プロローグ
チックタックと時計は動く。お父さんの自慢の時計。とっても綺麗で大きな時計。
チックタックと時計は動く。お母さんの素敵な時計。とっても古くて強い時計。
─────どうして?
村の全員、死んじゃった。狼に食べられて死んじゃった。みんな、助けてくださいって頼んだのに。泣きながら、叫びながら、血を流しながら、臓物を引きずりながら。
─────どうして?
お父さん、どうして私を守ったの?ねぇ、お願い。私も一緒に連れて行って。
お母さん、どうして私を隠したの?大きな時計の内側に。ねぇお願い。バイバイ、なんて言わないで。
ボーン、ボーン……。
時計の内側に時間を告げる鐘が響く。身体の奥まで響くその音に耐えられなくて、冷たいガラスの戸を開けた。
ぴちゃ、と靴が何かを踏んだ。
血だ。
父と母の血だ。
その血溜まりに沈む肉塊に縋り付く。お気に入りのスカートが血に染まっても構わずに。
ねぇ、どうして?どうして、どうして、どうして……。
─────どうして、私は生きてるの?
ずっと憧れてた「なろう」への初投稿です。せっかくだから大好きなファンタジーを書いてみたい!と衝動のままに(笑)
気に入って貰えたら嬉しいです!