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旧家 ❀ 櫛名田一族の聖域  作者: 漣 ✾ 黒猫堂
『迷』 chapter 005
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一族の検証 for 双子



 えっとぉー、アタシのなまえはぁ…… 櫛名田クシナダ 桐子キリコっていいまぁーす。

 『キリ』ってよんでくださぁーい。


 で、なんだっけ?

 あ、そか…… キ、キリにはぁー、双子の妹がいてぇー、(カシワ)ちゃ… じゃない…… んと、柏子カシワコちゃんっていいまぁーす。


 っと…… キリたちってぇー、おカオとかは そぉーっくりなんだけどぉー、でも「セイカクは ぜーんぜんちがうねぇー 」って、よくいわれまぁーっす。


 それでぇー、えと…… キリとちがってぇー、んと…… カシワちゃん… ()ちゃん―――


桐子(きりこ) 「ねぇねぇ、いっつもみたく『カシワちゃん』って呼んでもいい?」


柏子(かしわこ) 「いんじゃね」



 えと…… カシワちゃんはぁー、ゲームがだぁーいすきでぇー、いっっつもゲームをもってあるいててぇー…… んで、お部屋にもパソコンとかゲームとかが、たぁーーーっくさんありまぁーーーっす。


 あとぉ…… そだ、お話しするときはぁー、キリとちがってぇー、あんまりたくさんは おしゃべりしませぇーん。

 だからぁー、キリカシワちゃんはぁー、「にてるけどにてないねぇー」って、みーんなから いわれまぁーっす。


 でもキリたちはぁー、とぉーーってもなかよしでぇーーーっすぅ。


 でぇ、えと…… す、すきな食べものはぁー、キリがキノコの入ったドリアでぇー、カシワちゃんがぁー…… えーっと―――

 え? …… なにそれ、コノワ… タ? いつ食べたのそんなの…… え? あと、ヒレ… ザケ――― お、お酒!?

 ダメだよぉカシワちゃん、そんなのぉー。

 だってキリたち まだ小学生…… あ、ウソなの?

 もぉーーー!

 じゃあ、あとのやつはまちがいでぇー…… コノ… ナントカのほう…… とかだそうでぇーす。


 うーんと、あとはぁ…… そだ、シュミはぁー……




櫻子(さくらこ) 「えーっと…… 取り敢えず一回止めましょうか、ストップ ストーップ!」


桐子(きりこ) 「あ、サクラ姉さま! どうだったぁー?」


櫻子(さくらこ)桐子きりこちゃん、とっっっても良く伝わってはきたのですけれどね? その、なんと言うか…… 自己紹介? みたいな感じになってしまっていたようなので…… 」


桐子(きりこ) 「えぇーー、『小説(しょーせつ)』って、こういうのじゃダメだったぁー?」


玉依(たまより) 「ほーらにゃ? やはり物語の『かた』は、このワガハイに任せておいた方が良…… 」


櫻子(さくらこ)たまさま! アナタはそこのおミカン箱(・・・・・)の中にでも、すっこんでおいてくださいな!」


玉依(たまより) 「ふぅ、やれやれ…… 相変わらず心に余裕のない娘め。 ま、せいぜい頑張れにゃ~ん♪」


櫻子(さくらこ) 「くっそ…… 憎ったらしいですわね、この真っ黒毛玉ジジィ!」


柏子(かしわこ)さくらねえ 情景描写とかはやっぱり アタシたちじゃない方がいいと思う」


櫻子(さくらこ) 「でも…… 柏子かしわこさん、アナタでも無理そう?」


柏子(かしわこ) 「むいてない しゃべるの嫌いだし」


櫻子(さくらこ) 「で、ですわよねーーー 」


桐子(きりこ) 「じゃあやっぱりぃー、ここはキリが ガンバるよぉー!」


櫻子(さくらこ) 「うーん…… あ、そうだ! アレですわよね? 例えば今の桐子(きりこ)ちゃんのセリフのあとで…… おほんっ、『桐子きりこちゃんはそう言うと、握りしめたこぶしを天高く、そして力強くかかげた。 周囲のモノたちと下賤げせんなるたまよりふぜい(・・・)は、そのお見事な威容いようと超っ絶可愛過ぎなお姿に 思わずひれ伏したのであった』…… とか入れれば、良いのですわよね? どう? ねぇ、どう?」


玉依(たまより) 「あほか。 『(こぶし)を天高く』って、一体 何処(どこ)覇王はおうの『いなし』宣言だにゃ。 てかオマエ、『下賤げせんなるたまよりふぜい』って…… ルビで個人特定しておるではにゃいか。 オブラートって知ってるか?」


櫻子(さくらこ) 「うーん、なかなかに難しいものですわねぇ。 でもたまさまにお願いするのだけは、例え『永遠(とわ)の宇宙平和』と引き換えでも、絶っっっ対にイヤですし…… 」


玉依(たまより) 「いや、そこは嘘でも『宇宙平和』を取ってくれよ」


 やれやれ…… 素直(すにゃお)に、ワガハイに任せておけば良いものを。

 全く、この因業(いんごう)頑固娘ばばあめが。


 ―――――― ぎ… ぎぃ…… ぴしぃっ!


桐子(きりこ) 「うゎ…… すごい音ぉー。 ねえねえ、また(・・)おウチ こわれちゃうよぉ!?」


柏子(かしわこ)(さくら)(ねえ) まずは一旦 落ち着こう どぅどぅどぅ」


 相っ変わらず この娘は、本当に沸点の低いヤツだ……。

 コイツの短気の(たび)に、屋敷の構造部がどんどん損傷(ダメージ)を受けていくわ。

 まぁ…… 取り敢えず 深呼吸でもして、もう少し気分を落ち着けるんだにゃ。


櫻子(さくらこ) 「ふん… だ! お節介(せっかい)なことを心の中で(つぶや)かないでくださいな。 あぁ゛ーー、もう! (たま)さまの心のお声が頭の中に流れ込んできて…… 本当(ほんっと)鬱陶(うっとう)しいったら! (だーれ)が、こんな年老いたクソ猫の指図(さしず)なんか受けるものですか! ムッキィーーー!!」


玉依(たまより) 「だから言い方よ……。 あとオマエ、ご機嫌が(にゃにゃ)め過ぎだろう」


柏子(かしわこ) 「ほら (さくら)(ねえ) 深呼吸すると 気分が落ち着くよ」


櫻子(さくらこ) 「まぁ… 柏子(かしわこ)さんってば、なんてお優しい……。 どうも有り難う、早速やってみるわね。 すぅーーー …… はぁーーー 」


玉依(たまより) 「コイツ…… ワガハイが言った時とはエライ反応の違いだにゃ」


櫻子(さくらこ) 「あらまぁ不思議……。 本当に気分が、すっかり落ち着きましたわ!」


 やっぱ馬鹿だ、コイツ。


櫻子(さくらこ) 「えーっと、たまさま? 先程から、またワタクシの悪口を お心の中でちょいちょい、盛大につぶやいておられますわねぇ……。 しかも、麗若(うらわ)き乙女に向かって『ばばあ』だのなんだの…… いったいなんて言いぐさですの!? このお(しゃべ)り四本足が!」


玉依(たまより) 「えぇーーー? あぁ、そうかぁー。 オマエの脳にはー、ワガハイの心の声がー、ダダ漏れに伝わってー、しまうのであったにゃあー。 すーっかりぃー…… 覚えてた(・・・・)にゃー、すまんすまーん。 にゃっははは~ん★」


櫻子(さくらこ) 「こんの黒毛玉…… 今度、校舎裏の焼却炉にでも投げ入れてやりたいですわ」


 ふん、全く(こら)(しょう)のにゃい娘め。

 とは言えだ…… やはり思考がダダ漏れというのは実際、厄介やっかいな話だにゃあ……。

 と… いかんいかん、これも聞こえておるのか…… 本当、やりづらいにゃあ。


 おぉ、そうだにゃ!

 いっそ、このワガハイの心の声を『小説の進行役』として採用させてしまえば……。


櫻子(さくらこ)却下きゃーっかぁ。 それって実質、これまでとなーんにも変わっていないではありませんか」


玉依(たまより) 「ほぅ…… バレた?」


櫻子(さくらこ) 「まったく、バレバレですわよ」


柏子(かしわこ) 「この一人と一匹はそう言って、長年連れ()った夫婦ででもあるかのように そっと笑いあう。 なんだかんだといっても、やはり気ゴコロの知れた間柄(ガチふうふ)なのであろう。 しかしその横で、カレらのそんな(むつ)みあうさまを ほうけた顔でながめていた桐子きりこ柏子かしわこは、もうバカバカしくなり『帰ろっか』と言って、この場を立ち去るのであった――― ということで またね お二人さん お幸せに 行こ (きり)(ねえ)


桐子(きりこ) 「え? あ… う うん、か… 帰ろっかぁ、(カシワ)ちゃん…… 」



櫻子(さくらこ) 「ぃ… いやいやいやいや、ちょっと柏子かしわこさん! 待って待ってぇー! そして無駄にお上手で不本意なナレーションを入れないでぇーー!!」


玉依(たまより)柏子かしわこ、オマエやっぱりこういうのやらせると上手いにゃ。 オマエがやれば良いのに」


柏子(かしわこ) 「やだ 今のが限界 しゃべりすぎて)っぺたがイタイ」


櫻子(さくらこ) 「あーもう、どうしたものやらですわ…… 」


玉依(たまより) 「もうアレだ。 やはり作者である黒猫堂(くろねこどう)が、『第三者目線』で普通に語れば良いであろうが」


櫻子(さくらこ) 「まぁ、そうですわね。 それではたまさま、黒猫堂(くろねこどう)さんには そのようにお願いしておいてくださいな」


玉依(たまより) 「ああ、解ったにゃ」


櫻子(さくらこ) 「でも今後、ワタクシや弓弦ゆづるお兄さまがメインとなるお話の時は、ワタクシたち自身にやらせていただきますわよ?」


玉依(たまより) 「うん? まぁ、やりたいと言うのであれば止めはせんが…… 向き不向きと力量りきりょう次第ではないかにゃあ。 特に瑞穂みずほ葉月(はづき)などには…… 恐らく無理だぞ」


櫻子(さくらこ) 「あー、確かに……。 ではまぁ、その都度つど考えましょう。 まぁでも、才色兼備さいしょくけんびなこのワタクシなどは、まったくもって問題ありませんわよ!」


玉依(たまより) 「オマエがさっき得意気にやっておった『こぶしを天に』どうたらこうたらのヤツだが…… オマエやっぱり、思考の向きや言葉選びの感覚が ワガハイに似ておるようだにゃあ」


櫻子(さくらこ) 「はひ!? ぃ…… いぃぃやぁぁぁああーーーーーーーー!!!」


玉依(たまより) 「うわ!? びっくりした……。 おい櫻子(さくらこ)、オマエ (にゃん)て顔して叫んでおるんだにゃ。 てか、以前オマエが自分で言っておったのではにゃいか。 あー…… しかしにゃほど、気付いてみれば確かにそんな気もするにゃあ。 流石(さすが)、生まれた頃から常にワガハイの『心の声』で魂魄こんぱくや思考精神を形成されて育ってきただけの事はある。 良かったにゃあ櫻子さくらこ、これからはワガハイを『心の師』とあおぐが良いぞ」


櫻子(さくらこ) 「あ、あぁ…… こ、この…… ワタ… ワタクシの…… 心… は…… アク… アクマに――― あ、『ケダマ(・・・)アクマ(・・・)』にぃぃぃ…… 」


櫻子(さくらこ) 「おい… 今、如何(いか)にも言ってる途中で『思い付いた』みたいに、(いん)を踏んだ言い回しと替えたよにゃあ。 てか、『マ』しか合ってにゃいが…… 」


桐子(きりこ) 「もぉー! タマ先生せんせサクラ姉さまを あんまりイジメちゃダメだよぉー!」


柏子(かしわこ)たません あんまり追い込むのだめ 超面倒くさいことになる」


玉依(たまより) 「ああ、すまん…… ついにゃ。 でもコイツ、結構 大丈夫そうな感じだが」


葉月(はづき) 「おんやあぁ~? なんやおもろいことになってるんとちゃうの~!? あっははー!」


桐子(きりこ) 「うわぁ! カアさまだぁー。 いま出てきちゃ、とぉーってもダメな人って気がするんだけどなぁー 」


柏子(かしわこ)かあさまお願い ややこしくしないで」


玉依(たまより)葉月はづきか、相変わらず最悪のタイミングで登場してくるヤツだにゃ、感心するぞ」


葉月(はづき)何々(なになに)なぁにぃ~? これぇ…… この状況ぉ~。 あっはぁー、サクラっちが軽くはいんなりかけとるやん――― って、これやったん… まぁた タマやんやろぉ~。 いぇぃ! OKグッジョ!」


玉依(たまより) 「オマエ、一体どういうスタンスで母親やっておるんだにゃ」


葉月(はづき) 「ふっふーん…… どうせアレやろぉー? 物語の進行役、キリには上手いことできへんでぇ、カシワンは『やりたないー 』とかうてぇ。 ほんでタマやんが『ほならワイがやったろやないけー!』みたいなことうたかて、そこはサクラが『この世の終わりと引き換えでもイヤやー! せやったら自分でやるわぃー!』とかうたりとかしてぇ。 でもサクラは…… タマやんとセンスがめっちゃ似とる上に詰めもアマイから、やっぱアカンやろしなぁ……。 ほんで、またいつものように エラいバタついた挙句あげくタマやんが(サクラ)にトドメしてぇ…… で、まぁたメデタク泣かしてもうたんやろなぁこれが――― って、どない? だいたい()うとったぁ? あっははー!」


玉依(たまより)(こぉわ)っ! てか葉月はづき…… オマエやっぱすげーにゃ。 まぁ、持ち出す例えが『この世の《平和》か《終わり》か』…… というあたりの違いで、オマエら親娘(おやこ)の『心の腐り具合』の差が絶妙に出ておった気もするが。 うーん、さすが母親…… いや、それは母親だからにゃのか? あと、ワガハイは『ほならやったろやないけー!』とは、言わんけどにゃ」


柏子(かしわこ)かあさますご さすが国防のかなめ エリートMAD戦略官」


桐子(きりこ)カアさま、ホントにすっごいねぇー!? そうだ! えと、『シンコウ…… ヤク』? それを、カアさまがやってくれたらいいんだよぉー!」


玉依たまより 「いや、それは絶対にダメだにゃ」


柏子かしわこ 「だめ 絶対」


櫻子さくらこ 「そ それだけは…… 超絶 却下(きゃっか)ですわ…… 」


桐子きりこ 「うぁ… サクラ姉さまがはいになったままチカラをふりしぼって……。 う… うん、ダメだよねぇー。 だってカアさまがやってぇ、『ウチキリ?』とか『タイカイショブン?』とかになったら…… きっと、黒猫堂(くろねこどう)さんも困るもんねぇー 」


葉月はづき 「なんやエライ言われようやねんけど……。 いや、でもまぁ 確かにアンタら…… なかなかいい読み(・・)しとんでぇ!」


玉依たまより 「親指を立てるにゃ 親指を。 全く…… オマエは本当に解らんヤツだにゃあ」


黒猫堂くろねこどう 「あのー… もう『語り』部分は、私の方でやりますんで…… 」


玉依(たまより) 「なにゃ!? オマエ何時(いつ)から此処(ここ)()ったんだにゃ!?」


黒猫堂(くろねこどう) 「あぁ、櫻子(さくらこ)さん渾身(こんしん)の、『某覇王(ぼうはおう)(こぶし)上げ』のあたりからですかね」


玉依(たまより)随分(ずいぶん)とまた、序盤から気配消しておったんだにゃ…… 」


全員 「じゃあ、次回からは『双子(キリかし)ちゃん回』ということで、黒猫堂(くろねこどう)さんよろしくー!」



黒猫堂くろねこどう 「前回からのこれ、ちゃんと小説のていしているんだろうか……。 まぁ、読者もさほど多いわけじゃないし、好きにやらせてもらうか…… 」






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