功、千年先まで語り継がれるだろう。」

「勝手に殺すな!!」

 戻ってきた。また面倒な事になる前に事を話そう。

 咳払いひとつする。

「今回、二人を呼んだのは賊退治の片棒を担いで貰おうと思ってな。」

「片棒か?主は誰なんだ?」

「ニアル国だ。軍事に絶対の保障が無いらしい。だから二人を呼んだのだ。」

 こんな仕事は第三のダイアだけで平気だ。しかしあのガザと言う男、少し臭う。

「サキ様のためなら何なりと。」

「じゃ、行ってくるか。」

 ダイアだけ一礼し、二人はここを出た。

 ミクが近寄って来た。

「あの二人で平気なんですか?」

「敬語もやめろ。私はそんなに偉くない。あの二人なら平気さ。」

 私は席を立つ。そして高い天井を見上げる。ステンドグラスが神々しく煌めく。私は呟く。

「たぶん。」

読んで頂きましてありがとうございます。今後も澁谷一希をよろしくお願いいたします。

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