小学生編⑦
その日は雨が降っていた。
いつも通り学校から帰ってくると、家の鍵がないことに気づいた。焦ってランドセル中を探したがどこにもなかった。学校かもしれない、そう思って傘もささずに家を飛び出した。焦りすぎて頭の中は「どうしよう」でいっぱいだった。
これは後から聞いた話だが、ずぶ濡れで走る私を見かけた女の人が車の中から「送っていこうか?」と私に声をかけたらしい。その時私は「知らない人の車には乗りません」と拒否したという。その女の人はいつも登校の時間に旗を振っていた人らしい。(この部分だけ綺麗に覚えていない。)
小学生が傘もささずに雨の中走っているのを不審に思ったらしい。(当たり前だ)
家から小学校までの徒歩15分の距離を必死に走り、びしゃびしゃのまま学校についた。靴箱付近を探しても見つからなかったので職員室へ行ったら担任の先生にびっくりされた。鍵は職員室に届けられていた。本当に安心した。
『鍵を失くした』なんて言ったら母に叩かれて怒られてしまう。鍵が見つかったことで肩の荷が一気に降りた。この頃の私は『母に怒られてしまう』と思うとパニックになって正常な判断ができなくなっていた。