表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旧家 ❀ 櫛名田一族の聖域  作者: 漣 ✾ 黒猫堂
『成』 chapter 007
27/40

木花の蠢動 crossing 八上 × 零



木花このはな会長、先日の話は ご検討いただけまして?」


 黒い牛皮張りのソファに座る若い女性が、窓際に立つ恰幅かっぷくの良い初老の男にたずねる。


 その様子は、一見 堂々とした物怖ものおじしない芯の強さをたたえているようにも見えるが―――

 そのじつ、相手に気圧けおされまいと懸命にあらがっているようにも見えた。


 それに対し『木花このはな』と呼ばれた男の方はというと、言葉(づか)いは一応 丁寧(ていねい)(つくろ)いながらも、所々に不遜さが垣間(かいま)見える(こた)えを返す。


「ふむ… まぁ アナタみずから、こうして二度までも此方(こちら)に足をお運びいただいておるのですからな。 流石(さすが)に、無碍むげにもできますまい」


「 ――― それはどうも、有り難いことですわ。 にしても、いつもながら本当に強気(・・)でいらっしゃるのですわね」


 若い女性の方は、(かろ)うじて「この(わたくし)に対して」という言葉を()み込んだような口振りでこたえる。

 しかし、口調に多少 (けん)が乗ったのであろう―――


「おっと… いやこれは、もしやお気に(さわ)られましたかな? それはすまんことです。 いや しかしながら、ワシは生憎あいにくと怖いモノというのが、あまりない性質(たち)のようでしてな」


 そう言って、愛想(あいそ)のつもりででもあるのか 少しく()みを向けてくるが…… 恐らく、多少 恣意的(しいてき)に作っているのであろうその表情は、正直 (すご)まれているようにしか感じられない顔つきである。


左様(さよう)ですか…… とても お強くていらっしゃるのですね、さすがですわ。 でもそれが、傲慢ごうまん蛮勇ばんゆうなどと言い換えられるたぐいのものでないことを祈っております。 これからの お互い(・・・)のためにも」


「はっはっは! なんとおっしゃる。 ワシは常に、謙虚(けんきょ)で控えめな男ですよ」


 突然の、それも思った以上に大きな男の笑い声に、女性は一瞬 少しだけ目を見開きかけたが―――

 何とかそれを制し、口許(くちもと)に無理矢理 浮かべ続けている ()らしきもの(・・・・・)だけは崩さずに耐えた。


「まぁ、少なくともワシ自身としての (おのれ)に対する評価は そのつもりなのだが…… そう、常にいつ何時(なんどき)においても、その都度つどその刹那せつなを 何とか(かろ)うじてでも『生きてさえおられれば それで充分』などと……。 ふむ、歳のせいですかな、最近ではそんなことを連々(つらつら)と、考えたりしておる始末ですよ」


 男はそう言うと、微動だにせず真っ直ぐに定めた視線で、女性の眼を見据(みす)えたまま少し()を置くが…… 彼女が黙ったままでいるので、再び話し始める。


「なればこそ、ふむ…… 例えば明日突然、何らかの理由で ワシが持つ財界での今の地位、その一切(いっさい)を失ったとしてもだ――― もしもそれが致し方のない状況(・・・・・・・・)であったとするならば、それをワシ独りが騒ぎ立てたとてせん()きこと。 その時は、()()()わず(すみ)やかに身を引くことでしょう。 失った『じつ』を取り戻そうと足掻あがいた挙句あげく、『』まで失う愚は おかしたくないものですからな」


「なるほど… さすがは、木花(このはな)グループをたった一代でここまで築き上げてこられた方。 お見事な(いさぎよ)さとご覚悟かと存じます。 ですが、それは少し 物解(ものわか)りが良過ぎるのではありませんこと?」


 ここでようやく、女性の方が少しだけ本当らしい(・・・・・)()みを見せた。


 虚勢(きょせい)を張り、少し饒舌(じょうぜつ)になっているようにも聞こえる男の発言を聞き、かえって「相手の底が知れた」とでも思えたのであろう。


「そうかもし知れませんな。 だが、それはあくまでワシが『致し方のない事である』と、そう(みずか)ら納得できた場合に限っての話。 もしもせぬところが微塵(みじん)でもあったのならば…… それはそれ、如何いかなる手段を用いたとて最期(さいご)まで足掻あがき、そして立ちはだかるモノがあれば、それがどんな相手(・・・・・)であったとしても 完膚かんぷ無きまでに叩き潰す。 その時は例え、ワシの名など地に落ちたところで、別段 意には介さんよ」


 男は、顔の表情はあまり変えないままに、眼だけを異様に細める。

 その表情は 少し笑っているようにも、また逆に どこか不機嫌になったようにも見えた。


「そ… そうですか。 とても独特なお考えをお持ちのようですわね。 まぁいずれにしましても、今回の件については良いお答えを(うかが)えそうで、良かったですわ」


 女性は、再び少し鼻白んだような素振そぶりを見せつつも、弱みを見せないよう 所作(しょさ)に細心の注意を払いながら (つと)めてゆっくりと立ち上がり、身支度みじたくを整え始める。


「ともあれ、財界の一角を成す八上やがみ家のご令嬢 直々(じきじき)のお話ですからな。 まぁ、出来得る範囲で お力にはなりましょう」


 男の言い様は極めて無造作に軽く、あくまで事も無げな様子であり、恩着せがましさなど微塵みじんも感じさせない口調であった。


 それは、八上やがみ財閥宗家の長女である勢理奈せりなの威光に屈したなどという訳では勿論もちろんなく―――

 またあるいは、この話を奇貨(きか)として、『今後 八上(やがみ)家と近付きになれる』などといった、打算や気負いのようなものも一切(いっさい)感じられない。


 むしろ、そんなつまらない『些事さじ』には 全くもって眼もれないとでも言うような―――

 巨大財閥に相対する たかが一企業(・・・・・・)としては(はなは)だ似つかわしくない態度であると、少なくとも勢理奈(せりな)には そう感じられた。



「よ… よろしくお願いします。 それでは、(わたくし)は そろそろ失礼致しますわ」


 勢理奈せりなはそう言って、なるべくゆったりとした動作を心掛けながら、(みずか)らが持ってきたバッグなどを手に取る。

 だが心の内では、一刻も早くこの場を立ち去りたいという衝動に駆られながらも、そうとは気取けどられないよう優雅に立ち居振る舞うことに必死であった。


 目の前にいる木花このはな 矛連たけつらという男は、八上やがみの名にへつらうところが微塵(みじん)もないばかりか、勢理奈(せりな)が持ちかけた『大層 怪しげな厄介事やっかいごと』にも諾々(だくだく)と応ずる意を示した上で、さも『些末(さまつ)な事』とばかりに、見返りを要求する素振りも見せない。


 何というか…… まるで『生物的強者』を前にした時の、身が(すく)むような(おび)えすら感じ、勢理奈(せりな)は懸命に (みずか)らの足取りの運びに注意を払いつつ、重そうな扉の方へと向かう。


 そこへ 見計らったようにノックの音が聞こえ、そして意外なほど(かろ)やかにその扉が開かれると、使用人と(おぼ)しき人物が一礼して戸口に立ち―――


八上やがみ様、お帰りでございましょうか。 お車のご用意は済んでおります」


 と、慇懃(いんぎん)うながす。


 どこでどう察したのかと、勢理奈(せりな)は薄気味悪く感じたが、始めに伝えておいた辞去の時刻が迫ったからだろうと(みずか)らを納得させ、振り向いて穏やかな表情を(つくろ)いつつ言う。


「それでは木花このはな会長、夜分 失礼致しました」


「いやいや、ご足労いただき かえって申し訳ありませんでしたな。 これを機に、今後もしなに」


 矛連たけつらのその言葉に 勢理奈せりなは一瞬、「この男も所詮しょせん八上やがみとの繋がりをよろこんでいる」と感じ、ほんの少しだけ安堵しかけたものの、見れば矛連たけつらは、先程とは打って変わって優し気な()みを浮かべており―――


 それが逆に 勢理奈せりなの直観力をして、つい今しがた迂闊(うかつ)にもいだきかけた (おのれ)の甘過ぎる安堵の念を完全に否定せしめた。


(違う、これは私にびたのではない…… 怖気おじけづいた私をあわれんで投げかけた言葉だ)


 勢理奈せりなとて、生まれながらに財界の名門の子女として様々な人やモノに触れ、見聞きし、その中で多くの場をくぐってきた身である。

 そうした見地(けんち)からの、他人に対する検分けんぶんの眼は確かであり、その(みずか)らの『眼』が、全てを無慈悲にさとらせた―――


 相手の方が、生き物として(・・・・・・)絶対的に『格上』であると。


「え、ええ…… 今後ともよろしくお願い致しますわ。 それでは ご機嫌よう、木花このはな会長」


 そう言って そそくさと部屋を出ると、勢理奈せりな木花このはな家の使用人に伴われ、(みずか)らの運転してきた車が用意されている車寄せへと向かう。


 するとその途中、この家の令嬢・子息と思われる姉弟きょうだいとすれ違い、二人から明るく礼儀正しい挨拶あいさつと紹介を受けたのだが―――

 そこで目を引いたのは、弟と思われる方が両手で抱えている 真っ白なうさぎであった。


「あら、こんにちは。 可愛らしいうさぎさんね」


「はい、ありがとうございます。 これからエサをあげて、そのあいだに小屋を掃除するんです」


 弟の方が にこにことしながらそう答えると、姉と思われる少女は弟の頭を優しく撫で、そして同様に こちらを見てふんわりと微笑んでいる。


 この二人は矛連たけつらの孫だろうか子供だろうか。

 名は、姉の方が珠姫たまき、弟の方が鐸哉たくやというそうだ。

 いずれにしろ あの男とは違って、如何いかにも素直そうで優し気な印象を受けた。


「そう、偉いのねぇ。 頑張ってお世話してあげてね。 うさちゃんもバイバイ」


 そう言ってうさぎあごのあたりを少し撫でると、その赤い目と視線が交錯した。


 動物と目が合ったような気がするなどというのは良くあることだが―――

 このうさぎの妙に思慮深そうな…… それでいて、鋭いとまではいかない程度に細められたその目に、何故なぜか若干の恐れをいだかされたような気がした。


 それは…… そう、とても奇妙なことながら、つい先程まで矛連たけつらに対して感じていた『生き物としての格の違い』を悟らされた時のような、諦観(ていかん)の念に似た重苦しい感情。


 私はどうかしている。

 きっとあの男の毒気どくけてられ、尋常でなく気弱になってしまっているのだわ。


「じゃ… じゃあね、珠姫たまきさんに…… えっと、鐸哉たくやさん? あなた方とお話できて良かったわ。 では、ご機嫌よう」


 奇妙な心の動揺から、勢理奈(せりな)が多少 どもりながらも そう言葉をかけると、二人は丁寧(ていねい)に挨拶を返し、わざわざ門の外まで見送りに来てくれた。


 すると別れ際、姉の珠姫(たまき)の方が 少し(うつむ)き加減にこちらの方へ身を一歩進ませ、そして おずおずと小さく、だがとても澄んだ声で話しかけてきた。


「あの…… 八上(やがみ)さん、とてもお疲れのご様子ですが、どうか お気を付けてお帰りください。 それとその…… ()はなんというか、相手の方を変に威圧してしまうような態度や物言いをしますが…… 決して悪い人ではないと、ワタクシたちは思っておりますので…… 」


 一瞬、今の自分の不安定な情緒(じょうちょ)見透かされた(・・・・・・)ような気がして少し驚いたが、どうやら疲れや動揺が、顔や言葉に出てしまっていたのだろう。


珠姫(たまき)さん、お気遣いありがとう。 でも大丈夫よ」


 勢理奈(せりな)は何とか笑顔を作ってそう(こた)えつつも、心の中で「孫ではなくお子さんたちだったのね」などと考えていると―――


 珠姫(たまき)がちょうど偶然(・・)、まるで心でも読んだ(・・・・・・)かのような絶妙なタイミングで、にっこりと笑った。

 それがおかしくて、勢理奈(せりな)も この屋敷に来て初めて、心からの笑顔を見せる。


 それにしても…… 本当につくづく、矛連たけつらには似ても似つかない この姉弟(きょうだい)たちの 優しさや屈託(くったく)のなさが伝わってくるようで、勢理奈(せりな)は少しだけ 心が(いや)されたような気がした。



 車を発進させ、バックミラー越しに後ろを見ると、姉弟(きょうだい)たちは まだ手を振ってくれており、弟の方は両手に抱えた あの兎(・・・)の手を、小さく「ばいばい」と揺らすようにしていた。


 その光景は、普段であれば微笑ましくも可愛らしい様子であるのだが―――

 勢理奈せりなはやはり、矛連(たけつら)と同様にこの(うさぎ)に対しても すっかり苦手意識が醸成(じょうせい)されてしまったようで、ついアクセルを普段より余計に踏み込み、一刻も早く逃げ出したい心持ちになってしまう。



 こんなことではいけない。

 私は八上やがみ家の長女として、一族の名実めいじつの一端を担う者として、一分(いちぶ)の隙も見せることはできないのだから。

 そのために『木花このはなグループ』という、たかが一企業体の長でしかない矛連たけつらなどという不遜な男に、下げたくもない頭を下げているのだ。


 それにしても、さっきのお姉ちゃんの方…… 珠姫たまきさんだったかしら?

 うちの紀理江きりえさんより少し年下くらいに見えたけど…… あの子たちなら なんだかきっと、良いお友達になってくれそうね。



 『家』のために非情になろうと心に決めたそばから、『家族』…… 特に妹には甘い、()の自分がすぐに顔を覗かせる。

 そんな自分に苦笑しながら、勢理奈せりなは車を走らせて行った。



 ◇



「お姉さま、八上(やがみ)さんって、やさしそうな人だったね」


 木花(このはな)邸の前で勢理奈(せりな)を見送った後、弟の鐸哉(たくや)が 両手に抱えていた真っ白な(うさぎ)を地面に下ろし、その頭を撫でながら 姉の珠姫(たまき)に言う。


「ええ…… でもなんだか、とってもご無理をされてそうな印象だったわ」


 珠姫(たまき)は気遣わしげな表情でそう(こた)えると、弟に撫でられている(うさぎ)を見て少し目を細め、そして(わず)かに表情を曇らせる。


「本当に大変よね、大人の世界って…… 」


 小声でそう(ひと)()ちると、しゃがんでいる弟の頭にそっと(てのひら)をのせた。


 八上(やがみ) 勢理奈(せりな)にしろ、櫛名田(くしなだ)の家に通じている この(うさぎ)らしきモノ(・・・・・)にしろ―――

 どうしてもっと 余計な(しがらみ)()て、皆で幸せに… 素直に平凡に生きられないのだろうか。


「え? なぁに、お姉さま?」


 鐸哉(たくや)に下から見上げられ、曖昧(あいまい)()みを返すと、珠姫(たまき)は気持ちを切り替えるように(うなず)き、目の前の二人(・・)に声をかける。


「さぁ、鐸哉(たくや)さんに 兎さん(・・・)も、寒くなってきたから家に入りますよ」


「はーい」


 鐸哉(たくや)は素直に(うなず)いて(こた)えると、(うさぎ)を再び抱え上げて 屋敷の方へと歩き出す。



 珠姫(たまき)から急に名指しで(・・・・)声をかけられた(うさぎ)は、一瞬それに反応するように体を震わせたが―――

 今は鐸哉(たくや)の腕の中に(うずくま)り、まるで先程の不用意な挙動を誤魔化(ごまか)そうとでもするかのように、ぴくぴくと身体(からだ)四肢(しし)無闇(むやみ)に震わせている。


 そして (うさぎ)珠姫(たまき)の方に少し顔を向けると、彼女はまだずっと (うさぎ)の様子を優しげな笑みを浮かべて見つめ続けている。


 それはまるで『全て解っているのだ』と、静かに悟らせるような表情であった。



「この娘、やはり固有の異能(ジン)は『読心』か。 だとすれば恐らく…… 櫻子(さくらこ)様のような『人間以外の生物全般』に対してというものではなく、『人間の心』が読み取れる能力…… 」


 この(うさぎ)は、木花(このはな)家の ただのペットなどではなく、櫛名田(くしなだ)家から、『最も警戒すべき異星系他勢力』のひとつである木花(このはな)家 監視のために送り込まれている、特務中隊の工作員(エージェント)である。



「うさぎさん、また遊ぼうね。 明日は桐子(きりこ)ちゃんや柏子(かしわこ)さんも遊びに来るよ。 じゃあね、おやすみー 」


 鐸哉(たくや)の腕から いつもの小屋の床に下ろされ、(うさぎ)如何(いか)にも兎らしく(・・・・)その場に(うずくま)り、鼻や耳を小刻みに動かしている。


 鐸哉(たくや)は 小屋の扉に鍵をかけ、何度か取っ手を引いて施錠を確かめると、少し離れたところで待っている姉のところへ、まるで()ねるような仕草(しぐさ)で駆けて行った。


 その際、(うさぎ)珠姫(たまき)の方を再び横目で(うかが)ったが…… 彼女は最早(もはや)、こちらには一瞥(いちべつ)()れてはいないように見えた。





 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇





一掬いっきく同刻どうこくたん



 同刻、櫛名田(くしなだ)邸内 洋館1階 大広間次室―――


鴨山(かもやま) 「ねえ、犬山(いぬやま)先輩、ウチの(うさぎ)特務曹長って、いつ帰って来られるんです?」


犬山(いぬやま) 「んー? (うさぎ)班長ぉ? そうだねぇ…… もう一年半にもなるけど、まだ(しばら)くは かかるかもしんないねぇ」


亀山(かめやま) 「うっわー、任務とは言え ずーっと小屋の中にいて対象の監視を続けるだなんて、大っ変ですよねー。 ワタシだったら もーお腹がすいちゃって、とてもじゃないけど耐えられませんよー 」


鴨山 「え…… あ、そうかぁ!? もしかして(うさぎ)特務曹長、ご飯って ウサちゃん用の(えさ)とかばっかりで過ごされてるんですかねぇ? 草みたいなのとか…… 良くてニンジンとか?」


犬山 「ん? あぁ、アンタたち知んなかったのかぁ? (うさぎ)班長、ほぼ毎晩 深夜に木花(このはな)邸を抜け出してさぁ、あちこちのファミレスやら居酒屋やらで、結構いろいろと食べ歩いてるらしいよ」


亀山 「おぉー、それは良いですねー! 24時間営業のお店を夜な夜なハシゴ……。 あぁー、なんかちょっと(うらや)ましいかもー!」


鴨山 「亀山(かめやま)先輩…… 相変わらず食べるの大っ好きですよね」


亀山 「うん、好きー! でも、確かに長期間 草や野菜だけしか食べてないと、人型の方(・・・・)体幹(たいかん)もちゃんと維持できないし…… それに任務上のこと… だ… から――― おぉ? じゃあ これは当然、そういう深夜の外食って…… 『経費』… ですかぁ!?」


犬山 「んー? あーーー、う… うん。 てか亀山(かめやま)伍長、近い… 近いわ! そんなに身を乗り出してくんなぁ…… 」


鴨山 「亀山(かめやま)先輩… 目が爛々(らんらん)としてて、ちょっと怖いです…… 」


亀山 「犬山(いぬやま)軍曹! ワタシ、次に何かそういう任務があったら、絶対(ぜっっったい)に 志願しまーっす!」


犬山 「亀山(かめやま)伍長…… アンタ やっぱすっげーわ。 アタマ良くて、しかも何でもすっごく器用に出来んのにさぁ…… 食べることが常に最優先でブレないし。 取り敢えず『クールさ』とか全然(ぜんっぜん)ないもんな」


亀山 「お? 珍しくお()めのコトバ? あざーっす! 上官からの超絶リスペクト、いっただきましたー!」


犬山 「するかぁ、リスペクト。 てか、超絶ぅ!? ()めてすらいねぇーわ」


鴨山 「でも亀山(かめやま)先輩、そういう特別な任務って そんなにしょっちゅうあるわけじゃないですよね?」


亀山 「いやぁ (かも)ちゃん、わっかんないよー? 以外と(うさぎ)班長、今夜あたり急に何かあって ひょっこり帰ってくるかもだし。 そしたら今度は、ワタシがその後釜(あとがま)に…… 」


鴨山 「えっと、世の中そんなに都合良く『何か』なんて、めったなことでは起こらないものかと…… 」


犬山 「てかさぁ…… もしそういうことがあったとしてもだ、木花(このはな)家が『(カメ)』なんか飼うとは思えねんだが?」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ